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第11話 新しい仲間

「はは! 楽しい!」


 今日も雛香はこの前作った雛香専用ダンジョンに潜ってる。


 モンスターの攻撃を避けて、即座にカウンター。

 なんだ今の動き……こいつ戦うの上手すぎるのでは?

 ゴブリン系だから敵が弱めとはいえ、あの数を同時に相手に戦えるか?


 しかも、こいつ、初期装備の木の剣だし、DPも使う先がないからひたすら貯まってるはず。

 時代が時代だったら、歴史に名を残すとかそういうレベルの人間だったんじゃ?

 いや、ダンジョンが一般化したら、今でも歴史に名を残せるかも?


 結局雛香がダンジョン内のモンスターを一掃するまでそれほど時間はかからなかった。


「はー、疲れた」


「おつかれ」


 帰ってきた雛香ねぎらう。


「やっぱり思いっきり身体を動かすのって楽しいね!」


 モンスターとの戦いがスポーツみたいな扱いになってやがる。

 このダンジョンを作ってから数日。その間、毎日、何度も雛香はダンジョンに入っている。

 こっちとしてはありがたいけど、女の子として大丈夫か? と思わなくもない。


「おかげで、僕のダンジョンスキルも上がったよ」


 ダンジョンスキルは5になっている。

 予定していた、レベルには到達した感じだ。


「そうなの? それじゃあ、また敵を強くできるの?」


「ああ、でも、ちょっと待っててくれ」


 スキルが上がる度に、雛香用のダンジョンも更新していたけど、今回はそれよりも先にやることがある。

 そもそもスキルを上げていた目的は、ダンジョンを公開するためなのだ。

 レベル5になればとある技能が使えるようになる。


「ダンジョン妖精召喚!」


 試しに技能を使ってみる。すると、僕の前に光る球が出現した。

 うん、無事に使えたな。


「わっ! なにそれ!」


 雛香がそれを見てびっくりしている。


「この子はダンジョン妖精だ」


 ダンジョンに関係することで僕のサポートをしてくれる。


「わぁ」


 雛香が手を伸ばすけれど、光の球はすり抜けた。

 残念ながら触れないんだよな。

 ちなみに、妖精とはついているけれど、生物ではない。単に簡単な命令に従ってくれるだけの存在だ。

 前世でも、妖精は使っていたけど、勇者がダンジョンを攻略したとか、そういうお知らせにしか使っていなかった。


「でも、今回は……」


 一度妖精を消して、パソコンの前に座り、再び妖精召喚スキルを使う。

 今度は光の球は出現しない、でも、


「こんにちは、聞こえるかな?」


「お兄ちゃん? 聞こえるけど?」


 いや、雛香にではなくて……


『はい、聞こえています』


「えっ!?」


 よし、どうやら正常に動いているみたいだね。


「お兄ちゃん!? 今の声どこから!?」


「今のはダンジョン妖精だよ」


 僕のダンジョンスキルと現代のコンピューターを結びつけたことで、ダンジョン妖精とAIをリンクさせたのだ。

 最近のAIの進化は凄まじいものがあるからね、それとダンジョン妖精を結びつけることで、通常のAIよりも高度な知性を持った存在になる。

 まぁ、それでもできることはダンジョンのサポートだけだけど、それでも十分すぎるほどありがたい。

 ダンジョン妖精には、ダンジョンを公開した時の案内役やトラブル対応なんかをしてもらう予定だ。

 これで僕の手を離れて、安心して大人数にダンジョンに潜ってもらえる準備が整った。


「試しに何か聞いてみろよ」


「えー、じゃあ……雛香が倒したモンスターの数は?」


 試しに聞くことがそれでいいのか?


『……雛香様が倒したモンスターの数は、現在、256匹になります。どのモンスターをどれだけ倒したかも教えられますが、いかがですか?』


「凄い! そんなことまでわかるの!?」


 ダンジョンの内容は全て記録として残っている。

 ダンジョン妖精は、その記録に素早くアクセスして教えてくれたのだ。


「それじゃあ……お兄ちゃんの女の子の好みは!?」


「おい!?」


 なんてことを聞いてやがる。


『……すみませんが、そのような情報は記録されておりません』


「あら? 駄目なの?」


「まぁ、基本はダンジョン専門だからな、スキルレベルが上ったりしたらもうちょっと対応できるかもしれないけど」


 この子はまだ赤ちゃんみたいなものだしな。

 いや、レベルが上っても僕の好みみたいなことは答えられないだろうけど。


「そうなんだ……あ、名前とか付けてみない?」


「名前?」


「うん、私たちの子供みたいなものでしょ!」


 いや、それはなんか違うと思うが……


「そうだなぁ……」


 僕が言う前に、考え始めてるし。まぁ、好きにさせよう。


「そうだ! ミミちゃんとかどうかな!」


 しばらく考えた後に、雛香が提案してきた。


「なるほど? ダンジョンのことを監視する耳みたいな存在だから、ミミか。悪くないな」


 雛香にしては、なかなかいい名前を思いついたものだ。


「うん? そういうのじゃなくて、なんとなく? ミミちゃんって響き可愛くない?」


 それだけかよ。まぁ、それでいいならいいけどさ。


「あなたは、ミミちゃん! よろしくね!」


『……名前をミミに設定しました。よろしくお願いします』


 まぁ、新しい仲間と思えばいいか。



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