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5/21

5.お金とモテるって重要だよね

夏休みだ!!!!!!


あと、書き方変更しました。

心の声  ""から()

場面移動 ///// から ◇ ◇ ◇

「アルマス、白獣運輸から荷物届いてたわよ。重っ!なに頼んだのよ!」


 カノンは黒色の10センチ立方のボックスをアルマスに投げつけた。


「ありがとう、クロ」


 アルマスの一言でトランクから一瞬黒い何かが伸び出て、ボックスを受け止め机の上に置いた。

 アルマスは現在、ゴーグルのイグテスを付けながら作業台に改造された机の上で作業に没頭している。アルマスは受け取ったボックスを早速開封した。中からは大量の鉱石が溢れ出てきたが、トランクから再び黒色が伸びてトランクに吸い込まれていった。

 現在時刻は夜八時、アルマスは約三時間ほどずっとこのままである。


「ただいまアリスお風呂から上がりました!男子組どうぞ!」


 アリスがパジャマ姿で洗面所から出てきた。それと交代でアデケイラは風呂に入る準備をする。


「そういえば、アルマス君、夕方から何作ってるの?」


 アリスはアルマスが何を作っているのか質問した。アルマスもほぼ大部分の工程を終えていたようなので作っているものを見せつけながら言った。


「まあ、見た目はただの青く澄んだ玉だな。刻印に時間がかかったんだ。」


 アリスは刻印の効果を瞬時に読み取る。


「物体の収集と魔力への変換?」


 アルマスはそれを肯定する。


「少し前に人間は生きるために空気を必要とするっていう研究が発表された人はそれを受け入れた。つまり、この世界にありふれている空気に大きな価値が追加されたんだ。微々たるものではあるが、少しぐらいの魔力の補助にはなるだろう。」


 アルマスが今回利用した空気以外にも近年、科学の発展により、人々は電気などのエネルギーを欲するようになった。価値が生まれればそれは微々たるものではあるが、魔力に変換できる物となる。ちなみに、このことについても少しずつ研究は進んでいるが、エネルギーに宝石のような価値がある訳でもなく、変換効率が悪すぎるのでまともに取り組んでいる人間はごく少数である。


「それの効率と製作に使用した費用釣り合ってないんじゃないの?見た感じ貯蔵は出来そうになさそうだし。」


 ソファーに座って寛いでいるカノンがアルマスにそう言う。


「お、俺にとっては、これはその費用より価値があるんだぞ。貯蔵庫はその内出来る、、はず。」


 アルマスは痛い所を疲れたのか、負け惜しみを言う。


「カノンちゃん、事実でもそういうことあまり言わないほうが良いと思うよ!」


「ガフッ!」


 アルマスはアリスの悪気なき言葉によって撃沈し、机に突っ伏した。カノンはため息をついて読書に戻った。


「アルマス、風呂上がったぞ。」


 その後、アデケイラが風呂から出てきたので、机に突っ伏しているアルマスをイグテスとトランクから現れた真っ黒の猫?のシルエットみたいな奴が慣れた手つきで風呂に連れて行った。アルマスは製作に全霊を注いでいたため、疲れてもう動く気も起らないようだ。

 アルマスはイグテス達にされるがまま服を脱がされ、洗われ、湯船に浸かった。


(あー、いい湯だ。)


(最近の技術は凄いですね。これの保温にしか魔法使ってないらしいですよ。)


 イグテスも湯船に浸かる。


(マジか~、ってことは、、電気の価値が上がってるのか?)


(微弱過ぎるので上昇は確認されていません。)


(そうか~、じゃあ、まだ移行は先でいいな。最近金ないし、どうにかして収入を増やしたいな。そういや全力稼働はどのくらいできる?)


