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無面─ノーフェイセズ─  作者: 上野祐太
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Own Face 無限の明日

あれから何年か経った。日本のネットワークは復旧、世界的なテロ活動もすっかり鎮静化し、穏やかな時が流れていた。これも新井『総理大臣』のおかげだ。総理は今、二人のリーダーが率いる小さな国際団体と共に、世界中を駆け回っている。この世界に壁なんていらないってことを伝えるために。

 そういえば、法律も変わったんだった。外国人規制法は一人の検事の活動を中心に取り払われた。その検事は現在、小さな教会に保護されている児童のために、多額の寄付金を毎月送っているそうだ。ニュースでもよく取り上げられている。

「──皆、頑張ってるんだね」

 新聞を片手に呟く。私は世界を回っていた。どこという目的地も無く、あらゆる場所を駆け巡り、歌を歌う。そうして皆に笑顔を届ける。不思議なもので、言葉が通じなくても、歌は皆の心に通じるらしい。子供達も毎回大喜びだ。その笑顔を見るのが、たまらなく嬉しい。

 子供。そう、私には子供がいるんだった。生まれて三年になる。親になってから、私はよくこんなことを考えるようになった。子供が出来るということは、『再び生きる』ことなんじゃないか、と。いや、それに限らないのかもしれない。何かを失いそうな時、未来がわからなくなった時、そして『自分』が消えそうになった時、愛し合った証がそこで生きているというだけで、人は『自分』を愛せるようになる。未来を信じたくなる。

 あなたは『自分』を愛せていますか?見失ってはいませんか?そんな時はいつでも呼んでください。寄り添って、歌うことならできますから。つらい時は、いつでも思い出してください。頑張ってきたあなた自身を。『世界』と触れてきた自分自身を。そして、どうか『立ち向かう』ことを忘れないで。たとえ今は苦しくても、あなたの未来は、黄金に満ち溢れているはずだから──

「ママ!おうた、うたって!」

「本当にお歌が好きなのね」

「だってママのおうた、ピカピカだもん!」

「そっか。──ありがとう、『エミちゃん』」

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