第7話ー戦場
少し微妙かな
連邦軍シルヴィア駐留艦隊と敵艦隊の戦闘が始まって3時間ほどが経った頃、地上では何とか全体の8割が避難を完了し、残りの2割も避難は進んでいた。
そして、シルヴィア守備軍と、シルヴィア行政府も撤収の準備を行って艦隊が突破される前にシルヴィアを脱出しようと行動していた。
そんな状況のシルヴィアだが、地球連邦本国もその状況を見過ごす事はなく、行動を起こしていた。
時刻は少し遡り、第8居住惑星管区へ向かう連邦軍艦隊が、丁度中間地点を通り過ぎた時、その様子を見ていた者がいた。
ダイラーグ帝国 銀河辺境第三方面征伐軍、これがコーネリア公国を侵略し、更に地球連邦軍が今まさに対峙している敵の名前であり、そこに所属する偵察機がその様子を見ていたのだ。
そして、第8居住惑星管区…シルヴィアに援軍として向かっている第6臨時航宙機動群がそれに気付いた時には既に第6臨時航宙機動群の進路を塞ぐ様に100隻を超える敵艦隊が布陣していたのだった…。
第6臨時航宙機動群は地球連邦宇宙軍の航宙艦隊司令長官の直属の艦隊の一つ、第三航宙機動打撃艦隊を基幹戦力とし編成された部隊であり、連邦軍でも3隻しかいない航宙戦艦が旗艦を務めていた。
「司令、本機動群の前方に敵艦隊を確認!」
「敵艦隊は横隊にて展開しています!」
「…さっきの敵艦載機がやはり偵察機だったようだな…全艦隊に戦闘配置を命令!密集隊形にて前進!敵艦隊を撃破し第8居住惑星管区へ急行する‼︎艦載機は直ちに発進し艦隊の長距離ミサイルの一斉射撃終了後に敵艦隊へ突入し敵を撹乱せよ!その後は合図と同時に艦載機は離脱、艦隊は砲撃戦に移行し敵を殲滅する‼︎」
司令のその命令に参謀の一人が反対する。
「待ってください!敵は横隊を組んでいます、このまま密集隊形で前進したら損害が多くなる可能性があります‼︎」
その参謀の言葉に、司令は薄く笑うと参謀を横目で見ながら口を開いた。
「参謀、そんな事は分かっているよ、だが君はこの艦の艦首になにが付いているか忘れたわけではないだろう?」
「この艦の艦首……!まさか司令」
「全戦艦を艦隊前方へ配置し敵艦隊が艦首砲の射程に入り次第艦載機を離脱させ艦首砲の一斉射撃にて敵艦隊に打撃を与え、その後は残った敵を殲滅しシルヴィアへ向かう。」
「は、了解しました!」
そして艦隊から艦載機が発進し、前方の敵艦隊へと艦隊がミサイルを発射した直後に艦載機隊も敵艦隊へ突入するために向かっていくのだった。
ーー
時系列は戻り、もう一つの戦場では、惑星シルヴィアの市民わ避難させる為、駐留艦隊は敵艦隊と激しい戦いを繰り広げてた。
「敵艦隊側面よりライラック大佐の別働隊が突入!艦載機隊は別働隊を援護に迎え!」
「巡洋艦バルバロッサ轟沈!戦艦ロビンソン大破!艦隊損耗率30%!司令!このままでは…」
「弱気になるな!全艦正面に火力を集中!別働隊へ目がいかないように攻めろ‼︎」
駐留艦隊主力が正面から敵と砲撃戦をしているとき、艦載機隊も奮戦していた。
艦載機第二中隊は敵艦隊へ突入し敵の直掩機や艦船からね弾幕により損害を出しながらも戦い続けていた。
『クソ!後ろにつかれた!ドラゴンキャットより誰でもいい!後ろのやつを落としてくれ‼︎』
そう言って第二中隊の三番機の彼は操縦桿を必死に操作し敵機の放つレーザーを右や左へと機体を動かし回避するが既に身体中汗だくで味方機も敵艦載機との戦闘で物量に押され壊滅的な打撃を受けており、もうダメかと気持ちが折れかけた時、突然後ろの敵機が爆散した。
『此方ドラゴン4、ドラゴンロード!敵スプラッシュワン!先輩しっかりしてくださいよ…。』
『助かったぜ白井!後で酒でも……』
彼の言葉は最後まで語られる前に途切れ、一瞬おいて彼の機は爆散した…そしてその正面より十数機の敵艦載機が迫ってきているのを見て、恭弥は先輩であった彼や、撃墜された隊長達の事を一瞬思い、憤った。
『…お前らさえ攻めてこなければ…』
恭弥はそう呟くと計器を確認しもうエネルギーが尽きかけている事に気付き、悔しさを滲ませながら補給に戻るのだった。
恭弥は発進してから補給に戻るまでの時間、約4時間の間に戦闘艦三隻のスラスターを破壊し航行不能にさせ、艦載機8機を撃墜していたが、物量には勝てずにそれ以上の戦果を出せていなかった。
また、彼の中隊、いや、鳳翔艦載機隊は彼一人を残し全滅していたが、それでも彼は再出撃を願い残存艦載機隊に再編され、再出撃の時を待つのだった。
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第6臨時航宙機動群編成
第三航宙機動打撃艦隊
航宙戦艦 出雲級航宙戦艦 尾張(旗艦)
モンタナ級4隻
アイオワ級A型 10隻
航宙母艦 ハルバート級 6隻
航宙巡洋艦 改コマンダー級 6隻
エクスカリバー級 32隻
航宙駆逐艦 D型21隻
月級 40隻
航宙補給艦 B型 4隻
合計 124隻
第504航宙機動艦隊(元は第5航宙機動艦群所属)
航宙戦艦 モンタナ級 2隻
アイオワ級A型4隻
航宙母艦 ハルバート級 6隻
ガーディアン級4隻
航宙巡洋艦 改コマンダー級 4隻
エクスカリバー級 24隻
航宙駆逐艦 D型 16隻
月級 40隻
航宙補給艦 B型 2隻
合計 102隻
他に二つの艦隊があり、二つとも504と同じ編成で、第6臨時航宙機動艦群の所属艦の総数は、
航宙戦艦33隻
航宙母艦 36隻
航宙巡洋艦 122隻
航宙駆逐艦 229隻
航宙補給艦 10隻
総数 430隻
連邦軍がここまでの艦隊を太陽系外へ派遣するのは異例の事柄であり、連邦軍の危機感はそれ程に高くなっていた。
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