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1.付け焼き刃を幾層に重ね、いつしか真の刃へ 〜AI運営は、月に数千の対話を想定する〜

 第一部の初めに、「付け焼き刃は熱いうちに使え」という言い方をしました。何かを書いたり、新しい仕事をしたりするハードルを、生成AIが様々な手段で下げてくれること、その熱が冷める前に行動に出られてしまう様子をイメージした言い回しです。


 もちろん付け焼き刃なので一回で終わりにする必要はどこにもありません。AIとの対話は、繰り返せば繰り返すほど、向こうのメモリ内にもこちらの癖が反映されていき、こちらも聞き方のレベルを上げていけます。


 コスパ、あるいはタイパ、というのはどこの世界にもついて回る言葉です。生成AIも例外ではなく、出来るだけ少ない回数で目的の応答を得たいという試みは、活用の精度を上げる意味で重要です。


 特に、企業や組織ユーザーなどで従量課金の契約をしている場合、10万字で1ドル、などという形で額面が可視化されるため、より顕著です(高が知れている気もしますが)。


 上記の数字を考えると、月額20ドルの個人ユーザーは、200万文字を出力させて、ようやく元がとれる計算です。1回の応答に500から1000文字くらい返ってくることが多いので、月に2〜4000回、つまり毎日70〜130回前後のユーザーをイメージして設計されていることになります。まさに「知るか!」という数値です。


 なので少なくとも使い始めのしばらくの間は、試しに聞いてみて、その結果を見ながら聞き方を変えて、というやりとりを推奨します。


『Q. ChatGPT に対して、何度も往復を繰り返しながら、必要な応答に近づけていくやり方は推奨されますか?』


『A. はい、ChatGPTを使う際に何度も往復を繰り返しながら目的に近づけていく方法は非常に効果的です。以下の理由から、このアプローチは推奨されます:


1. 漸進的な調整が可能

 一度で完全な回答を得るのが難しい場合、少しずつ指示を細かくすることで、意図に近い回答を得やすくなります。例えば、初回の応答が大まかなものであっても、追加のリクエストや修正を加えることで精度が向上します。


2. 意図の明確化

 やり取りを繰り返すことで、こちらの意図や期待をより具体的に伝えることができます。特に複雑な内容の場合、最初から完全に理解してもらうのは難しいこともあります。


3. 相互理解の深化

 やり取りを通じてChatGPTもユーザーの指向や目的を学びやすくなり、応答がより適切かつ効果的になります。


4. 創造性や試行錯誤が必要な場合に適応

 ストーリー作成やアイデア生成のようなクリエイティブな作業では、試行錯誤が前提となることが多いです。このような場合、対話を繰り返して方向性を調整していくことは自然なプロセスです。


推奨されるやり方

 段階的に具体化:最初は大まかなリクエストから始め、応答を見て追加の指示を行う。

 簡潔にフィードバック:応答に対して「ここをもう少し詳しく」「この部分をこう変えてほしい」と具体的なフィードバックを与える。

 進捗を確認しながら調整:目的地に近づいているかどうかを逐一確認する。


注意点

 目的の曖昧さを避ける:こちらの意図が曖昧な場合、何度往復しても適切な結果が得られにくくなります。

 情報量を増やしすぎない:一度に多くの修正を求めると、結果が混乱する場合があります。変更点は少しずつ加えるのがベターです。


 繰り返しを通じて、より良い結果を得ることができるので、このアプローチを積極的に活用してください!』



 慣れないうちは、こういう練習(あそび)をするのも有効かもしれません。以下は、「妾とのじゃの口調のAIキャラが定まっていないときに、『明確なキャラ付けをさせるシーンを作ってみたい』」という、思考実験の結果です。4回くらいでどうにか答えにたどり着き、そのまま作品に反映してみました(AIの回答は適宜省略)。


『Q1.妾のじゃ口調、という指定がされた時、想起されるキャラクター像にはどのような方向性が与えられますか?


