表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雌犬の仕返し、略奪女の復讐  作者: 江本マシメサ
第七章 傲慢たる者に、鉄槌を!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/121

出発!

 レンが中庭に竜を召喚する。立派な巨躯を持つ暗黒竜だ。

 前回は車体を運ぶ竜車として乗ったのだが、今日は背中に騎乗して移動する。

 暗黒竜の背には鞍が装着されていた。

 マルティナ夫人は竜を初めて目にしたようで、まじまじと観察している。


「これが竜か。見た目は獰猛そうだが、大人しいな」

「触ってみますか?」

「いいや、遠慮しておこう」


 すぐに出発できる状態だという。

 そういえば、大精霊ボルゾイとガウラの姿がない。いったいどこに行ったのか。


「ボルゾイ、どこにいるのよ!」

『こちらに』


 草木が並ぶ茂みから這い出てくる。ガウラも一緒だった。


「どこに行っていたのよ。出発するわよ」

『いいえ、わたくしはここでお帰りを待っております』

「どうしてよ」

『一緒に行ってもお役に立てませんので。それに……わたくしがいたら』

「いたらなんなのよ」

「おい、ヴィオラ、何をもたもたしている! 早く出発しろ!」


 ここでマルティナ夫人の秘書官が現れ、聖教会の者がやってきたと告げる。


「くそ! もう見つかったのか!」


 一刻も早く出発したほうがよさそうだ。


『ガウラは連れていってくださいませ!』


 大精霊ボルゾイがそう言うと、ガウラはわたしの胸に飛び込んでくる。


「ヴィオラさん、出発しましょう」

「え、ええ」


 レンの手を借り、暗黒竜の背中に乗る。

 地上に残った大精霊ボルゾイが叫んだ。


『なぜ、わたくしが世界樹から生まれた存在でないのか、世界樹の大精霊様がご存じだと思いますので』


 どうやら彼女の口から言えない事情というのがあるらしい。


「わかったわ! あなたは、マルティナ夫人の話し相手にでもなってあげて!」

『承知いたしました!』


 大精霊ボルゾイとマルティナ夫人の見送りを受け、わたし達は王都を発つ。

 竜は翼を動かすと、ゆっくりゆっくり上昇していった。


「いたぞ!!」

「アイスコレッタ卿!!」


 聖教会から派遣された聖騎士達が、庭を駆けてくる様子が見えた。

 ここでぐん! と一気に上昇する。

 風圧を受けるかと思って覚悟していたのに、何も感じない。

 揺れや振動などもなく。気圧差による影響もなかった。

 なんでもレンが結界を展開しているので、竜車に乗っているときと感覚は変わらないという。


「あなたも竜もすごいわ」

「お褒めにあずかり光栄です」


 ガウラは怖がる様子はなく、興味津々とばかりに周囲の景色を見渡していた。


「少し、急ぎましょう」

「ええ」


 竜は野を越え山を越え、ぐんぐん進んで行った。

 二時間ほど進んだあと、少し休憩を取る。

 湖の畔に着地し、マルティナ夫人が持たせてくれた昼食をいただいた。


「ヴィオラさん、疲れていませんか?」

「わたしは平気よ。あなたのほうこそ、疲れているんじゃないの?」

「いいえ、ぜんぜん疲れていません」

「そう、よかった」


 一時間ほど休憩したのちに、再度出発する。

 

「あと三時間ほど飛んだ先に、世界樹はあるそうです」

「思っていたよりも近くにあるのね」

「ええ」


 ただ下りてすぐの場所にあるわけではないという。


「世界樹は〝大森林〟と呼ばれる、巨大な森の中にあるようで」


 それは世界樹を守る結界でもあるようだ。


「大森林が世界樹を守っているので、直接下り立つことができないみたいで」

「そうなの」


 大森林に下りたってからは、歩いて世界樹のもとまで向かわないといけないようだ。


「大森林には凶悪な魔物もいまして――」


 レンとガウラが同時に反応し、背後をじっと見つめる。


「どうしたの?」

「魔獣の気配――いいえ、それだけではありませんね」


 ガウラも低く唸っている。

 レンは立ち上がり、剣を抜きながら信じがたいことを口にする。


「ワイバーンに跨がった聖騎士達が、こちらを猛追しているようです」

「なんですって!?」


 レンを連れ戻すために、とんでもない部隊を派遣してきたようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