ツクヨミが最近嫌われてる
「ツクヨミさ、人間に最近嫌われてない?」
「え。マジで?」
「マジマジ、ほら見てよ」
アマテラスがスマホの画面をツクヨミに見せる。
「あぁー、これSNSってやつ? そういや、スサノオが『和歌より使いやすい』って言ってたわ」
「ここ、ほら、たったさっき10年前更新の記事」
幽世で流行しているSNS、Yatter(略称 八咫)の『本世紀のニュース』欄が表示されている。
アマテラスが指さした場所には、こう書いてあった。
『大和国民一億人による神々人気ランキング 最下位はツクヨミか』
「は? マジじゃねぇか。なんで?」
「なんかやらかした?」
「何もしてねえよ。そういうのはスサノオだけだろ」
ツクヨミはスマホをアマテラスから取り上げて、記事を開く。
「アマテラス一位じゃねえか! というか僕とアマテラスと、誰だ? アマツミカボシ? って神以外無投票じゃん」
「確かに、イザナギ父さんがいないのは変だね」
「くそ、ちょっと現世見てくる。確かめないと」
ツクヨミは月に憑依して、人間の思考を見る。
寝る前の人間は皆、一様にこう考えていた。
『明日、月曜日か。嫌だな』