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落ちこぼれのダンジョンマスターが現代地球に転生してダンジョンを創造したら何か騒ぎになってるけど僕のせい?  作者: 猫月九日
第3章

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第21話 答え合わせ

「さて、来るかな?」


 次の日、僕は一人でダンジョンの前に立っていた。


『観測はできません』


 あ、ここにいるのは僕だけだけど、もちろん、僕のことはミミが監視している。

 つまり、もうひとりのミミにもきっと僕がここにいることは伝わっているはず。


「ミミ、わかっていると思うけど、手出しは無用だからな?」


『わかっています』


 うんうん、さて、お膳立てはした。これで後は来てくれることを……


「飛鳥さま! 来ましたよ!」


「うぇ!?」


 後ろから急に声をかけられ、ついでに背中に柔らかい感触が!


「ちょちょっ! いきなり過ぎない!?」


 現れるのも急だし、抱きつかれてるよねこれ!?

 バーチャルの身体って柔らかかったんだなぁ……って違う!


「頼む! ちょっと離れてくれ!」


 まずは色々と確認したいんだよ!


「えー、ミミはこうしてたいんだけど……でも、飛鳥さまのお願いだからしょうがないですね!」


 背中に感じる柔らかい感触が離れていく。それはそれで少し背中が寒く……ではなく、振り返って確認をする。

 そこには、見慣れたいつものミミの姿が……


「……随分と表情が豊かだな?」


 いつも無表情の白ミミと違って、今ここにいる黒ミミの表情は笑顔だ。天真爛漫っていうのはこういうことを言うのかな?

 表情が違うだけなのに、随分と印象が違う。


「えっと、ミミだよな?」


「はい! そうですよ! 飛鳥さまの言う黒ミミってやつです!」


 喋り方も随分と違う。本当に別人みたいだ。


「あ、この喋り方気になります? これはですね、雛香ちゃんを真似してるんですよ」


「あー、なるほど?」


 確かに、自分のことを名前で言うところとか、明るい感じとか。言われてみれば雛香っぽい。


「なんでまた、雛香の真似なんかを?」


「だって、飛鳥さま、雛香ちゃんのことが好きなんじゃないですか? だから、こうしたらミミも飛鳥さまに好きになってもらえるかも! って思って研究したんです!」


「なるほど……?」


 というか、今凄い重要なこと言ったよね?


「えっと、ミミ……今は黒ミミって呼ぶな? 黒ミミは僕のことが好きなのか?」


 好きになってもらうためにわざわざ雛香の真似をしてるってことはそういうことだと思うんだけど。


「もちろん! 大好きです!」


 それを証明するかのように、黒ミミは僕に抱きつき、頬にキスをしてきた。


「ちょっ! わかった! わかったからちょっと離れて!」


 好意しか感じないんだけど!? しかもド級の好意!

 うぬぼれだったらどうしようなんて思ってのが馬鹿らしくなるんだけど!


「と、ともかく、僕の推測は合ってたってことだな!」


「うん! 大正解! 黒ミミは本体から切り離された飛鳥さまを大好きに思う気持ちから出来た存在です!」


 やっぱりか、ってまだ抱きつこうとするな!


「……はぁ、とりあえず、いきなり襲いかかられるとかじゃなくて良かったけど」


 ある意味では襲いかかられたけど、そうじゃなくて、戦闘的な意味でって話ね。


「あっ……それは本当にごめんなさい。黒ミミ、他の冒険者さんたちに手を出して、飛鳥さまに迷惑をかけてしまいました……」


 黒ミミの表情が暗くなる。


「それは……まぁ……」


 迷惑じゃなかったって言えば嘘になるけど。


「そもそも、どうして黒ミミは冒険者たちを襲ったりしたんだ?」


 そこも答え合わせしたい。


「あいつらが、飛鳥さまの作ったダンジョンに文句を言ったんです! 飛鳥さまへの文句も言ってたんですよ!」


 あー、なるほど?


「つまり、僕への悪口を許せなくてってことか……」


 これは責めづらい……


「でも、飛鳥さまたちが確認しにきて……雛香ちゃんにも会って、悪いことなんだなって学習したから以降は我慢するようにしてました!」


 そういう理由だったか。そもそも善悪がわかってなかった感じなんだな。


「まぁ、そういう理由だったら……とりあえず反省したのはいいことだよ」


 黒ミミの頭を撫でる。


「えへへ」


 これは甘いって言われてもしょうがないなぁ……でもこの笑顔の前だとしょうがないじゃないか。



「さて、ともかくだ。ここに来てくれてよかったよ」


 色々と確認できて良かった。これで半分目的は達成したようなものだ。

 うん、半分なんだよね。

 黒ミミに会うことが大きな目的だったけど、実は次の目的がある。


「あ、そうそう。飛鳥様、なんでわざわざこんなダンジョンなんて作ったんです? 本体の方も知らないみたいですし」


 秘密にしておいたからね。でももう隠す理由なんてない。


「それは当然、目の前にダンジョンがあったらやることなんて決まってるだろ?」


 目の前に誰も攻略していない、未知……ではないけれど、ダンジョンがある。これを前にしてとる行動は1つ。


「攻略するんだよ。このダンジョンを! 僕とミミの2人でな!」


 これが今回の手段だ。目的は……まぁ、後でだな。


「さぁ、行こうか。このダンジョンはかなり難易度を高くしてあるから、頑張ってくれよ!」


 黒ミミに手を伸ばす。


「はい! 頑張ります!」


 黒ミミが僕の手を取り、僕たちは一緒にダンジョンへ突入したのだった。


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