プロローグ
ーーー世界中を霧の中に貶めたconbad13
中国発のウィルスは日本にもやってきた。
ヒトからヒトに感染するこのウィルスは、肺炎を起こして呼吸困難にしてしまう厄介なものだった。
「人の移動を禁ずる」
日本は憲法により、国民に要請しかできない、はずだった。
それが2025年、憲法改正により、緊急時に国民の権利の一部を奪うことになったのだ。
ある男子高校生ーーー葉山壮太は悩んでいた。
「隔離ってマジですか」
高校一年に上がった壮太は今度こそまともなスタートを切れると思っていた。
小学六年生の時にコロナウィルスの影響で丸一年分の義務教育が抜け落ちた。
もちろん、彼のせいではないし、他の学生も同様なのだけれど。
深刻な授業不足、在宅授業の準備不足で、この年に学生だった世代は教育を平等に受けていないものとした。
要は学生たちが総じて一浪したのである。
だから、年齢は16歳だが今から高校一年生、という少し特殊な世代である。
そんな経緯で彼はようやく高校入学式になるはずだった。
だが、一通のエリアメールが来た。
「conbad13の変異による強毒性を確認。本件により日本は緊急事態宣言を発する。感染拡大防止のため、本日4月2日より満16歳以上の3人以上での居住を禁じる。また、感染未確認防止と孤独死防止のため、独居を禁ずる。違反した場合は罰金3万円又は消毒作業員として服務5日間とする。
特珠事情別離禁止者(特別者)はこの通りではない」
「特別者って・・・まぁ俺は普通者ですけどね」
壮太はメールを読み進める。
「やむを得ず独居又は住居離脱、ホームレスとなる場合には、同居人紹介センターにお問い合わせください」
カチッ。
「あ、やっべ・・・俺性別女で登録してたんだっけか」
彼の呟きは、誰もいない部屋に静かに響いた。