喧嘩未遂
エリーを適当にごまかしてるとリリアさんが私たちの方に近づいてきた。
まあ正確にはエリーの方にだと思うけど。
だって護衛対象から離れるわけにはいかないもんね。
「あなた達は何の用でエミリア様に近づいたのですか?」
うわっ、リリアさんすごい直球。もうちょっとオブラートに包んで包んで。
「何か用がないといけないのかよ。」
ってクロもそんなけんか腰にならないで。
エリーの護衛なんだからこれからも長い付き合いになるんだろうし。
「ええ、いけませんわ。
あなたのような素性のしれないような人が話していいほどエミリア様の位は低くはないのですよ。」
うわぁ、なんてきつい言葉。
というかこの学園の教育方針完全に無視した言葉だな。
貴族も平民も区別なく扱う。そういう方針なんだけどな。
まあ、王族の事とかは言ってなかったけどそもそも正確には身分の差に関係なく学べる学院だからね。
当然王族も含まれるわけなんだけどねえ。
「それに平民であるあなたがエミリア様が中良くなって恋仲になっては困ります。
もしそうでなくてもそういう噂が出るだけで有害です。さっさとどっか行ってください。」
まあ確かにクロとエリーが恋仲だっていう噂が出たら困るだろうねえ。
王族であるエリーが百合だってことになるし。
けどこれはやっぱりクロをうちの家で養子にしとけばよかったかな?
一応クロにも話したんだけど、
奴隷って私の物って感じがするとかいうよくわからない理由で断ってたんだよねえ。
だからそもそもリリアさんの平民っていうことも間違いなんだよね。
クロってまだ奴隷だもん。
それに奴隷の立場っていうのも悪くないんだよ。
他の貴族からの命令を受けても従わなくていいし。
もしクロに何かさせたいなら主である私を通さないといけないから。
私自身も貴族だからより高位の貴族には逆らえないっていうはずなんだけどあいにくと私には前世の私から引き継いだ魔法の技術がある。
これを使えば闇討ちや弱みを握るのだって難しくない。
まあ基本的にはしないけど。
話がそれたけど言いたいことは私たちは奴隷っていう立場をうまく利用してるってことかな。
これはお互いの信頼関係がないと成り立たないんだけどね。
だって私はクロに強制的にいうことをきかせられるんだよ。
そんなの普通はいやだからもし奴隷から脱出する機会があるなら普通は奴隷から脱出するよねって話。
そう私とクロの間にはふかーい信頼関係があるんだよ。
ってクロと私の絆の自慢をしてたらクロとリリアさんが一触即発って感じになってるよ。
リリアさんは知らないからともかくクロは暗殺者として感情を抑える訓練もしてるっていうのになんでそんなに怒ってるんだろうね?
とりあえず疑問に思ったからエリーに聞いてみた。
「ねえ、今どうなってるの?
私考え事してたからどうしてあんなに二人がいがみ合ってるのかわからないんだけど。」
「えっ、この状況で考え事ですか?もう、少しは気にしといてくださいよ。」
怒られちゃった。
「まあまあ、っでそれで今どうなってるの?」
お怒りはスルーの方向で
「もうっ
まあそれより今の状況ですよね。
まずリリアが怒ってるのは主に二つですね。
一つ目はクロさんが男なのに私に対しての距離感が近すぎるっていうことです。
二つ目はあなたのことでエリーっていう愛称がなれなれしすぎるっていうことです。
まあ、エリーっていう愛称は私自身は良いんですけどね。
さすがにこの学園都市の外ではだめですけど、学生である内は身分に縛られないっていうお題目もあり ますしね。
それでクロさんが怒ってることはノアさんの事を馬鹿にされたからです。
なれなれしいやつとかいう感じのことをリリアが言ったことを怒ってるみたいですね。
クロさん良い人ですね。」
っていうかリリアさんクロのことを男って思ってたのか。
それにこの良いようだとエリーもクロの子と思ってそうだなあ。
まあいっか面白いしこのまんまにしておこうっと。
それにしてもクロの私への忠誠度がはんぱないね。
なれなれしいって言われただけであそこまで怒るなんて。
けどこのまんま喧嘩になるのはちょっとダメかな。
今は先生たちが向こうにいるし。
先生たちがいなかったらケンカっていうのもクロに経験させてあげたかったんだけどねえ。
「では次の模擬戦の相手はクロさんです。クロさーん来てくださーい。」
あっ、クロが呼ばれてる。
模擬戦クロの番になったんだ。
ちょうどいいや模擬選してきて頭を冷やしてもらおう。
「クロいってらっしゃい。ほどほどにね。」
クロもわかってると思うけど一応くぎをさしておくのも忘れない。
入学試験では適当にやってたのに今本気を出して先生を倒しちゃうのもまずいからね。
「うー、わかった。」
クロはリリアさんの方を一回にらんでからしぶしぶといった感じで模擬戦に向かった。
よかったこれで喧嘩はなくなったよ。




