北国のタコ漁
※この物語はフィクションです
暗闇の上をぴちぴちと跳ねるトビウオ
それをよそ目に網を投げる
今日のお目当てはタコだ
ついでに光る物体を一つ海に投げ入れる
タコは光るものを餌と勘違いしてこれを食いにくる
その瞬間で網を引けばタコがわんさかとれる
能登の海は既に真っ暗だが漁船の上はタコの光沢で輝いている
タコが「エサ」に食いついたので網を引く
もういっちょ光る物体を投げ入れる
その時「ごうっ!」と大きな音がした
しめたこりゃ大物だ 急いで網を引く
すると今日一番の大きさの立派なタコが獲れた
後ろを向いて仲間にそれを見せようとする
そこには 眉毛の吊り上がった 軍服を着た 朝鮮人がいた
「オマエが船長か こっちにこい」
漁仲間は既に漁船の床に倒れ伏していた
「ああ、そうですか」