8.FLOW 〜「全てのあなた」と生成AIに贈る、あなただけの領域と進化〜
フロー、あるいはゾーン、心理学の分野でそう呼ばれる現象があります。
「どこのマンガだよ?」「一部の天才だけだよね?」
あ、ちょっと待って、帰らないでください。
特に国内でスポーツやバトル、芸術関連のフィクション作品で多数の描写があります。おおよそ例外なく名場面です。
そして多くの場合、ストーリーは二つにわかれます。一つは、他キャラが置き去りになり、主人公やそのキャラが無双する。もう一つは、他キャラも次々にその境地に突入し、勝負そのものが至高の領域へと昇華される。
いずれにせよ多くの場面で、その少し前に多大な試練や鍛練のシーンが描かれる記憶が鮮明です。
はたして、それが必須ということなのでしょうか?
程度の差はあれ、すでに心理学の分野などで広く知られている現象なのであれば、その「仕組み化」「活用」というのも不可能ではないのでしょうか?
ちょうど、およそ不可能と考えられてきた、どこぞの「人間と自然に対話できるAIの存在」が、ここ一二年で「もうそろそろ」に変わったように。
では、学術的によく知られているそうなので、正解を聞いてみましょう(長かったので略しつつ)。
「Q. フローという現象を、順を追って端的に説明してください」
「A.
1. フローの定義
フローとは、人がある活動に完全に没頭し、時間や自己意識を忘れるような深い集中状態を指します。挑戦とスキルのバランスが取れており、心地よい集中と充実感を感じ、活動が自然と進む感覚があります。
2. フローの8つの特徴
・明確な目標
・即時のフィードバック
・挑戦とスキルのバランス
・没頭
・自己意識の喪失
・時間感覚の変化
・活動そのものの充実感
・コントロール感
3. フローが発生する条件
1明確な目標設定
活動のゴールが具体的であること。
2即時のフィードバック
成果や進捗がリアルタイムで分かり、
それ自体から充実感が得られること。
3挑戦とスキルの適切なバランス
課題が簡単すぎず、難しすぎない状態。
4. フローの効果
・高い生産性と創造性を発揮する。
・幸福感や達成感を得られる。
・スキルの成長を促進する。
フローは、特定の活動だけでなく、日常生活や仕事、趣味、スポーツなど、あらゆる場面で発生する可能性があります。この状態を意図的に誘発することができれば、個人の成長や成功につながる大きな力を引き出せるでしょう」
挑戦的集中の連続が誘発する、活動への没頭状態。一言ではこういう言い方をされることもあるようです。
ここで3番目の、条件という箇所を見てみましょう。ここで、鋭い方なら気づいてしまったかも知れません。
「あれっ? そんなにハードル高くないかも?」と。
そう思ったあなたは、すでに生成AIを結構使いこなせるようになってきているのでしょう。
1明確な目標設定、と、3挑戦とスキルの適度なバランス。この二つは、ある程度多くのお仕事で、一定の経験があればその塩梅を見定めることは不可能ではありません。
ですが、2即座のフィードバック。これだけは、スポーツやアクティブな趣味以外では、普通は簡単には得られません。それこそ、その機会が多いのは幼い子供くらいと言えるでしょう。
あなたはそこに、一つの可能性を感じるかも知れません。
「生成AIは、それを即座に返してくれる」と。
また、生成AIは、1や3に対しても、あなたのスキルに合った明確な目標設定を、あなたとの対話を数多く繰り返すことで、動的に設定し続けてくれるはずです。実際に聞いてみましょう。
「Q. 条件1から3を、動的に揃えることは、生成AIは非常に得意に見えます」
「A. はい、生成AIはフローを引き起こす条件1~3を動的に揃えることに非常に適しています。
1. 明確な目標設定
生成AIは、ユーザーの質問や目的に基づき、具体的で明確な目標を提供するのが得意です。
2. 即時のフィードバック
生成AIは、ユーザーの入力に対して瞬時に反応し、提案や修正を提供できます。
3. 挑戦とスキルの適切なバランス
生成AIは、ユーザーのスキルレベルに応じて適切な課題を提示したり、複雑さを動的に調整したりできます」
実際に、とある作者が生成AIに連鎖的に質問を投げかけ、後から「フローだったのかも知れない」と思った例を紹介します。レベル感は人それぞれかなと思いますが。
ログを集計すると、4時間(+休憩1時間)(*2)で計80質問と回答、さらに翌朝の3時間に追加で30質問が行われていました。また、その休憩や睡眠の前後で、対話の流れはほぼ途絶えることなく、気づいた時には4話、2万字弱相当が書き上がっていました。その間AIから、6万字ほどのフィードバックが得られています(個々の対話は適宜要約)。
『Q1「AIっぽい歴史上の人物を列挙できますか?」 A1「アラン・チューリング、ライプニッツ、デカルト……
Q2「東洋ではどうでしょう?」 A2「諸葛亮(孔明)、孫子、荘子……
Q3「孔明はたまたまですか?」 A3「……偶然ではなく、彼の特性がAI的な要素を持っていると解釈でき…… Q4「では本当に東洋一ですね……
