2-003 茜沢 雅
本日も2話投稿です!
曉月は凜音に提案をした。
「水城……話があるんだ。もう一度戻ってきて欲しい」
「もう嫌だと言っているだろう。母親が逆賊に殺された時も墓参りも行かせてもらえず任務任務。あれがどれだけ悲しいことか分からないだろ?」
「それのことなんだが……あの時の大将はもう死んでしまったんだよ。君が辞めてから1年後に」
少し驚いた凜音。しかし、気持ちは変わらない。
(拓也王子たちもいるのに……私だけ別のところに行き別れるなんて私にはできない……)
「水城。まだ考えてくれても構わない。けど君たち4人は大将権限で入隊試験なしで入っていいんだ! 頼む……君は本当に強いんだ、オレたちに力を貸してくれ!」
その場で土下座する大将。世界で8人しかいない大将の土下座を見て、凜音は少し戸惑った。
「土下座はやめてくれ曉月、考えておくから! 今はそれどころではないのだ!」
と事情を話す凜音。曉月は状況を理解した。
「任せろ、大将の力を見せてあげようではないか……!」
2人は3人を探しにカジノから出て行った。
---ランコントル・東出口付近---
「それまでにこの女が大切なのか〜い! へっへ、今すぐ殺したいなぁぁ!」
その男は、先程のトパーズと全く一緒の容姿であった。唯一違ったのは、性格と口調である。
その男は遥を人質としている。
「お前、分身出来たのか……!」
「あぁ〜ん?? 何言ってるんだ貴様! オレの名前は"宝石十二の王"の1人である、トルマリン様だぞ!? 分身とか...笑止。もう1人は俺の弟であるトパーズだ!」
トルマリンは先ほどのトパーズとは兄弟関係であった。本当にそっくりである。
「拓也様! 私、平井がすぐに遥さんを助けに行きます。少しそこでお待ちください!」
トルマリンの方へと全速力で走っていく平井。
(この2日間の成果を見せる時が来た……俺の歯車を見よ!)
「氷の歯車・憑依……!」
「へっ、雑魚が死にに来たか!」
斬りかかる平井の腕を掴み骨を折る。剣を持てない状況になってしまった平井。
「はっはぁー!! 何と脆いのだぁぁ。すぐに殺してあげるから安心しろぉぉ。痛みなどすぐに忘れるわ。
雷の歯車・超強落雷!」
トパーズの落雷よりも何百倍も強い雷が平井を襲う。
眩い閃光が2人の視界を奪う。雷が過ぎ去った後、平井の姿はもうなかった。
「平井さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん!!」
平井の姿は跡形もなく消え去った。先程のトパーズの雷よりも何百倍も強かったのにも関わらず、トルマリンは一切怯んでいない。
「おっとお前たち、あの雷の量なら俺が怯むと思ったのか? あますぎるぜ、あれぐらいで怯むのはトパーズだけに決まっているだろう!! 俺の方が強いのだ!!さぁ……次は一体どの雑魚が戦うんだ!?」
(水城ちゃんは今捕まっていて動けない...だから僕が行くしかない!)
「僕g……」
「君強そうだねぇ〜トルマリンとか言ったっけ? 私とやろうよ?」
トルマリンの背後にとある人が立っていた。その人は中性的な顔をしており、男か女か分からなかった。
「拓也さん。あなたはそこで見守っていてくださいね〜。では、王国護衛騎士団副隊長の"茜沢雅"参ります……!」
「どうせ、雑魚だろ? すぐに殺してやるわぁ!
雷の歯車・落雷五連!」
5つの雷が雅を襲う。しかし、雅は笑った。
「光の歯車・光速移動!」
光の速さで移動する雅。トルマリンの雷を全て軽々と避けた。
その間に人質にされていた遥を助ける。
「大丈夫かい、君?」
「は……はいぃ……! 大丈夫ですぅ、ありがとうございます!!」
とすぐさま光の速さで移動する雅。
「ねぇ……いいの……?そんなに隙を見せて……」
気がつくと雅の剣がトルマリンの心臓の部分を貫いている。
だが、トルマリンはまだ死なない。
「刀はなぁ……電気を通すのだよ!! 死にやがれ!
雷の歯車・体内放電!」
雷を受ける雅は全く動かない。勝利を確信したトルマリン。
(やはり、自分の最大まで雷を出したら耐えれる者などいなかったな! 残りの2人は正真正銘の雑魚だし雷が使えなくても……大丈夫なはずだ……)
と次の標的が来るまで休憩しようと余った矢先、トルマリンは驚いた。
目の前に先程、自分の限界まで雷を出して殺したはずの雅がいたのであった。
「光の歯車・虚像!
今、君が攻撃したしたのはただの幻だよ〜。君は勝ったと思って全て使い果たしてしまったね〜? 楽しめたよ〜。ありがとう〜じゃあねぇ〜!」
とトルマリンを一刀両断した。安堵した雅。
少しした後に凜音と曉月が追いついた。
「拓也王子。怪我はありませんか?」
「大丈夫だよ! 茜沢副隊長が助けてくれたからさ!」
「本当に、私に感謝してほしいぐらいですよ〜。助けたのは私なのですから〜」
「あぁ……雅助かったよありがとう。それより、平井の姿が見えないのだが……あいつはどこに行ったんだ?」
「平井さんは……雷に打たれて……跡形もなく……」
「そうかぁ……あいつも頑張ったのだな。あいつの分まで頑張ろう」
暁も含めた5人は宿屋へと戻って行った。
------ランコントル・宿屋------
凜音は少し考えごとをしていた。逆賊討伐軍に戻るかどうかと言うことと、今後の拓也と水城遥の育成について。
パランポレン王国が崩壊した今、結界はないためいつ襲われるかも分からない日々である。
(早く、拓也王子と水城遥を何とかしなければ……すぐに強い逆賊に襲われてしまったら、2人は瞬殺されてしまう……そうしないためにも……早く質の良い鍛錬をしなければ……)
すると、扉が開いてとある人物が入ってきた。水城遥である。そして、遥はとあることを言った。
「凜音さん……あなたは、私のお姉ちゃんですか?」
「何を根拠にそんなことを言う。私とあなたが姉妹の訳がないだろう」
「曉月大将が言ってたじゃないですか……あなたの名前を水城と呼んで! 私も水城です!」
「何を言っているんだ君は水城と言う名字はいくらでもいるに決まっているだろう。私の名前は不二宮凜音だぞ。間違えてもらったら困る。とりあえず今は考えごとをしているんだ、少し部屋から出て行ってくれないか?」
扉を勢い良く出ていく遥。凜音はため息をついて少しボソッと呟いた。
「……ごめんね、遥」