新しい生 *クロ視点
「クロ・・・・クロ、起きてクロ。」
優しいシャーリーンの声がする。
私を嫌いになってしまったはずなのになんでこんなに声が優しいんだろう?
ああそうかお風呂場でのことは夢だったんだ。
そうかそうかよかった。
じゃあ早く起きないと。
今度こそ嫌われちゃうかも。
眠いけど頑張って起きよう。
「あっやっぱり起きないで。まどろみの中で聞いて。」
もうどっちなの?
まあシャーリーンがそういうならそうするけど。
「あなたはね生まれ変わったの。
今までの体から解放されて新しい体になったの。」
ん?どういう意味だろう。
眠くて頭が回らないや。
「ああ眠くて意味が理解できないよね。
そうね簡単に言うとあなたはもう体を見られても他人に嫌われないようになったの。」
そんなことあるわけないのに。
シャーリーンもおかしなことを言うなあ。
「あなたは昨日までのあなたとは違うの。
昨日までの暗殺者としてのクロは私が殺したの。ごめんね。」
そうかー、暗殺者としてのクロは死んだんだ。
けどシャーリーンも謝らなくていいのに。
暗殺者としてのクロの人生はいやなことばっかだったけど、
最後にシャーリーンに優しくされて幸せだったんだから。
「それでね私はあなたを私のクロとして作りなおしたの。」
そうなんだー、どうりで死んだのに考えることができてるんだ。
「そう、あなたは自分の体に自信を持ってなかったでしょう。
うん。だって醜いからね。
「だけどこれからのあなたは違うの。
その体はあなたの体じゃなくて私のものだから。」
そうだね、私の体は醜かったけどシャーリーンのものなら、みにくくはないよね。
「そうだからあなたは無条件に嫌われることはないの。」
えっそんなことはな・・・・・そうか私が嫌われるのは私の体が醜かったからだもんね。
「でもね、あなたの体はまだ完ぺきに私のものになったわけじゃないの。」
だめっ、そんなの困る。
だってシャーリーンに嫌われちゃう。
嫌われる事を考えたらなんだか泣きそうになってきた。
「でも安心。あなたがもう一回眠って起きた時にはあなたの体は私のものになっているから。
さあ安心してお眠りなさい。私はそばにいるから。」
そうなんだ。眠って起きたらシャーリーンのものになれるんだ。
安心した。
安心したらなんだか眠くなってきちゃった。
「クロ、おやすみ。」
おやすみなさい。




