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第7話 どうしてこうなった

「これ食べるかな? あっ! 食べた!」


「自分でデザインしておいてなんだけど、やっぱり可愛いわね」


 結局、雛香は赤色のフェアリー。結衣ちゃんは緑色のフェアリーをテイムした。


「確かにこの子を召喚しているとなんか力が上がった気がする」


「力だけではなく、他の能力も多少は上がっているはずですよ」


 大愛さん姉妹が妖精を愛でているのに対して、雛香と里楽さんはテイム後の検証なんかをしている。

 そして僕は……


「流石にあの実験場は公開したくないから新しくダンジョン作りたいんだよね」


「はい、ではサポートいたします」


 ミミとテイムシステムの公開に向けての作戦を考えている最中だ。

 もちろん、2人だけってことではなくて時々里楽さんたちにも意見をもらっているけど。


「やっぱり2人の様子を見ていると、他のモンスターはなくした方が良いかな?」


「テイム専用のダンジョンということですか?」


「うん、真田さんに影響力のある人たちに協力してもらうって話をしてたけど、その人たちって別に冒険者じゃないんだよね」


 ダンジョンは今や一般的なものになってきた。でも、全ての人がダンジョンに潜っているわけでは当然ない。

 そんな人たちにダンジョンで戦いつつ、モンスターをテイムしてくれなんて難しいと思うんだよね。


「かといってテイムモンスターの受け渡しってのはできないし」


 つまり、自分の力でダンジョンに入ってテイムしなきゃいけないわけ。

 いくら真田さんの力で協力してもらうとしても、忙しい人たちにダンジョンに慣れてもらうまで時間を使わせるのは大変だと思う。


「ふむ、でしたら。ダンジョンにランクを設けたらどうでしょう?」


「ランク? どういうこと?」


「つまり、ダンジョンを複数作って、敵が強いダンジョンは多少レベルの高いフェアリーを配置して、逆にモンスターがいないダンジョンはレベルが最低のフェアリーを配置するのです」


 あー、なるほど……里楽さんの言いたいことはわかった。


「元々、ダンジョンに潜っていない人だったらそこまでステータスを求めないからそれで問題ないってことか」


「そういうことです。逆にステータスを求める人であれば進んでランクの高いダンジョンに入るでしょう」


 それは確かにいい案かも。

 ……ダンジョンを複数作るって手間を考えなければだけど。


「いや……複数階層にしておいて、2階層以上はモンスターが出現するようにすれば1つのダンジョンで済むか」


 冒険者以外の人はわざわざ2階層に潜る必要ないもんね。


「いっそのこと、どこかの階層からはフェアリーが攻撃してきてもいいかも?」


「攻撃させると忌避感を覚えるのでは?」


 そういえば、そうだったっけ。


「それならなんか見た目をおかしくしていかにも悪っぽいフェアリーにしとけばいいんじゃない? ほら、何かに洗脳されているみたいな感じにして、倒すと洗脳が解けて仲間になるみたいな」


 倒すと仲間になるってのも定番ではあるしね。

 当然デザインが重要になってくる話ではあるけど、大愛さんがいる今、むしろその手の仕事が大愛さんに振れるので悪くはない。

 暇になるのが1番駄目だからね。


「いいですね。それなら、最終ボスはそのフェアリーを操っている敵とすれば良さそうですね」


「その案採用! ミミ、何かそれっぽいモンスターっている?」


「候補を検索します。直接にはいませんが、5体ほど候補を出しますのでそれを改変すればふさわしいボスになるかと思われます」


「了解。後で確認しておく」


 うん、なんか楽しくなってきた。これはきっと凄い話題になるぞ。



「……どうしてこうなった」


 数日後……僕はテレビを見ながらつぶやいていた。


「父が動いたのですから、むしろ残当かと」


 里楽さんが当然のように言っているけど。


「でも、これは流石に……」


 テレビに映っているのは、どこぞの芸能人。その横には黄色のフェアリーがいた。


『この子は今話題のダンジョンで友達になってきたのよ。名前もつけて、今はいつも一緒にいるパートナーみたいな感じ』


 自分のフェアリーを紹介する芸能人。


ピッ


 別のチャンネルにしてみる。


『この子はベースカラーが青だから、この色のワンピースとスカートが……』


 ファッション番組では自分のフェアリーに好きな洋服を着せてコーディネートしている。


ピッ


 また別のチャンネルにしてみる。


『明日の天気はアシスタントさん! うん、ありがとう! 今アシスタントさんが指している地域では……』


 天気キャスターがアシスタントさんに指示をして地域を示している。ちなみに、そのアシスタントはフェアリーだ。


「流石にこの使い方はどうなのよ?」


「いいんじゃないですか? 可愛いですし」


 そっかいいのか。まぁ、可愛いは正義だしな。

 それからもどの番組を見てもフェアリーが出ている。出ていない番組を探すほうが難しいくらいだ。


「世はまさに大フェアリー時代って感じかな……」


 ちらっと窓の外にも目を向けてみる。

 そこには空を飛び回る妖精たちがいる。

 これがマンションやビルじゃなくて大樹とかだったらどれほど幻想的な光景だろうね。


「今や日本の人口の5割以上がフェアリーをテイムしています」


 この人口ってのは、老人や赤子なんかを含めているから、大多数がフェアリーをテイムしているって言っていいと思う。


「……どうしてこうなった」


 ダンジョンに元々入っている人もそうじゃない人も1人に1匹マイフェアリー状態だ。

 流石にこれは予想してなかったよ。

 凄いことになるとは思ってたけど、凄いことになりすぎでは?


「無事に受け入れられて良かったのでは?」


 いや、確かにそれはそうなんだけど……ねぇ……

 初めてダンジョンを公開した時以上の異常な盛り上がりっぷりに流石の僕も驚きを隠せないのだった。



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