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雌犬の仕返し、略奪女の復讐  作者: 江本マシメサ
第七章 傲慢たる者に、鉄槌を!

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初めてのパターン

 朝を告げる小鳥が、チイチイチイと鳴いている声で目を覚ます。

 わたしはいったいいつまで時間が巻き戻ったのか。

 正直、恐ろしい。

 瞼を開かずに、声をかける。


「ねえ、ボルゾイいる?」

『おりますとも』

「ガウラは?」

『わうん!』


 どうやらメンバーは揃っているらしい。

 勇気を振り絞って瞼を開き、いったいいつまで時間が巻き戻ったのか調べてみた。


「――っ!!」


 両手を広げ、大きさを確認する。

 大人の大きな手だった。


「ということは!?」


 起き上がって枕元に置いてある手鏡を確認する。

 よく見えないので、手元にあった燭台に火を付けてから鏡を覗いてみた。


「よかった! 子どもではない、大人に巻き戻ったわ!」


 これまで時間の巻き戻りは高い確率で子ども時代だった。

 鏡には十八歳くらいのわたしが映っている。

 深く安堵したのだった。

 ここで周囲の状況を確認する。

 まだ薄暗い時間だが、ガウラの能力〝光源ブライト〟を使って辺りを照らしてみた。


「――え?」


 十八歳のわたしに時間が巻き戻ったのならば、下町のぼろ家にいたはずだ。

 それなのにわたしは今、マルティナ夫人の屋敷にいる。

 もっと詳しく言えば、マルティナ夫人の屋敷にあるわたしの寝室だった。


「ねえ、どういうことなの?」

『どうかなさいましたか?』

『わう?』


 大精霊ボルゾイとガウラが、不思議そうな表情でわたしを見つめる。


「これまでの巻き戻りと違うの。なんて説明したらいいのかしら……。今のわたしは、六度目の人生のわたしに時間軸が巻き戻っているみたい」


 これでわかるかと聞いたら、大精霊ボルゾイは頷き、ガウラは小首を傾げる。

 私物なども確認したが、間違いない。

 十歳の頃に家を出て、マルティナ夫人と意気投合し、共に商売を行って〝マルティナ商会〟を開いた、六度目の人生のわたしだった。


「こんなことってあるの?」

『何か、不思議な力は働いたのかもしれませんね』

「思い当たるとしたら、時間が巻き戻る前に〝がんボルゾイ!!〟って言ったことかしら?」

『それは、おそらく関係ないかと』


 まあ、〝因果応報マウン=雌犬の仕返しティング〟自体がよくわからない祝福だ。こういうこともあるのだろう、くらいに思っておく。


 寝室にはトルソーに着せられたドレスが置かれてあった。


「これは――レンに再会した日の夜会に着ていく予定のドレスだわ!」


 ということは、レンと婚約する前のわたしだということになる。


「よかった……」


 もしも結婚の約束をしたあとだったら、破棄しなければならない。

 レンを傷つけずに済むようで、深く安堵する。

 ホッとしたのもつかの間のこと。

 次なる問題について思い出してしまった。


「そうだわ。この時間軸に巻き戻ったということは、〝ブラッティ・ナイフ〟もあるじゃない!」

『なんですの、それは?』

「ヒルディスを前にしたら、彼女の命を奪おうとナイフが突き出てくる呪いよ」

『まあ!! いったいどなたがそのような魔法を?』

「わからないの」


 何があってもヒルディスの前に出ないようにしなくては。


「とにかく、ヒルディスがやってくる夜会には不参加にすることにして、あとは――」


 わたしに呪いをかけた奴についての調査をしたい。

 ただ、どうすればいいものか。

 なんて考えていたら、バルコニーに繋がる扉のほうからコツコツと物音が聞こえる。


「え、今の何? 鳥……じゃないわよね?」

『人の気配がいたします』

『くうん!』

「嘘でしょう?」


 ここは二階だ。簡単に上がってこられるような場所ではない。


「いったい誰なの!?」


 その言葉に応えるかのように、声が聞こえた。


「ヴィオラさん、私です! ケレン・フォン・アイスコレッタです!」

「え!?」


 急いでカーテンを開くと、バルコニーにレンがいたのでギョッとする。


「ど、どうしてなの!?」


 彼とは再会する前の時間軸である。

 混乱しつつ、ただただ呆然とレンを見つめたのだった。


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