A1.……以下のような方向性が与えられます。


1. 時代がかった高貴な女性:

 ……古風で格式の高い女性が思い浮かびます。優雅でありながら、どこか強さや威厳を……


2. 親しみやすさと少しの傲慢さ:

 「じゃ」という語尾は、上から目線でありながら、どこか愛嬌のある語調……親しみやすさを感じさせつつも、確固たる自信や威厳を……


3. キャラクターの遊び心:

……どこか遊び心や自己認識のあるキャラ……自分の地位や立場を意識しながらも、それを少し茶化すかのように楽しんでいる一面……


4. 非現実感の演出:

……キャラクターは現実感から少し距離を置き、物語の中で特異な……現代にはない異世界的な雰囲気……特別な存在……



Q2.年齢などは、最近の作品傾向なども含めてどうなるでしょう?


A2.……以下のような設定が多く見られます。


1. 若々しい外見と古風な口調のギャップ

 ……見た目は10代後半から20代前半の若々しい外見ながら、口調から古い時代の知識や経験を……


2. 不老不死や長寿のキャラクター

 ……彼女は過去の記憶や知識を豊富に持っており、……長寿や不老不死、または人間を超越した存在……


3. 年齢不詳の神秘的な存在

 ……年齢の概念があまり重要でない、あるいは設定されていないことが多く、時代や場所を超越した……


4. 年長者としての貫禄

 より伝統的な設定では、……高齢の女性として描かれ……知識と経験に基づく貫禄を持ち、物語の中で指導者的な役割や保護者的な役割を……



Q3.そのギャップを持ったキャラはなんと表現されますか?


A3.ギャップを持ったキャラクターは、一般的に「ギャップ萌え」という表現で呼ばれます。この表現は、外見や態度、性格などが一見矛盾しているように見えるキャラクターに対して用いられることが多いです。たとえば、見た目が幼いが非常に大人びた言動をするキャラクターや、冷徹な外見ながら実は心優しい性格を持つキャラクターが「ギャップ萌え」として受け入れられます……



Q4.妾のじゃ口調と見た目のギャップがあるキャラはどのように総称されていますか?


A4.……一般的には「お姉さんキャラ」や「ロリババア」などと総称されることがあります。


 お姉さんキャラ: 外見は若く見えるものの、言葉遣いや態度が大人びているキャラクター。このギャップによって、彼女たちは落ち着いた雰囲気や母性的な魅力を持ち、頼れる存在として描かれることが多いです。


 ロリババア: 外見は幼く、見た目からは若い年齢が想像されるものの、実際には非常に長い年月を生きているキャラクター。このギャップは、見た目の幼さと実年齢や成熟度との対比を強調し、独特の魅力を生み出します。「じゃ口調」を使うことで、さらに古風なイメージが加わり、そのギャップがより強調されます。


 このようなキャラクターは、現代のアニメや漫画、ゲームなどで人気があり、その独特なギャップがキャラクターの魅力として受け入れられています』



 以上、「生成AIにロリババアといわせる実験」でした。ここまで4回、約2000文字のやり取り、すなわち3円ほどですね。


 その後、このやりとりに続けて「生成AIの中の情報の偏りの原理」から、「生成AIが嘘をつく」そして「真実の口とスフィンクスの関係」などと次々に話題が派生します。


 そして20往復ほどした後で、5000字分の原稿チェックを依頼したところまでで1万数千文字が生成AIから出力されました。それでもわずか20円分相当といったところです。


 極端な例ですが、何往復かすることによって、自身の思う方向性の応答を期待しつつも、創作などのよりクリエイティブな観点では、思ってもみなかった方向のアイデアを補完することもまた、大いに期待できます。


 なんにせよ、生成AIの提供者側は、月に数千回の利用を現実的に想定している可能性が高いということです。その範囲内で、自由に試行錯誤を重ねることで、いつしか付け焼刃が真の刃になる日が来るかもしれません。

 お読みいただきありがとうございます。


 第二部は、第一部に対して、対応するいくつかの具体的な実施例や、より発展的な例などを紹介していければと思っています。

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