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3.使い捨てのプロット 〜秒で作られたんだ。秒で作り替えてもいいよね〜

 長い時間をかけて作られたものは、それだけで価値を持ちます。だから、誰がどれだけそこに時間をかけたのかを知る者の手で、それが壊されることは決してありません。それがどれだけ拙い絵や字の書かれた手紙であっても。


 特にそれが、自らが思い描き、これから愛するのだろう、新しい世界の設計図だとしたら。それが練りに練られ、夜明けとともに完成を迎えた、そんな代物だとしたら。


 そんなふうに作られたプロットであれば、多少キャラが勝手に動いたところで、簡単に揺らがせることは難しいでしょう。そのキャラにブレーキをかけて、「こっちで動いてね」と手直しして、確固たる柱が揺るがないことを確かめることでしょう。


 ですがもし、そのプロットが、生成AIの支援わかりながら、秒、あるいは分単位で練り上げられたものだったのなら? 生成AIと何往復や何十往復したとて、大した時間がかかっていないとしたら? 


 あなたはおそらく、キャラの躍動と共にそれが捻じ曲がったとしても、惜しむことなくプロットを動かし、キャラが描いた道筋と共鳴する、新たな軸を立て直しにかかるでしょう。



 少し違う話をします。あなたは、いくつかのシートに記入事項が分けられた、定型フォーマットのエクセルファイルに記入された、数百件分の申請書が入ったフォルダにアクセスできます。各ファイルは申請時にすでに確認し、受理確認の電子印が押されており、特にその後の使途もなく保管されていました。


 ですがそこに襲いかかるのが、生成AIとかいうすごそうなヤツのことを聞きかじった、昭和生まれの上司さん。


「〇〇さん、あのファイルをまとめて、テキストデータ解析したら、面白い使い方できないかな?」


 できるかできないかで言ったら出来るのでしょう。ですが相手は、ひとまとめのデータベースなどにしてはいない数百枚のファイルです。一つずつ処理していたら、キーボードのctrlとCとVと、あなたのメンタルが反乱を起こすかもしれません。

 

 そんな時は、その合理化手順の一から最後まで、生成AIにぶん投げるとしましょう。



「Q.フォルダに入った定型フォーマットのエクセルファイルの、複数のシートにまたがる30箇所のデータをコピペして、各ファイルのデータが一行に入る形でペーストしたリストを作れますか?」


『A.もちろんです。具体的なシート名と、その30箇所のセルを教えていただければ、以下の様にマクロを作成できます。……Sub 〇〇……』


「Q.シート1のC2、C4、D2、D4、E2、E4、E6、H2、H3……シート2のAH7から18、シート3の……」


『A.こちらが、フォルダの全てを……マクロです……』


「Q.ここにコンパイルエラーが出ました」


「A.失礼しました。VBAではこの命令は実装されて……マクロを修正します……。こちらでいかがでしょうか?」


「Q.できました。このシート2のAH7から18に相当したテキストから〇〇を取り出し、シート3の……との関係をマッピング……


『A.もちろんです! こちらがテキストから〇〇を取り出し、**ごとの……』


「Q.この結果を、データ活用の造詣がほとんどない上司に説明するレポートをつくれますか?」


『A.……』



 と、この様な形で最初から最後まで生成AIに丸投げし、雑多なデータをまとめて分析に成功しました。そしてあなたの上司はというと……


「うん、すごいねこれ。こんなすぐ結果が出るんだ。どうやったの?」


「えっと、生成AIが全データを一箇所にまとめるソースを書いて、生成AIが一括でテキスト分析をしました。そして生成AIが書いたレポートがこちらです」


「う、うん、なんとなくわかった。ソースコードとか取っといてある? 後で他で使えるかもよ」


「ソースコード、ですか……秒で出てきましたし、どう頼むかもわかったので、一昔前の様に後生大事なコードをデータベースに上げて管理、なんて必要すらなさそうです。コードも使い捨てで問題ありません」


