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Option DIScord  作者: 蒼影
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CORD-0:始

 

 月の無い夜の闇は無数の灯火で明るく照らされている。


しかし今のそれは、心に安息を与える炎では無く、恐怖と絶望を与える災いの炎と化していた。

その炎が照らすのは、無数の瓦礫と斬り刻まれ肉片となった、人の屍。


瓦礫の山と炎の林を縫うように逃げ惑う人々を追いかける、醜悪な姿をした化物。

それは人々を袋小路に追い詰め、斬り殺し、また別の獲物を狙う狂気に満ちた狩人。


かろうじて残った建物の隅に隠れた、赤い髪を持つ黒眼の幼い男の子の目の前で、一つ、また一つの命が消えていく……







「うあぁぁ!」



叫びながら飛び起きた彼は、暗い部屋の中を見渡し、ここが自宅である事を必死に確認する。


荒い息を整えながら、吹き出した汗で体に張り付いた服をはがしベットから降りると、ふらふらと揺れるようにシンクへ向かう。

そして、一杯の水を一口、一口、喉を通る水の冷たさを確認するようにゆっくりと飲み干した。




「オレは……もう、弱くない。あの時とは違う……」



夜の黒が赤く染まり、白い光を迎えていく……







 

東の空に太陽が高く登った頃

彼はソファに座り、本を読んでいた。

前にあるガラス張りのテーブルの上には、コップが一つ、中身は既に空。

左手の窓際には本棚が一つ


本の頁を捲る音がいくつかした頃…



突然、ドアが開け放たれ

何者かが侵入してきた

座っている場所からは玄関は見えないが、誰が来たかはおおよそ見当がついていた。



「入るんなら、せめてノックくらいはしろよ、リース」


その気配は徐々に近付いていき、向かい側にあるソファに座った


「急用」


「急用って言っても、勝手に入ってくるのはどうかと思うぞ」



「一年間同じ小隊でしょ? それくらいおおめに見てよ。……それより、イリス。今日何の日か分かる?」


自分の名前を呼ばれ、本を読む手を休め、顔を上げる。


空色のセミロング、右側の前髪が長く、右目が隠れている。

全体的に外側に広がっているのはクセ毛だから…らしい。

彼女は、その長い髪の下から白い視線を投げている。


「…確か特に何も無かったと思うぞ」



リースは着ている服を指差して、『分からない?』というような視線を投げてきた



 (…ん?…スーツ?……)


「入隊式なら明日だろ?」


「違う、今日!だから呼びに来たの!」


リースは驚いたような表情でイリスの発言を訂正する


「いや、明日の筈だ、今日は3日だろ?」


「いいえ、4日」


そんな訳が無い、と朝刊の日付を見てみた

直後に体の動きがピタリと止まる


黒い活字でしっかりと『4日』と印字されていたのだから


「…解った、準備するから先に行っててくれ」




 

「早くしないと時間無いからね」

リースはそう言うと、部屋から出ていった。 



(…あれ?オレの一日は何処いったんだ?)

リースが出ていってから暫くして、そう思い悩んでいた。


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