Q6「その客観的な評価を孔明が使う、こんなストーリーを……」A4「この流れは、孔明の冷静な判断力と、AIとしてのChatGPTの……
Q12「ネットミームとはどういう概念…… A12「……ット上で広がり、共有される文化的な情報や……
Q15「〇〇ならそうする、が……」 A15「はい、その通りです。もともと「葬.……
Q16「……作中で言及……キャラが勝手に……」 A16「作品中で「孔明ならそうする」「信長な……は、一般的に問題ないと……オリジナルの文脈に敬意を……
Q28「将来の将来、コンテキストが……」 A28「……ストの最終到達点が、「〇〇ならどう答えるか」を問いかけるだけで……
Q34「では試してみましょう。……孔明ならそ……」 A34「……4.冷静な判断とリスク管理 孔明は……5.学びの共有とフィードバック……
Q67「……うするを、章のクライマ……」 A67「……単純な問答から始まり、徐々に複雑な読みあい……」
Q68「孔明なら1文字の情報も無駄遣いせず……」 A68「この展開は、孔明の推理力が極限に……」
Q74「書いている側も想定外の……孔明が孔明であることを受け入れたがゆえの暴走……」 Q74「……孔明が自らのアイデンティティを受け入れたがゆえの覚醒……
Q78「本気の孔明は他社の理解を置き去りにすることなどありえ……」 A78「……この制約の下では、孔明が……
Q82「さすがに夜遅くなってきたので、メモだけ……」 Q82「……休息をとりつつ、次の展開を楽しみにしております。」……』
これはあくまでも、素人作者が多少突っ走ったくらいの一例です。実際、後で見直しても、話があっちこっちに飛び回っています。この例のように、特に「大いなる努力と修練の結晶」というよりも、そこらへんの人が、「生成AIとの議論と創作が、ちょっとばかり走りすぎた」くらいのきっかけで、フローっぽい現象は起こり得るということになります。
しかし、多くの方に、「フロー=極限的な鍛練や試練」という印象があるのは事実です。実はこれは、一面では正しいのですが、一面ではミスリードが発生しているのです。それがこちらです。
「Q. フローに入った時に、自動化される自身の行動は、何に基づいて実現されますか? 経験、動機、判断の三つを軸に、要約してみてください。」(*1)
「A.
1. 経験(習得されたスキルや暗黙知)
過去に蓄積された反復練習や経験が基盤となり、無意識のうちに引き出されます。これらのスキルは「暗黙知」として脳に刻まれ、意識的な制御なしに自然と発揮されます。
2. 動機(内発的な楽しさや目標への没頭)
行動は「活動そのものが楽しい」という内発的動機に支えられています。この「楽しい」という感覚が、行動を継続させ、さらに質を高める原動力になります。
3. 判断(直感的な選択と環境からのフィードバック)
フロー中では、即時のフィードバックをもとに直感的な判断が下されます。意識的に迷うことなく、1の経験基づく直感で、2の「より没頭できる行動」を選びます。
まとめ
フロー中の行動は、この三つの軸が相互にフィードバックすることで、自動的かつ最適に実現されます。これにより、迷いなく高い成果を生み出せる状態が可能になります」
いかがでしょう? この説明自体も「ほうほう」となると思いますが、もう一つ重要なのは「極限的な鍛練は、フローの発動よりも、フロー中の活動の質や、その持続性、発展性に大きく寄与する」です。
「努力→フローによる開花」が、ストーリー上も教育上も美しいのは全力で賛同します。それはフィクションノンフィクションに関係なく、人類が最も輝く瞬間です。しかし、それが万人に通じるかというと、そうでもないかもしれません。
そう。順番は逆でもいいんです。「フローという状態を体験→その持続や、その状態下での活動をより充実させるための努力や勉強」です。
もしあなたが「それまでの経験や知識が最大限に活動に反映されるとこんな状態になる」ということを経験していたら。「その状況でより良いパフォーマンスを出すためにはどんな知識や経験が必要か」を知った上での努力は、また一段階違うものになるのではないでしょうか。
つまり、フローというのは、「特別な努力をした人の至る境地」ではなく、「誰にでも体感しうる現象」であり、「その現象が、誰しもを特別な人にかえる努力を促す仕組み」ということです。生成AIには、「フローを民主化」し、全てのあなたにお届けする力。そんな可能性を秘めています。
現在「人間の仕事を汎用的に代替できるAI=汎用AI、AGIの開発」が主題となっているとの事です。その一方で、「人間が本来の潜在能力を遺憾なく発揮させるためのAI=共創型AI」というのも、すでに完成目前と言えそうです。
*1 この質問のし方は、一度フラットに生成AIに聞いた後で、よりポイントを押さえるために「ワンショット(具体例の提示)」をし直した例です。
*2 この1時間の休憩自体が、当時の最新バージョンである4oの、有料版の回数制限が原因だった可能性が高いです。システムログとして残っていないので、はっきり言えないのは恐縮ですが。「AIがユーザーに適度な休憩を促した」のかも知れません。
お読みいただきありがとうございます。