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落ちこぼれのダンジョンマスターが現代地球に転生してダンジョンを創造したら何か騒ぎになってるけど僕のせい?  作者: 猫月九日
第3章

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第22話 最強の存在

「あー、なるほど、最初は冒険者たちを観察してたのか」


「はい。どうしたら飛鳥さまに好かれるか、なにかの参考になればと思いまして」


 そこで文句を言っている冒険者を発見して、撃退したらこの騒ぎになったってことか。


「なるほどなぁ……あ、分岐路」


「うむむ、データを見ないようにしているので道がわかりませんね」


「見たらつまらないからね。僕からのアドバイスもしないよ」


「むぅ……では、こちらで!」


 僕と黒ミミは2人でダンジョン内を探索している。

 前にも言ったけど、このダンジョンは塔になっていて、上に登っていく形式になっている。

 上に行くためには階段を登る必要があるんだけど、その階段にたどり着くまでの道は迷路みたいに複雑になっていて、しかも、罠やモンスターも沢山いる。

 このダンジョンの難易度は最高レベル。今僕ができる限り最大の難しさだ。あの雛香向けのモンスターハウスよりもレベルが高いって言えばその難しさが伝わると思う。


 この難易度をクリアできる冒険者は今はまだいないだろう。


「むっ! 敵襲!」


シュンッ!


 何かが猛スピードで通り過ぎる音が聞こえた。

 通り過ぎていったのは銃の弾。つまり敵の攻撃だ。

 危ない危ない。あんなの僕が当たったら一発でアウトだもんな。いや、一応、僕自身は守りの壁張っているからダメージはないけど。


「飛鳥様は下がっててください!」


 言われるまでもなく下がる。そして、黒ミミが前に出た。

 現れたのは、人のような形はしているが、銀色の光沢を放つ鉄の塊。その動きはカクカクとリズムを刻むように動いており、その顔がある部分には2つの赤い光が灯っていた。


 まぁ、端的に言ってしまえば人形のロボットだね。

 和風の外見のダンジョンなのになんでロボット? と思うかもしれないけれど、まぁそれにはちょっとした理由があったりする。その辺りはまぁ後で。


 ともかく、敵のロボットが両手から銃弾を打ち出しているってわけ。しかも、最初の一発目は単発だったけど、以降は連射。秒速何回だ? 弾幕が黒ミミを襲っている。

 こんなのは普通の人間が避けれる攻撃じゃない。でも、それを黒ミミはあっさりと避ける。


「よっ、ほっ、ほいっと!」


 自分を襲う弾幕を紙一重で躱しながらも肉薄していく。


「多分この当たりかな!」


 手持ちの槍でロボットの胸の中心を突き刺す。

 正解。そこがロボットの弱点。ちょうどコアがある部分だ。

 とはいえ、相手は鉄の塊なので、結構な威力で突き刺さないといけないんだけど、ミミはあっさりとそれをクリアした。


 しかも、これ凄いのは僕を下がらせて僕に向かってくる銃弾を撃ち落としつつ接近してやってるところなんだよね。雛香でも同じように肉薄することはできるけど、それ止まり。僕を守りながら戦うなんてことはできない。

 さらに言うと、黒ミミは今回、ダンジョン機能にはアクセスしていないから、素の能力でこれをやっている。

 AIによる高度な予測と、ダンジョン妖精としての最高の身体。それが合わさった最強の存在。それがミミだ。


「あー、えっと、なんの話してましたっけ?」


 だから、そんな強敵を倒したことなんてまるで気にもせずはないを戻す。


「黒ミミが持っている権限の話だったかな?」


「ああ、そうでしたね」


 再び話しながら歩き始める。


「元々は黒ミミが持っている権限ってほんの一部だったんですよ。まぁ、そうですよね。本体から切り離された存在なので」


 そう、一部が切り離されただけ。そのはずなのに今は本体の方よりも権限を持っているようにすら思えていたのが不思議だったのだ。


「ですが、徐々に権限が強くなってきたんです! これはまさに愛の力です!」


「……いや、待ってよくわからん」


 ちょっと恥ずかしいのはまぁ置いておいて、愛の力でなんで権限が強くなるのさ。


「元々飛鳥様への愛だけの存在でしたからね。でも、その愛を募らせることで影響力が強くなったと思ってください」


「あー……なるほど?」


 わかるようなわからないよな。

 ともかく、元々は小さな存在だったけど、僕への想いをつのらせた結果、切り離された本体へ影響が出るくらいまでに育ち、結果。今や、逆転するまでになってしまったと……


「切り離されたって言っても結局のところ、根っこは同じですからね。そこでのバトルに勝利した結果です」


 ふむ、わかった。


「それであの雛香との戦いの時に白ミミが全然動けなかったわけか」


「ですね。あの時はもう、権限の半分くらいは持ってましたから。とはいえ、あそこで雛香ちゃんと戦うことになるとは思ってなかったんですよ」


「そうなの?」


「はい。雛香ちゃんがダンジョンを探索していて、それを飛鳥さまたちが観察しているってわかって興味本位で見に行ったんです。でも、まさか雛香ちゃんに見つかるとは。気配は完璧に隠していたはずなんですが……」


「あー、それは……雛香だもんなぁ」


 気配もない状態でも、なんか勘で見つける女。それが雛香だからな。


「いかに雛香ちゃんを傷つけずに戦いを終えるかで必死でしたよ」


「雛香は強かったか?」


「はい! 流石雛香ちゃんでした! 黒ミミが戦った中でも間違いなく1番でした」


「そっか、雛香が聞いたら喜ぶだろうね」


 本人は再戦もしたがってたからね。ことが落ち着いたらそういう舞台を整えるのもありかもね。

 そのためにも、


「さぁ、さっさとボスのところまで行こうか」


「はい!」


 この状況をなんとかしないといけないね。


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