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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第2章 宝石十二の王・逆賊討伐軍入隊編
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2-002 ジュエリー・キングズ

 カジノで稼いでくれたおかげで、何日間も宿を借りることができたため、かれこれ2日は滞在していた。

 いつも通り歯車(ロウェル)の練習をしていたある日のことであった。


「とりあえず、一度休憩するために宿に戻りましょう」


 4人が宿に戻った時であった。宿屋のおじさんが号外を持っていた。

 その号外を見た瞬間に、凜音は号外を地面に落とした。拓也はその場で泣き崩れた。



 号外 パランポレン王国崩壊!!


 先日、第7地区に存在していた。パランポレン王国が何者かによって襲われると言う事件が発生した。

 この事件により、パランポレン王国の現国王である"黄桜伸哉"国王が戦死しました。

 その他にも城下町に住んでいた住人はほとんどが惨殺されており、現在身元調査に努めている。

 なお、行方不明者の名前は公開するので、見かけたら逆賊討伐軍第7支部大将の曉月まで連絡を。


 生存者 現在確認できる範囲で1名


椎名(しいな) 琉命(りゅうめい) (30) 王国護衛騎士団・一般兵


 行方不明者 現在確認できる範囲で5名


黄桜 拓也 (18) パランポレン王国・次期国王

不二宮 凜音 (22) 王国護衛騎士団・現隊長

茜沢(あかねざわ) (みやび) (20) 王国護衛騎士団・副隊長

平井 敦己(あつき) (19) 王国護衛騎士団・一般兵

勝木(かちき) (はじめ) (47) パランポレン王国・秘書



「ヴゥううぅ……! 父上が……父上がぁぁ!」


 拓也は大号泣だ。涙も鼻水も涎も出ており、顔がめちゃくちゃである。

 凜音はまだ拓也よりかはひどくないが、涙は止まらない。


(国王……! あなたの分まで私が仇を必ず取ります……。それと、あなたの分まで拓也王子を立派に育てて見せます!)


 そう胸に誓った凜音である。拓也はいきなり大声で凜音に魂の叫びを言った。


「凜音!! 必ず俺は、"白虎"を殺してみせる! 父の分まで必ず、絶対にあいつは俺が倒す!!」


「もちろん……必ず取りましょう……」


 すると平井がいきなり話を変えた。


「凜音隊長! 雅さん、生きているんですね」


「あぁ……あいつはサボりだから、まぁ免れたのも大体、見当がつける。私的には、直陽が生きている方が驚きだったのだがな……」


「凜音! 茜沢及び椎名、2人の隊員の説明を頼む」


「はい、えっと茜沢は副隊長なので、何度か面識があると思いますが、この騎士団の中で誰よりも観察能力が高いです。なので、敵の弱点などは大体最初に茜沢が見つけ、そこをみんなで戦っていく感じなのですが……茜沢は性格が怠惰なのであまり会議とかにも出席はしなかったのを覚えています。椎名隊員は、とても反抗的な隊員で国王に唯一、反抗する隊員でした。ですが、薬の知識がとても優れており、私たち隊員が使用するほとんどの薬を彼が作っていました。新薬の実験などもよく行っていましたね」


「ほーほー、わかった。とりあえず、練習場所に戻って歯車(ロウェル)の鍛錬をしよう」


 そう拓也が言った時である。


「ドゴーーーーン!!!」


 大きな音がした。街の人たちは、一斉に慌て出している。何かと思い4人も宿屋から外へと出た。

 すると、中央に立っていたカジノの屋根が大きな穴を空けている。拓也が急いでそっちの方へと走っていく。3人は後を追いかける。


------ランコントル・カジノ------


 街の人たちがカジノから出ていく中、4人はカジノの中へ入る。すると先方に黄緑髪の青年が立っていた。

 しかし、なぜかまともに立てておらず、酔っ払った人みたいに千鳥足になっている。


 その青年の服は先程出会った逆賊討伐軍の服とは違い、夏なのに長袖の緑色のスーツを着ている。

 カジノの中に残っているのは、もう拓也たち4人とその青年だけであった。青年はこちらに声をかけてくる。


「初めまして、どうもこんにちわ。私の名前は、中型逆賊"宝石十二の王(ジュエリー・キングズ)"の1人であるトパーズです! まず私を見て怖じけずに逃げないと言う心を持っているなんてとても嬉しいことです。けどですねぇ……あなたたちは私の生贄となることが今、決定いたしました!」


