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手料理をふるまう

誤字修正しました(〃´∪`〃)ゞ


冒険者ギルドに向かえば既にクエスト依頼の書類は完成しており、さすがはショコラ&ギルマスのエリオットさんだと感心しつつ達成報告。


薬草については私から直接依頼人・・・さすがにおいそれとフィーの名前を出すわけにはいかないので代理人のジークフリードさんに渡しに行くことになった。


再び転移で王城の離宮に戻ってくれば、ジークフリードさんと書類の確認をしているフィーの姿が見えた。


「貴様らいつもそうやって転移で移動しているのか」

と、ジークフリードさん。


「えぇ、まぁ。便利ですし。あれ、ここ王城ですけど普通に転移できましたね。前に王子妃教育で伺った時は王城前にしか転移ができなかったので」


「うん。それはここの主である私が許可しているからだよ。キアならそうしたいと思って」


「い、いつの間に!」


「でも安心して。キアが転移する&してきた時は私が敷いた離宮の魔法陣によってどこに転移したのか、どこから転移してきたのかがしっかりわかるようになっている」

へぇ、便利ね。魔力は多いらしいからそう言うこともできるのね。お体の負担になっていないといいけど。


そんな私の表情を読んだのか・・・


「少しは放出しないと溜まるばかりだからね。こうしてキアの行動を逐一把握するために使えるなら

精神的にも安定してくるんだ」

フィーのためになるなら何よりね。


「ついでにGPS魔法もつけてるから、キアがどこにいるかはすぐにわかる」

GPS魔法?何か便利そうな魔法だけど。


「ついでに何をして、何を話して、誰とどんな話をしたかもわかるようにしたいと考えている」


「えっと、大丈夫よ。そんなに心配しなくても。これでもいっぱしの冒険者だし、レナンもいるし」


「はい、フィーさま。一応その手のものは元々俺の姉にも提供しているのでその写しをお渡しします」


「それは助かる。レナンは優秀だな」


「はい」

え?リアに何を提供してるって?そしてそれをフィーにも・・・


ふたりとも心配性なのかもしれないが。何だろう?何か底知れないものを感じる。いや、これ絶対に深く踏み込んではいけない問題だ!うん。女の勘がそう告げている!!


「それで小娘。薬草は」

ジークフリードさんの声で我に返る。


「こちらです。これを煎じるのよね」


「あぁ」


「じゃぁ私が煎じるね」


「そんなことまでできるのか?」


「冒険者ですからポーションの自作などもするし、冒険の途中で困った時はこうして手ずから薬草を煎じないといけないことも多いの」


「キア」

フィーが心配そうな表情を浮かべる。


「あ、でももうそんなに危険な目に遭うこともあまりないし。冒険者としての腕は結構鍛えたつもり」


「うん、わかった。でも危ない時はこの腕輪を」

フィーが差し出してくれた翡翠の玉がはめ込まれた腕輪を渡される。


「これは?」


「困った時は私の名を呼んで。この腕輪を通して魔力を放出するから」

つまり魔力提供が受けられる!


「わぁ!とっても嬉しい!」


「嬉しい・・・か、うん。それでいい」

・・・?どう言う意味だろう?まぁそれでも、フィーの魔力放出もできて私たちも助かる!

願ってもみない幸運のアイテムだ!


「あ、お薬できたから、これをお湯で薄めて飲んでね」


「あぁ、ありがとう。キア自ら採ってきて煎じてくれるなんて、幸せすぎてどうしよう」


「もうフィーったら」

な、何だろう。何か、カップルみたいでドキドキする。いや、私はフィーの妃になるのだけど。


「そうだ。おいしい鶏肉がとれたのでよかったらたべる?」


「・・・キアの、手料理?」


「うん。王城のシェフが作るような出来ではないけれど」


「いや・・・キアが、私のために自ら手料理をふるまってくれるならそれほど幸せなことは、ないな」


「そこまで言ってもらえるなら腕によりをかけるわ」


「うん・・・嬉しい」

出会ってまだ2日目なのに。何だかフィーの笑顔がとても愛おしく感じてしまう。


私はフィーの補佐をレナンに任せ、早速離宮の厨房を借りて鶏肉料理をこしらえた。甘じょっぱいたれを染み込ませた照り焼きチキン!庶民食だけど、フィーは気に入ってくれるかな?


特製照り焼きチキンをお披露目すれば、やはり見慣れていないのかフィーは不思議そうな表情をしていた。


「一応、俺が毒見をするからな」

と、ジークフリードさん。まぁ必要なことなのだろうけど、何だかその視線がチクチクする。何か姑みたいになってない?ジークフリードさん。


「大丈夫・・・魔法で、毒はないと出ている」

と、フィー。


「だから、ジーク・・・キアの手料理の第一口めは、私の物だ」

とフィーがジークフリードさんの手をとる。


「しかし・・・だな、フィー・・・」


「やだー」

そんな子どもみたいに。でも、そんなフィーもかわいいかも。


「わかったわかった・・・お前がそう言うなら、ほら」

と、ジークフリードさんがお皿をフィーに差し出し、フィーがぱくりと口に照り焼きチキンを頬張る。


「うむ・・・おいしぃ・・・キアの、手料理」

そんな嬉しそうな顔をされたら。


「またおいしい食材、狩ってくるね」


「うん。キアの手料理、楽しみにしている」


「うん!」

何だかやる気がでてきた。


「キア・・・キアはもうすぐ16歳だね」


「うん」

なので本来は、貴族の子女として王立学園に通う年なのだが。生家を勘当されて、新たにキャルロット公爵令嬢になったとはいえ私はフィーの妃。もう学園に通うことはないだろうなぁ。


「キアが16歳になったら、正式に、結婚しようか」


「・・・っ!そのっ」


「私は既に16歳だ。いつでも結婚ができる」

この国で結婚可能な年齢は16歳だ。しかし学園に通う貴族の子女たちは通常は学園を卒業してから結婚する。


だが学園が関係ない私にとっては特に気にすることでもなく。


「う、うん。本当に私でいいの?あ、あの・・・フィーが嫌になったら私はいつでも離縁してくれていいけど」

キャルロット公爵のお父さまに迷惑が掛かってしまわないかが心配だが、あの方は天才だから私が何かしなくてもご自分で何とかされてしまいそう。


「離縁など、しない。私は一生涯において、キアだけを愛する。キアが離縁をしたくとも私はキアを手放せない」


「フィー。どうして、そこまで・・・」


「私にとって、キアだけが唯一だから、キア。キアが私の前から去ってしまおうとしてもGPS魔法でいつでもどこでも居場所はわかるし、私手ずから強制転移させるから」

え、そんなこともできるの?フィー。

でも何か恐いな、と思ったのは気のせいか。


「何だ小娘、何か文句でもあるのか」

と、ジークフリードさんに睨まれる。いや、ジークフリードさんの目つきの悪さよりはましだな、と思った。



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