初めての育児
入院中はオムツの替え方から授乳の仕方、これから赤ちゃんと暮らす上でのいろんなことを教えてもらった。
「育児は本に書いてあるとおりにはいかないものよ。寝るのも飲むのも一人一人違うんだからね。つまづいた時は、いつでも相談にのるからね」
看護士に言われた言葉と一抹の不安を抱え、里子とハルは1週間後無事一緒に退院した。
これから3人での新しい生活がはじまる。
初めての育児は想像以上に厳しいものだった。
退院後三日も経たないうちに里子は痛感した。
ハルが泣けばオムツを替え授乳し寝かせる。
昼夜問わず1時間おきの授乳にオムツ替え。
朝は史郎の朝食と弁当を作り送り出し、ハルが寝ている隙に家事をすませるのは一苦労だった。
予想以上の寝不足により一週間たった頃、里子の目の下には「クマ」が出没していた。
「はあ…」
鏡を覗いた里子は大きな溜め息混じりで鏡に映った自分に語り掛けた。
「すごいクマ‥それにしてもひどい顔だねー。それにしても眠いー!」ハルはあんまり寝ない子らしい。ハルが寝てるうちに一緒に寝ないと体力がもたない。
「フニャー…」
浅い眠りから覚めたハルが里子を呼んでいる。
「あっ起きちゃった…。はいはーい、今行きますよー。」
里子は「ハル王子」の呼び出しを受け急いで王子の元へ向かった。