表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれのダンジョンマスターが現代地球に転生してダンジョンを創造したら何か騒ぎになってるけど僕のせい?  作者: 猫月九日
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/177

第28話 雛香とテスト

 その後も話し合いをして、ルールを固めた。

 それに伴って、街のダンジョン化も進めていき、ひとまずテストをしてみることになったのだが……


「あははは! ゾンビは雛香が全部やっちゃうからね!」


 ゴーストタウンの中にいるのは、僕と雛香だけ。


「どうしてこんなことに……」



 話は数日前に遡る。


「お兄ちゃんってスマホからのダンジョンは入れないけど、現地に行けば入れるんだよね?」


 寝る前に雛香が聞いてきた。


「里楽さんから聞いたのか? ああ、あそこのゴーストタウンのダンジョンなら入れるけど」


「そっか、じゃあお兄ちゃん、一緒にダンジョンに入らない?」


「話の流れからすると、あのゴーストタウンのやつだよな?」


「うん! そこだったらお兄ちゃんと一緒にダンジョン攻略できるんでしょ?」


 なるほど、そう来たか……


「言っておくけど、僕の運動能力じゃ雛香に置いてかれるだけだと思うよ」


 自慢じゃないけど、僕の運動能力は雛香についていけるレベルじゃ無い。


「それに、僕が作っちゃってるから、攻略も何もないと思うが」


 ランダム性はあるけど、いつどんな敵が出てくるみたいな、攻略法もわかっちゃってるし。


「いざとなったら、改変もできちゃうし」


 この間みたいに、ダンジョンにドラゴン召喚とかできちゃうし。

 まぁ、そういう意味だと、僕はダンジョンの中だと無敵みたいなものか。

 やっぱり攻略にはならないね。


「お兄ちゃんは別に戦わなくても大丈夫! 全部雛香がやっつけるから!」


 それでも雛香の意志は固い。


「お兄ちゃんがいてくれれば、雛香にバフがかかるから! お兄ちゃんはいてくれるだけでいいの!」


 雛香なら確かになんか変なバフとか持ってそうだけど……


「お願い! お兄ちゃん!」


 頼み込んでくる雛香に……


「僕は本当に見ているだけだからな……」


 その願いを叶えてあげることにしたのだった。


「やったぁ!」


 喜ぶ雛香。


「よし、それじゃあ、里楽さん達も誘って……」


 どうせだから、ゴーストタウンダンジョンのテストに……


「それは駄目!」


「えっ?」


「お兄ちゃんは雛香と2人でダンジョンに入るの!」


「なんでわざわざ……」


 雛香は二人きりをご所望のようだ……


「だって、お兄ちゃんに雛香の活躍を見てほしいんだもん!」


 活躍って……割といつも見ているような……


「……」


 雛香は縋るような目で僕のことを見てくる。


「雛香……わかったよ、攻略は2人だけな」


 結局僕が折れた。

 理由は色々とあるけれど、雛香の縋るような目がなぜか泣いているように見えたのだ。

 ……最近は、ダンジョン作りばっかりであんまり雛香に構えてなかったしな。


「やった! お兄ちゃんとダンジョンデート!」


 こうして、僕と雛香のダンジョンデートが決まったのだった。

 まぁ……行く場所はゴーストタウンだし、出てくる敵はゾンビなんだけどね……



 というわけで、雛香と2人でのテストとなった。

 ちなみに、現地に行くのには普通の方法では時間がかかるけど、ダンジョン化してあるから、扉さえ作ってしまえばどこからでも移動することができる。

 わざわざフィンさんに車を運転してもらう必要もないわけだ。

 ……あれ? これうまく使えば、移動とか楽に……いや、それはあとで考えよう。


「お兄ちゃん、まずはどうするの?」


 始まってしまったものはしょうがない、大人しく雛香を誘導するか。


「えっとだな……まずはゾンビを倒しつつ街を探索していくことになるんだが……」


 このあたりは、本来はミミに説明してもらう部分だね。


「たまにサイレンが鳴るから、それが鳴ったらゾンビが凶暴化してくる合図だ」


「ゾンビが強くなるんだね!」


「強くなるね。今回のイベントだと防衛地点っていう場所があるから、そこをゾンビに壊されるとその防衛は失敗になって報酬が減る」


「守り切ると報酬がもらえるの?」


「そういうこと、これが全部で3回起こる。特に3回目は大規模な防衛になるから、その準備をしなきゃいけないよ」


「大規模……いっぱい敵がいるってこと?」


「いっぱいいるし、ボスも出てくる。こいつを弱体化させるために街を探索して、アイテムを探さなきゃいけないよ」


「えぇ、弱体化させずに戦ってみたいのに」


「そこはほら、ゲームの流れだからな。一応テストも兼ねてるから、シナリオ通りに動いてくれ」


「はーい……」


 本来はシナリオどおりに動かなかった時の流れってのも検証すべきかもしれないけど、今回は素直に動いた想定でのテストだ。


「あ、そうだ、本来はプレイヤーの中に人狼……裏切り者がいるって流れだけど、それは今回は無いからな」


 そもそも、雛香と僕の2人だけだし、裏切り者システムは無理がある。


「お兄ちゃんと争いたくないから良かった!」


 僕も雛香とは戦いたくないよ。


「こんなところかな? 雛香、大丈夫そうか?」


「うん! ゾンビをいっぱい倒せばいいんだよね!」


 これはわかってないやつだ……


「大丈夫! 暇な時間はお兄ちゃんと一緒にデートして、アイテムを探せばいいんだよね?」


「デートして……うん、まぁ、それでいいや」


 結局探索することには変わらないしな。


「よし! それじゃあ出発!」


「あ、おい! 雛香、手を引っ張るな!」


 そうして、僕らのテストがスタートした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