おはよう *クロ視点
「クロ、おはよう」
シャーリーンが声をかけてくれる。
「おはよう、シャーリーン。」
「えーっとシャーリーンって私の名前だったっけ?」
ああシャ-リーンは自分の名前を知らないんだっけ?
最初会ったときは私のことだましたのかと思ったよ。
「そうだよ。シャーリーン・ラドクリフだよ。
シャーリーンが名前でラドクリフが家名だよ。」
「そうだったんだ。まあそれはなんか私の名前って気がしないんだよね。
家族のことはあんまり好きじゃないしね。
それに私は自分の名前は今まで知らなかったからね。自分の名前って実感がないんだよ。」
家族と何かあったんだ。私といっしょだ。
喜んじゃいけないんだろうけどシャーリーンといっしょっていうのがなんかうれしい。
「じゃあシャーリーンって呼ばない方がいい?」
嫌われたくないから。
「そうねえ、じゃあノアって呼んで。それを気に入ってるから。」
「ノア?どういう意味なの?」
「さあ?まあ名前の意味なんて知らなくてもいいでしょ。語感はいいし。」
うーん、まあいっか。シャーリーン・・・じゃなくてノアが言うんだし。
「それでノア、これからはなにをするの?学校に行くとか言ってたけど。」
「それはもちろんお勉強よ。クロには私とおんなじ学校に行ってもらうんだから。
それでその学校の入学試験は難しいからがんばってね。」
ノアとおんなじ学校に行けるんだ。
私が学校に行くことになったのは知ってたけどノアは貴族の令嬢で私は奴隷、
てっきり違う学校に行くんだと思ってたけどよかった。
あれ?そういえば私って奴隷だよね。
それで主人は確かギルド長になっていたはずだけどそこのところどうなってたんだろう?
「ねえノア、確か私の主人ってギルド長にじゃなかった?」
「ええそうよ、けどあなたは今私のものよ。」
そうかノアのものになったんだ。よかった。
けど法律的には大丈夫なんだろうか?ノアが盗んだとされないかちょっと心配。
そんな私の内心を見透かしたようにノアは苦笑しながら言った。
「法律的にもちゃんと私のものだから大丈夫よ。」
本当に心を見透かされているよう。
私はノアのものだからそれでもいいんだけど。
「さて心配事も済んだんだしさっそく勉強をしましょうか。
勉強は私が教えるから。教えている時は私のことを先生って呼ぶこと。いい?」
ノアが気合を入れて返事を求めてきた。
ぐー
私のおなかが元気よく返事した。
「ふふっ、その前にご飯を食べてからね。」
うう、はずかしい。