「なるほど。そしたら他部署にも展開しておきたいからコードを……」


「いえ、そういうのは後で管理しづらくなる元なので、プロンプトだけ共有しておきます。大丈夫です。秒で再現できるので。ほら」


「プロン? ……お、おう、わかった。任せるよ」



 いかがでしょう? ソースコードという可読性の無いものですら、すぐに作り上げてくれます。だとしたら、このお仕事を任されたあなたの様に、こう思うことでしょう。


「秒で作ってくれるんだから、ちょっと変えるくらいで応用できたとしても、また秒で頼み直せるから、取っとく必要ないよね。こういう使途不明なソースコードを残しておくのは、後で整理しづらくなって、結局デジタル化を遅らせる原因でもあるんだよ」



 もしかしたら、こう考えるといいのかもしれません。実はあなたが生成AIと共創したりしなかったりして作るストーリープロット。それも、キャラ設定が「性格、動機、背景」という中核で定まっているのと同じことができそうです。



「Q.キャラが勝手に動くための、核となるキャラの設定は、性格、動機、背景とききました。

もしそれが、プロットも勝手に動くとしたら、その中核としておくべき「ぶれない物語の設定は」例えばこんな軸ですか?もう少しいい表現ありますか?

世界観、目的、現状」


『A.あなたが提示した「世界観」「目的」「現状」という軸は、物語の根幹を捉える上で非常に適切な要素です。ただし、それぞれが「ぶれない」ためには、読者やキャラクターの行動を導く強い指針として機能する必要があります。そのため、以下のように表現を工夫すると、さらに明確で物語の動きを意識した設定になるかもしれません:


改善案

 世界観 → 規範とルール

 「世界観」は広い概念なので、それを支える「規範」や「ルール」として具体化します。この物語の中で「何が当たり前か」「何が異常か」を設定し、キャラクターやプロットがそれに沿って動くようにします。

 例:魔法が存在するが、それには対価が必要な世界。


 目的 → 最終到達点と動機

 「目的」は登場人物や物語が目指すべきゴールを明確に示します。同時に、「なぜそれを目指すのか」という動機を物語全体に反映させると、プロットが動きやすくなります。

 例:滅びゆく故郷を救うために禁じられた力を求める。


 現状 → 緊張状態や課題

 「現状」は、登場人物が「変化を迫られている状態」を中心に据えると動きが出ます。停滞した日常よりも、課題や葛藤、対立を含む「緊張状態」を描くことで、キャラクターとプロットの躍動感が生まれます。

 例:人類と竜が平和協定を結んだが、それが崩壊寸前の危機にある。


 最終形案

 「規範」「到達点」「緊張」の3つを軸に再構成すると:


 規範(世界観を支える法則)

 この物語の世界で「当たり前」とされる事柄や、その枠組みを示す設定。これがキャラクターやプロットの行動範囲を形作ります。


 到達点(物語の目的)

 登場人物や物語全体が目指すべきゴール。それが動機を伴って強調されることで、プロットが自然と進むようになります。


 緊張(現状の課題や対立)

 現在の状況が「何を脅かしているのか」「何を変える必要があるのか」。その緊張感がプロットに推進力を与えます。


 例

 「ある日、魔法が失われた世界で、幼い王子が王位継承を阻止される危機に直面する。彼が目指すのは、『伝説の魔法を取り戻す』という到達点。だが、魔法を失った原因を作ったのが自分の王家であるという『規範』が、彼を縛り続ける。そして彼の旅路には、信じる者との裏切りや魔法復活を阻む陰謀が絡み合い、物語を動かしていく。」


 このように表現すると、物語の「動く」力が強調されます。いかがでしょうか?』



 ……あれっ? こやつ、何かとんでもなく重要なことを書いてきた気がします。ついうっかり微フロー状態に突入し、AIの出力を全文掲載したくなってしまいました。ここは丁寧に掘り下げたいと思いますので、次話に延長戦とさせていただたいと思います。反省も後悔も致しません。


 やせいの 人工知能は 仲間を呼んだ! 三本足の 倒せる気がしない プロット怪獣が 現れた。

 お読みいただきありがとうございます。

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