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part Aki 7/18 am 10:21



 

 公園東口からの 遊歩道を必死に走る。

 今日 何度目かわからない舌打ち。なんだって こんな日に ボクは ミュールなんて履いてるんだ? ミュールを脱ぎ 手に持つと 素足で 駆ける。息 上がって 死にそうだけど 中央体育館の黒い丸屋根が見えた。微かに 応援の声が聞こえてくる…。……もうちょっとだ。落ちたペースを もう一度上げる。


 もう 何度 通ったかわからない 中央体育館の 東側の階段を上がり 2階席へ。重い扉を 開けると 声援の音量が一段上がる。広い1階フロアの手前が男子。奥が 女子の試合会場。遠くに小さく 瞳の姿が見える。小走りで 奥に進みながら 状況を確認する。7ー5 藤工リード。よしよし。第1セットは? ……22ー25。取られたのか…。


 上がった息を整え


 

「瞳ーーーっ」



 って 応援を 送るけど 神楽さんのスパイクが決まり 大観衆の声に掻き消されてしまう。試合の邪魔するワケには いかないけど ちゃんと応援に来たって 気づいてもらえるように いつもとは違って 観客席の下の方へ。藤工のサーブ。清栄のレシーブからの 3球目攻撃。かなりの鋭いスパイクだけど 藤工の1年生リベロ 佐々木ちゃんは 難なく 回転レシーブで 瞳のところに ボールを返す。神楽さんが オープンにいる。瞳の後ろ すぐ近くには 日菜乃さん。瞳の選択は 背面の日菜乃さん。ジャンプしながら 後ろに短くトス。そこへ 走り込んできた 日菜乃さんが アタック。


 バシッ!


 清栄の2枚ブロックが 藤工の攻撃を阻む。鋭く下に落ちたボールは 日菜乃さんの足に当たり コースを変える。そこへ ジャンプトスを終えた 瞳が降りてくる……。



 バチンッッッ!!!



 今まで ボクが聞いたこともないような 不吉な音が 体育館に 響いた。そして ネットの下に 倒れ込む 瞳。


 

 えっ?

 

 えっ?

 えっ?

  

 なんで?

 なんで?


 

 なんで 瞳は 立ち上がって こない?


 あの 大きな呻き声は?

 もしかして 瞳の声?


 

 ボクが 状況を理解する よりも速く 担架が運ばれてくる。……いや わかってる。瞳は 大ケガをしたんだ。脚が ガクガク震える。怖くて 怖くて 目を閉じたくなる。でも そうじゃない。ボクは 瞳の恋人。何か しなくちゃ。


 何を?

 何が できる?


 わからない。

 わからないけど……とにかく 動かなきゃ!


 ボクは もう一度 ミュールを脱ぐと 1階の医務室に向けて 駆け出した。

 ………。

 ……。

 …。

 

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