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2.キャラを動かす奇跡の六文字 〜生成AIならそう支えた〜

 「キャラが勝手に動く」。クリエイターなら何度となく聞いたことのあるフレーズだと思います。それは一部の天才や、熟練者にのみ許された境地。


 だとすると、生成AIは、その仕組みを言語化するのに難儀するかも知れません。試してみましょう。



「Q .「キャラが勝手に動く」という原理を、簡潔に説明してください」


『A .「キャラが勝手に動く」とは、キャラクターの性格や背景、動機が詳細に設定されていることで、執筆者が意図的に操作しなくても、キャラがその設定に基づいて自然な行動を取るように見える現象です。


具体例で説明すると:

 キャラAが「正義感が強く、人を見捨てない性格」と設定されている場合、困っている人を無視する行動はキャラにとって不自然となる。

 物語の中で「人が危機に陥る」シーンが発生すると、キャラAは自然と助けに向かう行動を起こす。

 執筆者はキャラAの行動を制御するのではなく、その性格と動機に導かれる形で「プロット」が進んでいく。


ポイント:

 性格・動機・背景がしっかり設定されているキャラクターは、特定の状況下で「どう動くか」を自然に導き出せる。

 執筆者がキャラの行動を予想しきれず、キャラが自律的に動いているように感じることがある。


生成AIとの関係性:

 生成AIを活用すると、この「キャラが勝手に動く」現象をさらに加速させることができます。AIがキャラ設定を基に、予想外の自然な行動やセリフを生成し、物語の展開に新たな方向性を与えることが可能です』



 あれっ? できてしまいました。

 もしかしたら、ダブルでそうかも知れません。


 生成AIは、一見高度な技術でも、「言語化」されているものならば、そのプロセスを万人向けに提示してくれるのかも知れません。

 そして、「キャラが勝手に動く」という境地すらも、実はその「万人向け」技術なのかも知れません。


 では、せっかく生成AIが言語化してくれたので、なぜ難しいのか、そして、なぜできるかも知れないのか、読み解いてみましょう。



 読み解くまでもなく、その条件が繰り返し説明されていますね。「キャラの性格・動機・背景が詳細に設定されている」です。

 

 これは皆さんなら容易に想像がつきそうです。書籍化、コミカライズ、アニメ化、そうした作品群はほぼ例外なく、その主人公やサブキャラたちが「ぶれないキャラクター像」を持っているでしょう。


 とくにWeb小説系の流れを汲んでいると、やや長いタイトル時点でその人物の性格、動機、背景の一つが二つが表現されていることと思います。


「異世界にクラスごと飛ばされた俺は、能力が地味で追放されたから、その先でスローライフを送る」


「前世でプレイしたゲームの悪役令嬢に転生した私は、性格を矯正して、破滅エンドを避ける」


「誰にも本心がバレない最強ヒロインは、平凡な僕の前でだけなぜか計算ミスをする」


 いかがでしょう? てきとうにそれっぽいタイトルを並べてみましたが、性格・動機・背景。順番は違えど三つとも揃っていそうです。


 もちろん、タイトルでその三つを揃えることは必要条件ではありません。しかし、ストーリーの早い段階で、主要キャラのその三つを、可及的速やかに確定させることが重要なようです。


 もちろん謎キャラも重要なスパイスですが、その謎キャラは、「読者にとって」もしくは「他の登場人物にとって」謎なだけです。あなたにとっても謎だとしたら、そのキャラ間違いなくストーリーを進めていくうちに迷子になるでしょう。謎キャラこそ設定はしっかり固めましょう。



 その上で、「この設定で、魅力的なストーリーが描けるかな? 自分や読者が自然に話に没入できるかな?」そう思ったあなた、試しにそこでスタンバイしている生成AIに聞いてみてもいいでしょう。


「Q1. 〇〇の性格・動機・背景を持ったキャラAと、**のキャラBを、こんな場面で会話(行動)させてみてください」


 すると、「少し挑発的な提案をしたAの言葉をBが遮って答える。だがそれこそAが望んだ答えだった」なんていう場面が生成されるかも知れません。


 いまいち魅力に欠ける。もしくは、生成AIがうまく表現してくれない。そんな時は、設定の言語化が不足している可能性があります。あなたの選択肢は二つ。

一つは、その設定を自分で練り直す。もう一つは、生成AIにこう聞いてみましょう。


「Q2.こいつのキャラが弱いんだけど、どういう補完をすればいいですか?」


 すると、例えば「キャラAの性格に『ユーモア』を」「キャラBの背景に『孤児としての過去』を」なんて言ってくるでしょう。そこにあなたが『ちょっと古臭いユーモア』や、『Aが覚えていない、同じ孤児院で過ごした過去』を足すのも気分次第です。


 そしてよくみると、Q1とQ2が無限ループさせられる事に、鋭い方ならお気づきになるかも知れません。そうして、「勝手に動くキャラ」の完成です。


 そのキャラは、あなたの無意識が動かすかも知れません。もしくは、言語化されたキャラ像は、生成AIが勝手に動かしてしまうことすらあるでしょう。どっか行ってしまったら、もとのストーリーに連れ戻してもいいですし、新たな可能性に着いていくのも、新たなキャラCを作って彼を置いていくのも、それはあなたの自由です。


 と、ここまでが「説明好きの生成AIヘビーユーザー」というキャラが、「AIにダメ出しされながら勝手に動いて説明」した結果です。



 そしてこの現象が、魔法のような、さらに短い言葉で表現されます。


「〇〇ならそうした」


 それは、とある偉大な作品の、偉大なキャラの一言から生まれた、理論とも評されるネットミームです。


 その理論とはやや意味合いがずれますが、この言葉、これから行動する皆様におきかえるとこうなります。


「〇〇ならそうする」


 こと創作においては、そのキャラ像が深く掘り下げられていれば、この六文字だけで、ストーリーは連続的に、連鎖的に生み出されていきます。


「Aならこんな村の状況で、後先考えず助けに入る」


「Bなら一度は止めるが、冷静に状況を判断して村の被害を抑えに回る」


「Aに憧れて力をつけたCなら、似たような状況でAとBのやったことを同時にやってのける」


 それを紡ぎ出すのは、あなた自身かも知れませんし、生成AIかも知れません。そしてそれは、続ければ続けるほど強化され、加速されることでしょう。その奇跡の六文字「ならそうする」を起点として。



 ……ですが、そんなあなたの前に、「ボス」が立ちはだかるかも知れません。すでに生成AIが、先ほどその名を明かしています。

 お読みいただきありがとうございます。

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