表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/177

第4話 ダンジョン攻略を観察

「このダンジョンは2階層になっており、2階のボスを倒したらクリアになります。2階へは、フロアのどこかにある赤い魔法陣に入ると移動できます」


『ボスがいるのか!』


「いますね。テストですのでそれほど強力ではありませんが、きちんと考えて戦わないと大変かもしれませんよ?」


 ネタバレは厳禁だから、これ以上は秘密にしておこう。

 あと他には……


「あ、そうだ。ダンジョン内でアイテムを拾うことがありますが、拾うと消えてスマホのメニューから選んで使用できるようになります。一応所持数の制限もありますのでご注意ください」


 まぁ、そんなに沢山のアイテムを拾うことは流石にないと思うけど。


「それでは、僕からの音声はここで切ります。何かあったら、声をかけていただければすぐに応答しますので」


 さて? 準備は大丈夫かな? うん、大丈夫そう。


『扉についている刺さっている木の剣を取ると扉が開き、攻略スタートです』


 流石に無手でモンスターと戦ってもらうのは、ちょっと無理があるからこういう仕組みにした。

 おっと、行動が早い。もう取りに行っている人がいる。話はちゃんと最後まで聞いたほうがいいよ?

 まぁ、あとは、開始の宣言だけなんだけどね。


「それでは! 頑張ってください!」



 僕の開始宣言を聞いてまず動いたのは予想どおりAさんだった。Aさんは扉に刺さっている木の剣を勢いよく引き抜き扉を開けた。他の3人はおっかなびっくりという感じで、まずは木の剣を確認するところからスタートだ。

 あ、ちなみに、4人に入ってもらっているダンジョンは、全部同じ構造をしている。

 出てくるモンスターも、モンスターが湧く位置、アイテムの場所なんかも全部同じだ。

 さぁ、誰が一番始めにクリアするかな?


 迷路になっているダンジョン内部。

 Aさんが進んだのは、モンスターがいる方向だった。


『うぉ! スライムか!』


 出てきたのはゼリー状のモンスターのスライムだ。

 スライムは、ダンジョンモンスターの中では最弱と言われている。攻撃力も防御力も低いし、特殊能力もない。コアを突き刺せば一撃で倒せる。コアじゃなくても普通に何回か切りつけていても倒せる。

 まぁ、チュートリアル向けだよ。ここで負けるとかはないかな。

 あ、ちなみに、服を溶かすとかはないです。


『うらぁ!』


 Aさんは初めてのモンスターにも関わらず、果敢にスライムへ挑んでいく。

 戦闘民族だなぁ。


 走って近寄ったAさんは、勢いよく木の剣をスライムに突き刺す。

 木の剣は偶然? にもコアに突き刺さり、スライムは透明になっていき、細かな光の粒子となって消えていく。モンスターの死体は残らない。

 運が良ければ、宝箱が出てくることもあるけれど、Aさんは運がなかったようだ。


『よし! よし!』


 モンスターを倒したAさんは、満足そうに次の部屋へと進んでいく。

 うん、Aさんは順調そうだね。それじゃあ、他の人達はどうかな?


「おっ? Bさんはスライムと接敵した」


 BさんもAさんと同じ道を辿ってスライムと遭遇をした。

 さぁ、Bさんはうまくスライムに対処できるかな?


「Bさん腰が引けてる? えっ? あれ!? どこへ行った!」


 Bさんはスライムと相対して、木の剣を構えたはいいものの、スライムがこっちに一歩寄った瞬間、背を向けて逃げ出した。


『ひぇえええ!』


 悲鳴も上げてる!? いや、相手はスライムだよ!? 最弱だよ!?

 いや、確かにそんな情報はあげてないからわからないけど、命の危険もないのに即逃げ!?

 Bさん大丈夫か?


 少し動向を見守ったけど、結局Bさんはスライムに追い詰められて、覚悟を決めたようで、震える手で木の剣で攻撃をしてなんとか勝利をしていた。

 ひょっとしたらボスを倒せずギブアップもあるかもしれないなぁ。


 次はCさんだ。

 Cさんもスライムと遭遇した……けど?


『やばっ!』


 Cさんはスマホを取り出して、スライムに向けて……いや、自分も入って……


「自撮り!?」


 まさかの自撮りだ。

 余裕だな! さっきのBさんとは大違いだ。


『これは映えるに違いなしね!』


 スライムはバズり……なのか? その感性はよくわからん。

 いや、そんなことしてる場合か? 流石に、スライムと言えど攻撃を……


『きゃっ!』


 ほら案の定、スライムに体当たりされてるし。

 Cさんは、少しだけHPにダメージを受けた。身体に痛みはないけれど、Cさんは後ろから押された形となり、バランスを崩して地面に手をついてしまった。


『やったわね!』


 攻撃されたことで怒ったのか、すぐに反撃に移る。

 怒りに身を任せて、木の剣で何度もスライムを叩いた。

 数回叩いたところで、スライムは光になって消えていった。


「おっ! 宝箱だ」


 Cさんは運が良かったらしく、スライムが消えた後には宝箱が残されていた。

 今回の宝箱の中身は全部同じで、初級ポーションが入っている。

 初級ポーションは体力回復薬になっていて、これを飲むとHPを回復することができる。簡単な傷も治す効果もあるけど、ダンジョン内では傷がつくことはないので、今回はあんまり意味がないかな。


 Cさんは嬉しそうにまた宝箱と自撮りしてる。これも映えるのか?


 最後はDさんだ。

 Dさんもスライムと遭遇。さて、Dさんはおとなしめな感じっぽかったけど、どうだろう?


『……本当にスライム』


 Dさんは何やら呟いて、スライムに近づいていく。

 えっ? ちょ、戦いは? スライムを持ち上げた!?


 そのまま、無言でスライムをつついている。

 いや、確かに、スライムはぷにぷにしてて気持ちいいかもしれないけど……一応敵だからスライムが腕の中でじたばたと攻撃してHPが減ってるよ!?


 Dさんはしばらくそのままでいた後、自身のHPが減っていることに気がついたのか、スライムのコアに剣を突き刺した。的確にコアを刺してたね。

 何がしたかったんだろう?


 Dさんの謎の行動はさておき、これで4人共モンスターと戦うことができたみたいだ。

 ひとまずは順調といったところかな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