1.父から突然の報告。
「えっ?誰?」
住み慣れた我が家。
いつもの様に、大学の講義を終えて帰宅した。
玄関を開けると、玄関ホールに見慣れない女が立っている。
今、父は仕事の時間だ。
そこに立っているのが、人相の悪い男なら、俺は殴りかかるか、家を飛び出して警察を呼ぶの2択を迫られていただろう。
だが、目の前にいるのは、敵意を感じない、女の子だ。
年は同じくらいだろうか?
「あっ、こんにちは。
私、鈴木 凛です。
新太郎くん、だよね?
今日から、大前 凛になります。
よろしくね。
ごめん!私、ちょっとトイレに。
あっ!お父さん、リビングにいるよ〜。」
「・・・。」
そう、確かに俺は大前 新太郎だ。
突然の事にだんまりを決め込む俺を尻目に、女はトイレに。
詳しく聞きそびれた。
状況が掴めん。
なんだ?何が起きてるんだ?
父さんは・・・リビングにいるって言ってたな。
新太郎は、荷物を玄関に投げ捨てると、リビングに飛び込んだ。
「父さん!あれは誰だ!?
・・・そして・・・誰だ?」
リビングのソファーには、新太郎の父が座り、隣りにまたまた知らない女が。
「おー!新太郎、帰ったか。」
「帰ったかじゃなくてさ。」
新太郎は、父につめよる。
「すまん、新太郎。
年甲斐も無くて恥ずかしくて言い出せなかったんだが、父さん、再婚した。
今日からこの光さんと、今トイレに行ってるが、凛ちゃんがここに住む。」
「おぃ。父さん。色々突っ込みどころはあるが・・・まぁ、いい。
整理させてくれ。
その隣りの光さんが、父さんの再婚相手で、その娘が玄関で会った凛って子って事で間違いないな?」
「あぁ。正解だ。
凛ちゃんとは会ったんだな。
話が早い。」
「あぁ、正解だ、話が早い、じゃないんだよー!」
新太郎は頭を抱え、父を睨む。
「だから、謝ってるだろ?
父さんはシャイなんだ。」
「何がシャイだ。
こんな大事な事、事前に言えよ!」
「まぁ、こうなったんだ、仕方無い。
凛ちゃんと仲良くするんだぞ〜。」
「仕方無いはこっちが妥協して言うセリフだよ。」
新太郎は、仕方なくソファーに座る。
「新太郎です。父さんをよろしくお願いします。」
「光です。今日から新太郎くんのお母さんだから、遠慮なく色々言ってね。」
「は、はぃ。」
「あっ、凛!座って。」
「うん。」
凛はソファーに座る。
「娘の凛です。仲良くしてあげてね。」
「新太郎です。よろしく。」
「うん。よろしくね、お兄ちゃん!」
「お、お兄ちゃん?」
「うん、私の方が年は一つ下だから。」
「そ、そう。」
お兄ちゃん・・・悪く無い響きだ。
だが、だがしかしだ!
女に免疫の無い俺が、突然ほぼ同い年のこの子と一つ屋根の下で暮らすのか?
見た目はギャルと言うやつか?
茶髪だが、長い髪は綺麗だ。
顔は美人と言う程では無いが、スタイル良くて・・・む、胸がでかいな。
いや!いかんいかん!妹だ!
妹なんだ!
「お兄ちゃん?今エロい目で私を見てたよね?」
「はぁーー!!!見てねーし!」
「え〜絶対みてたー!」
「見てない。」
新太郎は不機嫌そうに俯く。
「まぁ、血のつながりは無いし、別に二人の事をどうこう言うつもりはないわよ〜?」
光は、笑っている。
「勘弁して下さいよ。」
「あはははっ!冗談よ。
新太郎くん、突然押しかけてごめんね。仲良くやっていけたら嬉しいわ。」
「はい。よろしくお願いします。」
「新太郎くんがご飯とか洗濯とかしてたんだってね〜。すごいわね〜。」
「まぁ、父さんがポンコツなんで。」
「ポンコツとはひどいな。」
父は落ち込んでいる。
「これからは、私がするから。
そしたら、ちょっとは再婚の事、良かったって思ってくれるかしら?」
「えっ?いいんですか!?」
「もちろん。凛も料理できるのよ〜。
新太郎くんの負担も大分減ると思うから、期待しててね。」
「はい!」
おー!再婚ありがとう!
これで大学の友達と遊んだりできる!
学業と言う仕事をしながら、主婦をこなす俺の人生が一変する!
あ〜!もう、幸せだー!
新太郎は、一気にご機嫌になった。
「良かった、良かった。」
父は嬉しそうに頷いている。
「良かったじゃないんだよ。
父さんの事はまだ許してないからな〜。」
「そう言うなよ〜。」
「あはははっ!」
リビングを、温かい雰囲気がつつみ込んだ。




