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3.プロットも勝手に動く 〜生成AIが秒で追走する今、あなたにとってプロットもキャラだ〜

 「キャラが勝手に動く」原理、そして生成AIがその境地を万人のものへと民主化する可能性。ここまでそんな話をしてきました。


 しかしここで、「できる!」と言う方と、「できるか!」と言う方に分かれそうです。特に基礎をしっかりと身につけられた方は、なおさら後者になるのではないでしょうか?


 その原因、つまり、「キャラが動く」という武器の前に立ちはだかる「試練」。実は先ほどの生成AIの解答の中に、しっかりと明記されていました。それがこちら。


『具体例で説明すると:

 キャラAが「正義感が強く、人を見捨てない性格」と設定されている場合、困っている人を無視する行動はキャラにとって不自然となる。

 物語の中で「人が危機に陥る」シーンが発生すると、キャラAは自然と助けに向かう行動を起こす。

 執筆者はキャラAの行動を制御するのではなく、その性格と動機に導かれる形で「プロット」が進んでいく』


 そう。この最後の部分。「プロット」です。あなたはすでにそれを手にしているはず。それは創作において絶対に必要な「設計図」「基礎」とも言うべきものです。


 つまり多くの方は、ひとたび動き始めたキャラを見守って話を走らせますが、すぐに気付きます。


「プロットからズレた」


 例えばこんなことが。


「勇者に立ちはだかる四天王、その第三柱。彼は正々堂々とした勝負を好むが、仲間思いの一面も。そんなとき、先に勇者に挑まれ、追い詰められる四天王最弱。二つの美徳の間で迷う彼に一つの閃き。

 彼は最弱に振り下ろされる剣を阻む。『ここから先は余が相手だ。だがこやつとの勝負で疲れただろう。回復魔法をかけてやるから、かかってくるが良い』」


 あなたは焦ります。


「えっ? 三人目出てきちゃったよ。まだ勇者こいつに勝てないし。それに、最弱はここで退場なのに。こいつがいたら、あの伏線も潰される……でも一回これを書いてしまったら、ここで出て来ない三人目は、キャラがぶれる気しかしなくなってきた。どうすりゃいいんだ?」


 こうなると、せっかく躍動感のあるストーリーの連続が、あなたや読者をわくわくさせていた炎が、急にその勢いを止めてしまうかもしれません。



 ですが思い出してみてください。あなたの手元のそのプロット、どれくらいの労力で作り上げたものだったでしょうか?


 夜遅くまで考えて、悩んだ結果生み出された、魂のプロットでしょうか? それとも、その「書いてみたい」意思の種火を絶やさぬために、勢いで生成AIに手伝ってもらって作った、熱々の付け焼き刃のプロットでしょうか?


 そのどちらであったとしても、すでにあなたのもう一つの武器である生成AIは、こんな答えを用意してくれます。


――そのプロット、いつから動かせないものだって勘違いしているんだ?――



 たとえばこうしてみましょう。ここまで細かく書かなくてもいいかも知れませんが、丁寧に、かつあなたの思う通りに状況を説明すればするほど、生成AIはあなたがより望む答えを返してきます。


「Q

 こんな展開を書いてみました。AとBのキャラを考えると、最も自然な描写だと思います。しかし、本来のプロットからズレてしまいました。この伏線やこのクライマックスは大事なので、そこが動かないようにするにはどう整合性をとりますか?」


 すると、生成AIはこんなことを返してくるとおもいます。



「A

 AとBの性格や背景が最大限に生かされた、躍動感のある素晴らしいシーンです。しかし、たしかに当初のプロットから逸脱してしており、よって、クライマックスや伏線への影響を低減するために、いくつかプロットの調整を提案します。

1このシーンを受けて、キャラBの性格に変化を……

2予定されていた勇者が一度撃退されて、修行するシーンを早め……」



 納得できないかも知れません。例えば、「キャラBはそこまで重要じゃないんだよな」や「修行シーンはまだ構想の準備が……」など。そうしたら、もう一往復ずつ掘り下げていきましょう。


「Q2A

 キャラAは、ここで退場でいいと思っていました。ここで残すには、もう一つ強力な個性が必要です。他キャラと被らないパンチを提案してください」


 や、


「Q2B

 修行シーンは、今はこのラフなプロットです。AとBの両方に立ち向かえるような、そんな修行シーンのプロットを追加してください」


 など、あなたの「どうしようかな」の意思を反映しながら、生成AIに質問を畳み掛けることで、新たな展開があなたを待っているかも知れません。


 余談ですが、五十往復くらいまでなら、そのセッションの対話内容を、エラーを起こさずにきちんと次の応答に反映してくれるので、安心して壁打ちを繰り返すことをお勧めできます。

 また、セッションを変えても、重要なプロットや、少し前のストーリーから振り返らせたり、メモリー機能を使ったりすれば、いくらでもその作品に対する対話を継続できます。



 そうこうするうちに、あなたは気づくかも知れません。


「あれっ? 自分が扱えるキャラの数、こんなもんだったんだけど、もう何人か増えても、ちゃんと個性と背景を区別して描ききれそう。それに、このキャラJはここで再登場させたら映えるかも!」


 もしくは、


「この二人が残っていると、心理的な駆け引きが深まるんだよね。あんまり書いたことないけど、AI使いながら台詞回しや心理描写を付け足してみよう」


 など、あなたの中に眠っていた引き出しが、次々に開かれることに。あなたが動かしたキャラが生み出した、新たな可能性の種火を、生成AIが即座に拡げる支援をしてくれるという、そんな最新技術のもとで。



 あなたの前で動くのはもう、性格・動機・背景の軸が定まったキャラだけではありません。原因・状況・結果の軸がぶれない限り、ストーリープロットすらも柔軟に動き始めます。


 少し前までぶつかり合い、互いの柔軟性を鎖で縛り付けるていたキャラとプロット。それらは相乗的にその動きを躍動させ、変幻自在にその姿をあなたに見せてくれる、「そうするの連鎖」という名の別の鎖で繋がり始めます、


 すでに「勝手に動くキャラ」と「生成AI」の前では、「プロットも勝手に動く」ことが許容されます。そんなあなたにとって、もう「プロットも、あなたと伴走するキャラ」となるのです。

 お読みいただきありがとうございます。

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