(ざっと三分ですね。場合によって前後しますが、それ以上すると負荷が凄いことになります。しかし、この学校は良い意味でも悪い意味でもテストでは結果重視なので、そんな無理することはないと思います。)


(だよな。俺の合格理由も多分だがお前目的だろうし、個人の能力とかより総合力を評価してんだろうな。)


(ですね。結果のためなら手段を選ばない。マイナスイメージを持つ人も多いでしょうが重要なことですね。)


(一人でするべきことを二人でやって、成果が良ければ二人が評価される。二人側の俺達が言うのも何だが、なんかしっくりこないよな。)


(グループ行動は重要ですが、いつの時代も開拓者には一人、ずば抜けた人間がいますからね。個の重要性を見失った時、文明の発展はどうなるんでしょうね?問題なく進むのか、はたまた衰退するのか、、審判するのは未来の人に任せましょう。今考えても意味ないですよ。)


(そうだな。疲れて思考回路も狂ってしまったようだ。今日は早く寝る。)


(そうしてください。)


◇ ◇ ◇


「あんたのお眼鏡に似合う生徒でもいたのか?」


「こんな時間に来て聞くことがそれかよ。」


 真夜中の売店には店長のカザマルと一人の客がいた。


「勿論、日が出てる間はなんやかんやで人がいるからな。お前は腹を割って話してくれないだろ。」


「まあ、確かにそうだな。注文は?」


「鉄鉱石を大量に、大会前だからということで大量の注文が来てるらしくてな。お使いを頼まれたって訳だ。」


「ご苦労さん、直で送る感じでいいか。それともお前に預けた方が良いか?料金は変わらんぞ。」


「俺が持って帰るさ。俺がちょっと手を加える必要があるからな。」


「そうか、じゃあ、ほいっ。」


 カザマルは黒いボックスを投げ渡す。客はそれを受け取り鞄に詰め込んだ。


「で、話を戻すんだが良い生徒はいたか?」


 客は始めの質問に話を戻す。。


「何人かいた。一人はあの年で素材の違いがわかる奴。」


 カザマルはコーヒーを出す。


「あざっす。お前以外にもアズラと合いそうだな。」


「だろうな。一人は怪物、いや鬼神か。」


「なんだそれ、そんな化け物が入ってくるところだったか?」


「本人はたまたま辿り着いて、たまたま学校に入れる年だから勉強して入ったみたいなノリだったぜ。」


「はっ、地頭も良いってか。」


 客は羨ましそうにそう言った。


「で、最後に光輝く剣を携えた奴。何と言うか、勇者っていうのがいるならああいう奴がなるんだろうなって思ったよ。」


「へぇー、それは気になるな。まあ、そんな奴らがいるなら大会も何とかなりそうだな。」


「新人戦か、そんなトラブルでもあったか?」


 客の言葉にカザマルは質問した。


「最近、種族間での対立が激化してきているような気がしてな。学生間の争いとはいえ、子供は未来の担い手、種族問題は呼んでないのに寄って来る。何かあった時に学生が何もできずに飲まれるっていうのは止めて欲しいからな。」


 カザマルは少し笑う。


「お前、そんなこと気にする奴だったか?」


「良いだろ、最近の冒険者は腕も質も落ちて来てて、俺達はそんな光景を直視したくないんだ。未来ある若者に逃げたって良いだろ?」


 客はため息をつきながら言う。


「そんなお前にちょっとしたお知らせだ。」


「おっ、なんだ?」


「さっき言った三人、あいつに勧誘されてたぜ。」


「マジで?」


「まあ、冒険者になったとしても学業の片手間やるみたいな感じになるだろうがな。」


「それに見合う実力はあるんだろ?」


「それは十二分に、、」


 カザマルは酒を開けて、客と飲み始めた。

 

◇ ◇ ◇


 翌日、アルマスとイグテスは午前の授業を終わらせて寮の食堂にいた。


「この肉うまくね?何の肉?」


「知らねえよ。注文する時に確認するだろ普通。俺はカレーを頼んだから見てるわけないだろ。」


「それ、炎牛の肉。炎纏って突進してくる奴。」


 二人と同じテーブルを囲んでいるのはアルマスと同じクラスで同じ班のスビンとケテル、トーマスであった。

 炎牛の肉を食べているのがスビンで彼は人狼であり、人と銀狼の姿を行き来することが出来る。人の状態の彼は銀髪で金色の眼を持っている。身長は低めで百六十センチ弱である。

