表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

新たな領地へ


―――さて、今回の騒動について簡単にまとめるとこういうことだ。


財政が悪化し、各所に借金を抱え返済が滞り領民ひとりいなくなってしまったメロンディナ公爵領。


事態を重く見た国王陛下は再三にわたってメロンディナ公爵に書状を送ったものの、返事は来ずまた登城もしてこなかった。その挙句お金が無くなったため領民から直接取り立てると息巻いて、お金もないのに馬車をツケで支払うとうそぶき借りてメロンディナ公爵領に向かった。


しかし時すでに遅し。

国王陛下はメロンディナ公爵のお家取り潰しを決定し、メロンディナ公爵領を国に返還させた。


だが冒険者含む領民たち人っ子一人いなくなった領地は、魔物が溢れ荒れ放題だった。


そこで豊かな土壌が欲しく、更には武力が有り余っている帝国に「この土地あまってて、あげるから開墾とか整備お願い」と売りつけ、その友好の印にクレアお姉さまを王太子妃に迎え入れたのだ。


そしてすっかり帝国領内になった旧メロンディナ公爵領に、堂々と不法入国し「ここはわしらの土地だ」「金寄越せ!」と強盗まがいの脅迫をしたメロンディナ公爵夫妻とその娘。彼ら彼女らは即刻開拓の陣頭指揮を任された皇太子殿下率いる帝国軍人にひっとらえられた。

※因みに馬車の御者も王太子殿下が招いた皇太子殿下の部下である帝国軍人で、彼らの罪状には帝国に対する詐欺行為も加えられた。


更に帝国の捕虜となった彼らは帝国のご厚意で王国に返却された。


しかしながら事件はそこで終わらなかった。聖国から嫁いできた元王妃さま・エスメラルダは聖国に秘密裏に手紙を出し、今が王国を攻める好機だと書き記し王国を聖国のものにした暁には自分を王太子母に、ヴィクトリオを王太子に据え聖王の娘と結婚させることを約束させたのだ。

因みにこの手紙を渡したのは王妃さまは聖国のスパイだと思い込んでいたが、王国内に捕虜と一緒に招かれた王国公認の帝国スパイであり、その写しはしっかり帝国が保管している。


そしてその手紙を聖国のスパイにふんした帝国軍人が聖国に届け、聖国は王国に攻め入る理由ができたとあっという間に王国に攻めてきた、はいいのだが。実は聖国との国境は旧メロンディナ公爵領だったのだ。いや、国境あるくせによくぞ今まで持っていた旧メロンディナ公爵領。それもこれもそこの魔物や素材目当ての冒険者たちがうじゃうじゃいたからこそ聖国は攻めてこられなかったのだ。


だが、私がメロンディナ公爵領を追い出されたことで冒険者を含む領民たちが私の養子縁組先のキャルロット公爵領の新事業地、つまりフィーが与えられた領地に既に移動しており、秘密裏に帝国の軍人たちがそこをもらい受け聖国に気付かれないように着々と軍備を固めていたのだ。


そんな帝国軍人が配備された場所に意気揚々と進軍した聖国は、ここぞとばかりに帝国に叩きのめされ勝手に攻めてきた聖国を帝国は征服した。


帝国は皇女の輿入れと共に、豊かな資源が手に入り更に聖国をも領土に加えることができた。


また、王国側は才女と誉れ高いクレアお姉さまを王太子妃に迎え入れられてウハウハだ。


更には聖国のスパイであり王太子夫妻と王太子母、その王太子妃の父母を国王陛下は栄転とし、帝国側に派遣することにした。


ついでに帝国領内に入った途端、彼らの権利は全て没収、王国籍除籍、てか聖国に寝返った時点で、王国籍は無いに等しい。正式に除籍の手続きを踏み、彼らは仲良く犯罪奴隷落ちしたそうだ。


そして魔石さえ壊せば自由になると、みんな仲良く魔石を粉砕したおかげでいろいろがんじがらめになって泣きわめいているところを皇太子殿下に爆笑されたらしい。


いや、皇太子殿下。絶対にクレアお姉さまがバカにされたこと、根に持ってる。まぁ、私もクレアお姉さまをバカにされたことは嫌だったけどね。それにクレアお姉さまは、素晴らしい発明品をいくつも生み出すとてもすごい方なのだ。今回の領地赴任でもクレアお姉さまは役立つだろうと言って、発明品をプレゼントしてくれたのだ。


「お待たせ~っ!リア~っ!」


キャルロット公爵子息のコンラートお兄さま夫妻に領地まで送ってもらった私、フィー、ジークさん、そしてリアの弟・レナン。


私は現地で待っていてくれたリアことジュリアにがばっと抱き着いた。


「お帰り!キア!」


久々の再会を喜び合っていれば。


クレアお姉さまが開発した“車いす”に乗ったフィーがこちらにやって来た。


「キア、私だってキアと抱き合いたいのに」

と、かわいいことを言ってくれて。


「では、次はフィーに!」

私は、フィーの首に愛おし気に抱き着いた。


「む~。フィーさまだけずるい」

リアが口を尖らせていたが。でも、私たちの仲睦まじさも歓迎してくれた。


「むしろ、じゃなかったら私がキアを地平線のかなたまで連れて逃げる」

とまで言ってくれる始末。


「その前に、この腕輪で強制転移させて私の元へ呼び戻す」

と、フィーが負けじと私の腕にはめられた強制転移も、フィーの魔力放出も可能な腕輪を掴む。


「これがあればいつでもフィーに会えるんだもんね。フィーの魔力を感じられるし冒険中も何時も一緒みたいで心強い」


「・・・キア・・・私もだ。私も、キアと一緒にいるみたいだ」


「そうだ、フィーはつけないの?」

この腕輪。


「私も・・・?」


「その、お揃いとかいいなって」


「・・・!お揃いか・・・!では、私の分も作って、つけよう。それで、お揃いだ」


「うん、お揃い」


「全く。早く邸にいくぞ。日が暮れる」

そんな私たちを見ながらジークさんが呆れたようにかすので、コンラートお兄さま夫妻に別れを言い、早速領民のみんなが用意してくれた新しい公爵邸へと向かうのであった。


(完)



次の更新で、ネタバレ全集やります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