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落ちこぼれのダンジョンマスターが現代地球に転生してダンジョンを創造したら何か騒ぎになってるけど僕のせい?  作者: 猫月九日
第1章

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第38話 レア度の高いアイテム

「それで妹さんの状態ですが……」


 様子を見終わった後、別室へ行き朝倉さんに説明をすることにした。

 流石にあの寒い状況で説明するのは辛いし、聞かれたらまずいこともあるからね。


「率直に言ってしまうと、妹さんは魔素を過剰に吸収している状態です」


「……魔素? えっと、あの……?」


 まぁ、そうなるよね……

 ただ、ここをちゃんと理解してもらわないと、この後の話が進まない。


「おかしな話ではないですよね? 朝倉さんだって、回復の杖を使ってますし」


「それはそうですが……」


 魔法の杖というのが現実に存在してしまっている以上は魔法って存在は否定できないでしょう。


「それに、僕が作っているダンジョンも元をたどれば魔素から作られています」


 逆に言うと、魔素がなければダンジョンだって作れないよ。


「魔法っていう不思議な現象があって、それが魔素というものによって起こっていると考えてもらえばいいかと思います」


「……わかりました」


 朝倉さんは少しまだ納得できてなさそうだったけど、それでも受け入れてくれた。


「しかし、その……魔素? っていうのが結衣の病気の原因なんですか?」


「はい。先程も言いましたが、妹さんは魔素を他の人よりも多く集めてしまう体質みたいです」


「他の人より……ってことは私もその魔素っていうやつの影響を受けてたりするんですか?」


 あー、少し言い方が悪かったかな?


「魔素はそこら中にあるものですが、普通の人はほとんど影響を受けませんね。妹さんの場合は、その魔素を体内に吸収する量が他の人よりも多いので影響を受けやすいのです」


 つまり、他の人よりも魔素を溜め込む容量が多いってことだ。

 これが、普通に魔法を使える人だったら問題ないんだけど、妹さんの場合は魔素を無意識に吸収する上、排出できないから問題になっているのだ。

 結果として、溢れ出た魔素が氷って形で排出されてしまっている。


「なるほど……」


 朝倉さんは少し安心したようだ。


「……あの少しお聞きしてよいでしょうか?」


「はい、どうぞ?」


「その……魔素? が結衣に悪い影響を与えてるってことはわかりました、しかし、メイゼスさんはなぜそんなことがわかるのでしょうか?」


 あー、まぁ、そういう話になるよね。


「ダンジョンのことも……メイゼスさんは何者なんでしょうか?」


 うん、覚悟は決めてるよ。


「……この話は他には絶対に漏らさないと約束してくださいね」


 一応ちゃんと確認をしておく。

 そして、僕は前世の話をすることにした。



「……現代転生した……ってことですか?」


「まぁ、そんな感じですね」


「そんなライトノベルみたいなこと……とは言えませんよね。これを見てしまったら」


 最初は疑っていた朝倉さんだったけど、流石に目の前にダンジョンを作られたら納得せざるを得ないようだ。


「この能力を応用して、ダンジョンを作ってるってわけです」


「なるほど……あのダンジョンはそういうことだったんですか……」


 まぁ、逆にこんな能力でもないとダンジョンなんて作れないよね。


「と、まぁ、僕に関してはこのくらいにして……肝心の妹さんを治すための薬についてなんですが……」


 話を戻すことにした。


「結論から言うと、妹さんを治すための薬は作れます」


 方法は色々とあるけど、一番手っ取り早いのは、魔素の吸収を抑える薬を作ること。

 本来は敵の回復能力を阻害するために使ったりする薬だけど、今回の場合は役に立つ。


「ほ、本当ですか!」


 嬉しそうにする朝倉さん……だけど、


「ただし! 問題が2つほどあります」


 そんな単純な問題じゃないんだよね……


「問題……ですか?」


「はい。まず、先程も見せた通り、僕の能力はダンジョンを作ることです。アイテムを作ることはその中の能力でしかないため、僕自身は現実にそのアイテムを排出できず、ダンジョンに配置するだけです」


 例えば、凄い道具を作っても僕はそれをダンジョンのお宝として配置することしかできないのだ。


「つまり、誰かが取ってくる必要があると?」


「はい。しかし、そこでもう一つ問題があります」


 僕のダンジョン創造スキルにはめんどくさいルールが存在するのだ。


「妹さんの病状を回復させるための薬は、今の僕のスキルレベルでは結構なレアとなります。それを配置するためには、そのレア度に応じたダンジョンを作る必要があるのです」


「えっと……つまり?」


「現在公開されているダンジョンとは比べ物にならないくらい難易度が高いダンジョンを作ってそれを攻略する必要があるということです」


 作るのは……まぁ、大変だけど、作ればいい。


「それなら私が……!」


 うん、まぁ、そうなるよね。


「この難易度というのがですね……僕の今のスキルレベルですと、かなり難易度を高める必要があるのです」


 僕のスキルレベルがもうちょっと高ければもう少し自由が利くんだけど、今の僕のレベルだとギリギリなのだ。


「……それでも! 私は……!」


 朝倉さんはそれでもやる気だ。


「その難易度というのが……死の危険性があってもですか?」


「えっ!?」


 今の僕のダンジョンはHPが0になったら強制離脱というルールにしている。

 しかし、難易度を上げようと思うと、それを撤廃する必要がある。つまり死の危険性があるということになる。


「その上で、ダンジョンはいつもよりも難しいものになるでしょう」


 ギリギリというのはつまりそういうことだ。


「朝倉さん……それでも、あなたはダンジョンの攻略をしますか……?」


 下手をすれば、自分が死んでしまうかもしれない。

 そんなダンジョンに朝倉さんは……


「……やります。それで妹が……結衣が助かるのであれば」


 朝倉さんはそう言って、決意を見せた。


「そうですか……」


 うん、予想していた通りだね。そう言われるとは思っていたよ。


「それならば、ダンジョンを作りましょう」


 僕はやれることをやるだけだ。



このあたりのダンジョン創造スキルの設定に関してはいずれまとめます。

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