 また、人狼には自然に身体機能として人と狼を行き来する能力を得た者と、変身魔法を元に変身能力を刻み込んだ魔法使いを祖とする者の二種類あり、彼は後者にあたる。

 カレーを食っているのはケテルである。彼は公爵家の跡継ぎであり現在も侯爵の爵位を持っているが本人が地位を振りかざす気がないので、特に問題は起こっていない。また、彼があまり地位を主張しないことから他の貴族家の子息も権力を振りかざしにくくなるという状況を作り出している。

 髪は金色で眼は紫色だ。このクラスではアデケイラに次いで身体能力が高く、貴族とあって護身術を習得していおり、また背も高い。

 トーマスは上二人と比べればあまり個性はないだろうが、常人と比べて魔力線の多い。知識も豊富であり、雑学に強い。いや個性はあった。彼はアフロだ。背はアルマスと同じくらいだがアフロでかなり盛られるため、見た目的には結構背が高い。


「アルマス、お前は何食ってんだ?」


 スビンがアルマスに聞いて来る。


「俺は持ち込みで売店で買って来たんだが、豚肉と米、あとサラダ。」


「米っていうのは大陸の東側で生産されてるっていうあれか?」


 トーマスが聞いて来る。


「らしい。店長が米好きらしくて、頑張って仕入れてるんだとか。」


「僕は近海で取れた魚だね。」


 イグテスは丸焼きされた魚を丁寧に食べている。


「で、集まったのは、今日の午後にある演習のことなんだが、まず内容について把握しているか?」


 ケテルが四人に聞く。反応から見るとアルマスとスビンは分かっていないようだ。


「えーっと、そこ二人は分かって無さそうだから説明するぞ。今日の演習の内容は簡単に言うと魔獣狩りだ。」


 それを聞いてスビンは驚いた顔をする。


「マジで?俺達まだまともなこと習ってないぜ。」


 スビンの反応は何も間違ったものではない。簡単な話、魔法使いが魔獣と戦うというのは、魔法の使えない一般人がやる気満々の熊と戦うようなものだからだ。


「流石に弱い奴、弱らせた奴を使うらしいが、危険なことには変わらない。まあ、テトラ先生もついてやるらしいから万が一も起らないだろうが。」


 トーマスも頷く。邪竜討伐の実績はやはり凄いらしい。


「で、これが重要なんだが、大前提としてお前ら勿論、席次は高ければ高いほうがいいよな。」


 ここにいる全員がそれについて賛同する。


「ということで俺が狙うのは好成績を残して、春季大会に出場することだ。春季大会に出場するためにはクラスの中の五班の中で上位二班になる必要がある。もしこれに出場できれば成績は大幅加点があり、履歴書を書くときの大きな武器となる。どうだ、お前達も狙わないか?」


 履歴書を書く必要が一番無さそうなケテルは熱く語る。トーマスは頷いて同意した。ケテルとしては公爵家の跡継ぎとしてそれに見合う功績が欲しいか、または公爵家のケテルではなく、ケテルとして評価されたいのであろう。


「ケテル、賞金とかはあるのか?」


 アルマスはケテルに質問する。


「かなり高順位にならないといけないがかなりの高額がでるぞ。」


 金欠のアルマスはやる気を出した。トーマスは元から、アルマスは賞金があることによってやる気が満ち溢れ始めていた。


「ケテル、俺からも一つ質問がある。」


 そんな中でスビンがケテルに神妙な顔をして質問した。ケテルは唾をのむ。好成績を収めるためには必ずチームワークも評価に入ってくる。もし、一人でもやる気がなければ、春季大会への道は閉ざされるのだ。


「もし、春季大会に出て、良い感じのとこに行けたら、、モテるか?」


 ケテルは即答した。


「ああ、勿論!勿論だとも!」


 ケテルは力強く肯定した。


「よし!やるぞお前ら!!」


「「「おう!!」」」


 スビンが力強くそう言い、その他三人は相槌を打った。

 ちなみにイグテスは途中から防音結界を張っていた。

 


 

人生振り返ってみて履歴書に書けることがあまりにもない気がする。

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