表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/177

第9話 逸般人の妹

 僕のダンジョン創造スキルにはレベルっていう概念がある。

 このレベルが上っていくと、色々とできることが増えたり、ダンジョンに使える魔素の量が増えたりする。要するに、色々なダンジョンを作れるようになるってわけだ。

 でも、今の僕のレベルは2。転生してきてからレベルは1しか上がっていない。

 サボっていた? いや、そんなことはない。僕は毎日のようにダンジョン創造スキルを使っている。それでもレベルは1しか上がっていないのだ。


 スキルのレベルを上げるためには、スキルを使うだけではなく、作ったダンジョンに僕以外の誰かが入って活動する必要がある。

 今生において、僕のダンジョンに誰かが入ったのは前回のテストが始めてだ。

 誰かが入って活動すれば、僕のスキルの経験値が上がっていく。そういう仕組みだ。

 ちなみに、入ってくる経験値はダンジョンの難易度によって変わんだけど……まぁ、その分そこで活動できる人は限られてるから無茶なこともできないわけだ。


 さて、というわけで、このレベルを最低でも5くらいまでには上げたいところだ。

 ただ、そのためには僕以外の誰かに入ってもらう必要があるのだが。ダンジョンを一般公開していない今の僕の状況だとなかなか難しい。

 信頼できる人間にお願いするしかない。

 僕のダンジョン創造スキルについて誰かに漏らすことなく、活、頻繁にダンジョンに入ってくれそうな人間。


 心当たりは一人だけ。



「というわけで、あのニュースのダンジョンは僕が作ったわけだ」


「うへぇえ!?」


 僕は雛香にダンジョンのことを打ち明けた。

 うん、まぁ、結局信頼できる人間なんて身内にしかいないわけで……いや、友達が信頼できないってわけじゃなくて、雛香が一番信頼できるというか……まぁ、そんな感じだ。


「大変! お兄ちゃんが中二病になっちゃった! これから雛香の勉強は誰が見るの!?」


「おい!」


 せっかく信頼して打ち明けたのに信じてないどころか、中二病扱いはやめろ。というか、勉強は自分でやれ!

 いや、でも、信じられないのもしょうがないか。逆の立場だったら雛香がおかしくなったと思うだろうし。


「とりあえず、ダンジョンに案内するからちょっと待て」


 信じてもらうには簡単、ダンジョンに案内すればいいだけだ。

 テストの時と同じように、雛香のスマホにもダンジョン用のアプリをインストールさせる。


「それじゃあ、入場申請して……うん、それじゃあ、行ってらっしゃい」


「お兄ちゃn……」


 入場申請させたら妹の姿が消えた。

 僕はパソコンの前に移って、画面の方を見る。


『うぇええええええ!? ここどこぉおおおおおお!』


 流石の雛香も驚いてるな。いい声で叫んでるおるわい。


「ようこそ僕のダンジョンへ」


『お兄ちゃんの声!? でもお兄ちゃんの匂いがしないよ!』


 いや、匂いで判断とか犬かよ。


「僕はダンジョンの外にいて、画面から雛香の様子を見ているからな」


『なるほど?』


 納得したのか?


「まぁ、ともかく、お前は今、僕が作ったダンジョンにいるわけだ」


『ここがダンジョン……』


 雛香は周りを見回している。


『お兄ちゃん……中二病じゃなかったんだね』


「まだ疑ってたのかよ!」


 まぁ、信じてもらえたみたいだし、良しとはしておこうか。



「と、まぁ、僕にダンジョンを作る能力があるってのは本当のことなんだ」


「その能力でさっきみたいなダンジョンを作ったんだね」


「そういうことだ」


 とりあえず、このままだと少し話しづらいので雛香には一度ダンジョンから出て対面で話している。


「でも、どうしてお兄ちゃんにそんな能力があるの?」


「それは……」


 どうしよう、前世のことまで話すか? まぁ……今更隠すことでもないか。


「雛香は僕に前世の記憶があるって言ったら信じるか?」


「前世の記憶? 前世で雛香と夫婦だったこと?」


「それは捏造の前世だろ」


 そんな前世はない。


「まぁ、簡単に言うとだ、僕は前世で異世界の魔族だったんだよ」


「なるほど? 魔族お兄ちゃんと人間雛香の恋物語なのね?」


 いやだから……


「うーん、正直信じづらいけど、お兄ちゃんにそういう能力があるってのは本当みたいだしなぁ」


「まぁな、んで、なんでか知らないけど、その記憶を持ったまま生まれてきて、能力も使えたわけだ」


 ほんと、なんでだろうな?


「まさか、お兄ちゃんにそんな秘密があったなんて」


「言っておくが、軽々しく漏らすなよ? 母さん、父さんにだって話してないんだからな?」


「ひょっとして、お兄ちゃんの秘密を知ったのは雛香が初めて?」


「そういうことだ」


「そっか!」


 随分嬉しそうだな。


「ちなみに、雛香はそういう前世とかないのか?」


 これは、実は結構前から気になっていたことだ。

 僕と同じように前世の記憶を持ってたり……


「うーん、さっきも言ったようにお兄ちゃんの奥さんだった前世とか……」


「それは妄想だ」


 少なくとも僕にそんな記憶はないしな。


「そっか、じゃあ、そのまた前世の記憶だね」


 流石に前前世の記憶なんてないが……

 まぁ、流石に冗談だろう。


 とりあえず、少なくとも雛香には前世の記憶みたいのはないらしい。

 ちょっと……大分ブラコン気味の逸般人だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