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エルフさんは飢えている  作者: 四ノ宮士騎


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第三話 人間の国

「あれが人間の国かぁ」

 俺は遠目に目にしている高い城壁に囲まれた人間の国を見ながら、感慨深げに呟いた。

「うん。やっと来たねアル」

 かくいうエギルも、まだ見ぬ人間の国に目が釘付けである、

「ああ」

 そうあれから俺たちは二か月ほどかけて森や山を抜けてようやく人間の国に来ていたのだった。

「にしてもここまで遠かったな」

「まぁ仕方ないないよ。元々僕たちの国は人間たちがたどり着けないように人間の国から遠くに作ったらしいからね」

「まぁ確かに遠かったよな」

 ここに来るまでの道のりを思い浮かべながら考える。

 

「と、そんなことより早く人間の国に行こうぜエギル」

「うん」

 こうして俺とエギルは人間の国に向かって歩き出した。


城門をくぐろうとすると

「こらこらお前たちちゃんと並べっ」

「並べって?」

「町に入りたいものはみんな並んでいるだろう?」

 見ると時々蛇行しているが、みんな行儀よく一列に並んで順番を待っているようだった。

「ここに並べばいいのかな?」

 並んでいる人たちの最後尾についたエギルが問いかける。

「だろうな。すぐ順番になるだろ」

「うん」

 待っている間エギルと軽口をたたきあっていると、俺たちの順番が回ってくる。

「次の者」

「はい」

俺のかわりにエギルが門番に返事をする。

「では身分証を」

「身分証?」

「なんだ持っていないのか? なら通行料一人銅貨二枚だ」

「通行料? 銅貨二枚?」

「なんだ? もしかしてお前ら金を持っていないのか?」

「え、お金だってアル。アルは持ってる?」

「ああ金かすっかり忘れてたな。俺も金は持ってないな。門番さん物でもいいか?」

「まぁ銅貨二枚の価値があればな」

「なら」

俺はアイテムボックスから焼き鳥の時に取った鳥の羽毛を取り出す。

「この羽毛で何とかならないか?」

「ん? これは珍しいな。アイテムボックスにヒクイドリの羽か?」

「ああ、こいつなら銅貨二枚分の価値以上はあるはずだ」

「よし、二人とも通れ」

「ああ」

「うん」


「ハァ僕少しビビっちゃったよ」

「まぁ初めてなんだし仕方ないさ」

「うん。アルは優しいなぁ」

「そうか普通だろ? っとそんなことより、飯にしたいところなんだけど金がねぇ。というわけで換金しに行くぞ」

「換金ってどこにさ」

「そんなの決まってる冒険者ギルドだ」

俺とエギルは冒険者ギルドに向かった。


「換金を頼みたいんだが」

「換金ですね。品物をどうぞこちらにお置きください」

俺はエルフの国から人間の国に来るまでの間にした狩りで得た獲物たちの羽毛や革などをアイテムボックスから取り出して置き始めた。

「アイテムボックス持ち⁉ それにこちらはヒクイドリの羽毛にモモシャシャウグイの革ヒクイ獣の革ですか⁉ どれも摂取難易度Bランク以上のものですね⁉」

「ああ、森の中でとるのに苦労したぜ」

「でしょうね。ではギルドカードのご提示を」

「ああそれがギルドカード持ってないんだよ」

「そうなのですか? これほどの素材。さぞ高名な冒険者様だと思っていたのですが?」

「いや全然高名じゃない。駆け出しなんだ」

「そうだったのですね。ですがギルドカードがないと買取ができることはできるのですが、かなり安くなってしまいますよ。それでもいいですか?」

「なら、冒険者登録をしてもいいだろうか?」

「はいっぜひお願いします」

「でも金がないから登録料は買取金額から差し引いてもらって構わないだろうか?」

「はい。それはもうかまいませんよ、ではお名前を」

「えっと俺がアルで、こいつがエギルだ」

「アルさんにエギルさんですね? ではこれからギルドカードをおつくり致しますから少々お待ちください」

 それだけ言うと受付嬢さんはカウンターの奥に引っ込んでいった。

「ねぇアル冒険者登録とかギルドカードって何?」

「ああ、冒険者ギルドで買取や仕事をするのに必要な登録のことさ」

「ふ~ん」