 トパーズの挑発的な行動に凜音は少し苛立っている。苛立ちながら反論を述べた。


「生贄なんて、まだ決まっていないだろ? 勝手な決めつけは良くないぞ……!」


「いえいえ……これは変えることのできない未来ですよ。なぜかって、あなたたちは私よりも弱い! それに尽きますからね」


 凜音は怒りの頂点へと達した、そして行動に出る。


氷の歯車(アイス・ロウェル)・憑依……凍てつく氷よ……我が剣の元へ……来い!」


 凜音の剣は徐々に氷の纏い始めていく。それを見たトパーズは、とても大声で笑っている。もちろんそれは凜音のことを馬鹿にしているのであった。


「その程度の歯車(ロウェル)で私に勝てるとでも思っているのかい?? 実に滑稽な話だぜ!!」


「そんなものは、実際にやってみないとわからないだろ……?」


 素早い足で、トパーズへと近づいていく凜音、すぐさまトパーズの前へと現れ、斬りかかろうとした……その瞬間……


「わざわざ近づいてくるなんて……ア・リ・ガ・ト……♡ 雷の歯車(サンダー・ロウェル)・落雷!!」


 凜音とトパーズのところへと、落雷が落ちた。先程カジノの穴を空けた正体は、トパーズの雷だったのだ。

 今の落雷は、先ほどのより少し小さい大きさであったが、生身の人間が食らって生きてるようなレベルの雷では当然違う。


 しかし、相手は王国護衛騎士団の最強の剣士である。そう簡単には負けない。


氷の歯車(アイス・ロウェル)・生成……(シールド)!」


 盾を作っていた凜音、それで雷を受け流したのであった。

 凜音は穴が空いた時、それがすぐに雷であることには気付いていたのだ。


「君が私たちに最初に会った時、まともに立ててなかったのは、自分の雷の出し過ぎの反動でまともに動かなかったのだろう? それに、君の先程の雷が最初より弱かったのは、さっきの反動が残っていたから……そして君は1発で倒せると思い込み、すべて力を使ってしまった……だから、もう動けないだろ……さらばだ」


 と氷の剣で斬りかかられたトパーズ、かなり深く刀で斬られてしまった。斬られてその場に倒れ込むトパーズ。それなのにも関わらず、なぜか笑っている。


「君は戦いに夢中すぎて、事態の深刻さを分かっていない……後ろを見てみろ……!」


 振り返る凜音、そこには誰もいなかった。

 おそらく3人は連れ去られたのである。


「この街を襲ったのは、僕だけではないよ……! 僕以外にも"宝石十二の王(ジュエリー・キングズ)"は3人この街にいる……みんな死んだかもねぇ……!」


 と笑いながらトパーズは死んだ。凜音はとても自分に苛ついていた。


(何という愚行……! 自分が先走ってしまったがために、拓也王子などを窮地に追い込んでしまった……急いで拓也王子たちを護衛しなければ……黄桜家は誰にも途絶えさせないという、国王との約束を守らなければ...!)


 急いでカジノの外へと出ようとする凜音。

 しかし、扉の前にはとある男が立っていた。


「さっきも会ったのに……なぜ知らん顔をしたのだい? 少し寂しかったよ……水城!!」


「その名前は捨てたのだ……これ以上邪魔をするな!」


 扉の前に立っていたのは、曉月であった。


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