婚活クエスト ~ただいまレベル999!~
小説家になろうラジオ大賞5 参加作品。
テーマは「クエスト」です。
激務に追われ気づけばアラフォー。
慌てて結婚相談所に通うも全敗。
しかも車に轢かれ死ぬ。
このままでは死ねない!
その執念で私は異世界転生した。
平凡な街娘に転生した私は自分磨きに徹した。
全ては素敵な男性と結ばれるため!
今度こそは!
狙うは英雄の勇者様!
又は仲間のイケメン賢者か強靭な肉体の戦士。
彼らと親密になるには、パーティーの一員になること。それにはギルドで成績を上げ、仲間に加わるのが手短な方法。
というわけで私はギルドへ……
「お嬢ちゃんのレベルじゃあ、参加できねぇよ」
と門前払い。
頭にきた!
見返してやる!
前世の看護師の職を生かし、回復系魔法を習得。更に護身用に習っていた空手を極め、殴れて治せる武闘家に。
「仕事ください!」
これで素敵な男性とクエストし、未来の伴侶をクエストする!
「これなんかどうだい?」
ゴブリン狩り?
仲間は小太りおっさん戦士と、80歳越え魔法使い爺と僧侶婆?
なんなの!このパーティーは!
もういい!
レベル上げて一人でやる!
こうしてレベルがカンストすると私の噂は広まり、勇者様が私を探しにギルドへ。
これで私は勇者様らと!
念願の彼らとの魔王討伐の旅に。
しかし現実は厳しかった。
「君はいいヒップしてるねぇ」
セクハラエロ賢者。
「早く食事の仕度をしろ!」
パワハラモラハラ筋肉戦士。
「僕のような美男子の顔に傷がついてはいけない。前衛は君に任せたよ」
ナルシスくそキザ勇者。
最悪。
なにこのメンツ。
こんな奴らと結婚なんてできない!
そんなこんなで魔王の前まで辿り着く。
「覚悟しろ、魔王!」
「ついにここまで来たか」
あれ?
魔王って意外とイケメン?
「これ以上、何を望む?
我が領土を侵略し、臣下の者に危害を加え……」
「お前の存在が悪なのだ! イケメンは俺だけでいい」
え、なにこれ?
これって勇者の勝手な私怨?
魔王は何も悪くない?
「魔王様、ここは我らが……」
「お前達、何故?」
「魔王様を見捨てて逃げれません!」
メチャクチャ良い人?
王であり部下にも慕われる有能イケメン男?
「よし今だ!」
「あの~ 私、魔王側につきます」
「なんだって!?」
私が魔王様に加勢したお陰で両勢力が均衡し、
魔王軍と人類とで和平が結ばれたのでした。
そして私は……
「王妃様、ご機嫌麗しゅうございます」
「うむ」
多くの部下に囲まれて、
「久しぶりに毒沼散策にでも行かないか?」
「素敵ですわ、魔王様」
愛する御方と幸せな日々!
婚活相手は別に人間に限ったわけではないものね。