「それから身分証にもなりますよ」

冒険者登録を終えたのか受付嬢が微笑みながら言う。

「おっもうできたのか?」

「はいこちらがアル様エギル様のギルドカードになります」

 同でできた方手のひら大のタグを渡される。

「これが僕のギルドカード」

エギルが感慨深げに顔の前に掲げて見せる。

「なくすなよ?」

「子供じゃないんだからなくすわけないじゃないかっアルは僕のことをなんだと思っているんだい」

 エギルが少し癇癪を起した子供のように言う。

「悪い悪いあんまり嬉しそうにしてたからついな」

「もう」

 二人でじゃれあっている受付嬢から声がかかる。

「買取が終わりました。全部で銀貨二十枚になります」

 もらった銀貨をかわ袋に入れる。

「よしエギル飯食いに行くぞ!」

俺はエギルの返事を待たずに足早に冒険者ギルドを去る。

「待ってよアルッ」



「ここが人間の国かぁ」

俺の後ろをついてきているエギルが感慨深げに周囲を見回しながら呟く。

 俺たちが今いるところはたくさんの屋台が道のそこかしこに並ぶ人間の国の歓楽街だ。

「おっいいにおいっ串焼肉だっこっちは何かスープみたいなものまである! おっちゃん串焼肉二本っ」

「はぁまったくアルは食いしん坊なんだから」

「じゃあエギルはいらないのか串焼肉」

「いるよっいらないなんて言ってないじゃないか!」

「じゃあほら」

 俺は屋台で買った串焼肉をエギルに手渡す。

「いっただっきまーす!」

「たまに言うよねアルなんだいその奇妙な掛け声は?」

「んああなんとなく口癖かな」

「ふ~ん」

「そんなことより早く食おうぜエギル」

「う、うん」

がつっと一口口に運ぶ。

「なんだこりゃっ筋張っててかてえっそれに味もしねぇ!」

「ううほんとだ……なにこれ食べ物なの?」

「味がしねぇのは仕方ねぇよっ香辛料を乗せた馬車が野党に襲われたんだ」

「それで何の味もしねぇのかよっにしてもよくみんなこんなの食うな」

 周りを見回す。そこかしこで串焼肉食っている姿を見つける。

「いくらまずくたって飯を食わなきゃみんな死んじまうからな」

「うう確かに」

「アルゥ」

 俺の料理で舌の肥えたエギルのすがるように俺を見てくる眼差しを見て答える。

「わかってる」

 そうエギルに答えた俺は屋台のおっちゃんから串焼肉を十本ほど買ってアイテムボックスに放り込む。

「そんなもの買ってどうするのさ」

「いーからいーから」

それだけ言うと俺とエギルは宿屋を探すことにした。

 

 俺とエギルは冒険者御用達っぽい安宿につくと、準備に取り掛かった。

「アルゥ」

「わかってるっての」

俺は宿の一室で、アイテムボックスから丸太テーブルと調理器具を取り出すと、丸太テーブルの上い調理器具を置くと調理を開始した。

今日の晩飯は筋肉の煮込みだ。

 まず寸胴鍋に水を注ぎ入れ、臭み抜きのショウガとネギ。それと醤油の実と砂糖を入れるそこに筋肉を入れて煮込み始める。

 もちろん鍋は魔道鍋なので火は必要ないし、圧力鍋の能力も持っているので早く煮あがる。

 そうして煮込み始めて二十分。


「そろそろいいか」

 圧力鍋の蓋を取り、小皿によそいエギルに木で出来たフォークと共に手渡す。

「匂いはいいけど、あの筋肉なんでしょおいしいの?」

「まぁそう思うのも仕方ないが騙されたと思って食ってみろって」

「う、うん」

恐る恐る一口

「ん~~⁉ ハフハフッ何このお肉っものすんごく柔らかいー-!!」

「だろ?」

「どうしてあんな筋張ったお肉がこんなにも柔らかくなるのさっアルってば、魔法使いなの⁉」

「はははなわけないだろ?」

「ならどうして⁉」

「それはな筋肉は臭みをちゃんととって煮込めばうまくなるんだよ」

「そうなんだ……にしてもアルって僕の知らないことたくさん知ってるよね」

エギルが口をもぐもぐさせながら、キラキラした瞳で俺を見つめてくる。

「まぁな色々あんだよ」

「色々って?」

 小動物みたいに頬を膨らませて、もぐもぐさせながら聞いてくる。

「秘密だ」

「ああまたそうやって話をそらすぅアルの意地悪」

「ははは」

こうして人間の国に来た俺たちの夜は更けていった。


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