4.こんなに簡単に。
新太郎と凛は、無人島転生アニメに続き、二人でアニメを見倒した。
晩御飯を凛が作り、一緒に食べ、風呂に入り、二人はソファーに座っている。
「あ〜、今日1日で、なんだかお兄ちゃんと仲良くなれた気がする〜。」
「そうだな。」
「そっけない返事だな〜。」
「なんて答えれば正解なんだよ?」
「う〜ん。」
「ほら見ろ。」
「ゔ。そろそろ寝ようかな〜。
明日も一緒にすごそうねっ?」
凛はニコッと笑う。
「いいけど?凛は友達と遊んだりしないのかよ?」
「えっ?お兄ちゃん、もしかして明日予定ある?」
「いや、今まで誘いという誘いを断り続けてきたんだ、早々に予定なんて入らねーよ。」
「あははっ、良かった〜。」
凛は少し悲しそうな表情をする。
「どうした?」
「・・・お兄ちゃんは大学に友達いる?」
「あぁ、一人だけだが、友達と言える奴はいるな。」
「いいな〜。」
「ん?凛は友達多そうだけど?」
「いたよ。少し前までは。」
凛は少し俯く。
「と、言うと?」
「友達のね、好きな人に告白されたんだ。その子は、まぁまぁ、性格きつくてさ〜、私、告白断ったんだけど、その子が何で断ったのって詰め寄ってきてさ。」
「良く聞く話だな。」
「まぁ、その時は、生意気だのなんだの罵られて終わったんだけど、少しするとね、多分その子が、大学中に私のある事ない事言いふらして回って、お陰で誰も近づいて来なくなったんだ〜。」
「ひどい話だな。」
「でしょ?高校の友達としばらく遊んだりしてたんだけど、ここへ引っ越してきたから、会いに行くのも遠くてさ。
だから、私は休日することないんだ。」
「そうか。じゃあ俺が相手してやるよ。」
「さすが私のお兄ちゃん!好きー!」
凛は、新太郎に抱きついた。
「ば、バカ!やめろ!」
「なんで〜?兄妹だし〜。」
「こう言うのは、いかん。」
新太郎は、凛の両肩を持つと凛を引き離した。
「ちぇー。」
「もう寝るぞ。」
「さっき相手してくれるって言った所だよ?」
「さっき寝るって言ってただろ?」
「ゔ。か、勝てない。」
「あはは。寝るぞ。」
「はぁ〜ぃ。」
二人は、自分の部屋に入った。
バタン。
新太郎はベッドに倒れ込む。
・・・これ、既にちょっと・・・俺・・・凛の事・・・。
「あー!ダメだ!ダメだぞ俺!」
新太郎は、両親に顔向けできなくなると思い、自分の芽生え始めた気持ちに蓋をする努力をした。
ガチャ。
「何がダメなの?」
新太郎がブツブツ言っていると、凛が新太郎の部屋のドアを開けた。
「なんだよ?ノックくらいしろよ。」
「え〜?なにかいかがわしい事でもするつもりだった?」
「はぁー!しねえし!」
「あははっ!図星?」
凛は、新太郎の隣りに横になった。
「ねぇ、私でそれしてみる?」
「・・・り、ん!」
新太郎は少し怒っている。
「怒らないでよ。
私、今日ここで寝る。」
凛は、新太郎の胸元におでこを寄せた。
「おぃ、正気か?」
「正気です。」
「知らんぞ?何かあっても。」
「別に・・・嫌じゃないよ?」
凛は新太郎を上目遣いで見つめる。
「はぁ。」
新太郎はため息をつく。
「なんだ?さっきの友達の話をして、寂しい気持ちが爆発でもしたか?」
「あははっ。お兄ちゃんには敵わないな。まぁ、それが半分。」
「あとの半分は?」
「もう、寝るぞ。」
凛は新太郎を真似る。
「はぁ。好きにしろ。」
新太郎は、ため息交じりに答えた。
「やっぱりお兄ちゃんは優しいね。
おやすみなさい。」
「はいはい、おやすみ。」
カチカチカチ。
時計の音さえも耳障りだ。
スースースー。
凛は、新太郎に抱きついたまま、安心した様子で眠っている。
・・・くっそー!!
気持ち良さそうに寝やがって!
俺は今日、多分寝れない。
凛は、どういう気持ちでここで寝てるんだ?
たまに誘う様な事言ったりするのは、本当にいいって事なのか?
それとも、大丈夫だと安心しているのか?
俺が凛への気持ちを伝えたら、凛は幻滅するだろうか?
はぁ。これで気持ちに蓋をするなんて・・・
もぅ、時間の問題だな、これは。
父さん、光さん、ごめん。
・・・凛は俺の事、どう思ってるんだろうか?
新太郎は、スヤスヤ眠る凛を見つめた。
「もぅ・・・認めよう。」
新太郎は小さく呟くと、両親の顔を思い浮かべ罪悪感を感じながらも、自分の気持ちを認める事にした。
カーテンを通して朝日が昇るのが分かる。
・・・眠れなかった。




