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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第4章 絡繰屋敷・VS玄武編
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4-013 VS玄武② 結界破壊作戦


 声の主はダイヤと1人で戦っていた榊葉である。榊葉の状況を見て玄武は残念な表情をしていた。


「切断接合の薬を渡してやったのに、負けるとはな。北倉(きたくら)箕雪(みゆき)だけではなく妹にも負けるとは所詮その程度だったか……」


 榊葉は姉を馬鹿にされたことに腹が立ち、すぐさま戦線に参加しようとするが、夏目に手招きをされて玄武に挑むのを止め手招きされるがままに向かった。


「どうした……? あなたから私に用があるなんて珍しいね……」


「榊葉……今、攻撃をしても無駄だ……天之四霊(てんのしれい)には特別な結界が貼られていて壊すには黄桜くんと水城さんの攻撃が当たらないと無理だ……」


「なるほど……ならば私は結界を壊す手伝いをすれば良いということだな?」


「話が早くて助かるぜ……それで榊葉にやって欲しいことは…………」


「わかった……それぐらい容易いことだわ」


「そして次は草津だ……3回も大地の歯車(アース・ロウェル)を使わなくて良いから一度だけ集中して使用してくれ……そしてして欲しいことは…………」


「はぁ……はぁ……分かったぜ……その一度だけに全てを込める……」


「そして最後に水城さん。今できる限りの最大の遠隔技を行って欲しい……君がその訓練を西坂としていたことは知っている……頼めるかな?」


「任せてください……必ず成功させて見せます」


「よし……それなら作戦を決行する……チャンスは一度きりだ。絶対に失敗はできない心してかかれ!」


「「「了解!!」」」


 すると夏目が息を大きく吸い、声を荒げる。


「みんな、その場から離れろぉぉぉぉぉぉ!!」


 その声を聞き何かが起こると感じたのか、仙木、拓也、西坂が玄武から離れる。


「行きますよ……光の歯車(ライト・ロウェル)反射壁(リフレクション・ウォール)……四重(カルテット)


 四重の反射壁(リフレクション・ウォール)が玄武を囲う。


「この程度では私の筋力増強には勝てませんよ……」


 玄武が拳を握りしめ反射壁に向かって、殴る。

 だが玄武の力よりも榊葉の反射壁(リフレクション・ウォール)の方が強かったため、壁に少しだけひびが入っただけであった。


「なかなかに良い壁だ……壊すのに時間がかかりそうだ……だがそれがどうした。所詮数分の時間稼ぎに過ぎないぞ!」


「よし次、草津頼む……」


「任せろ……大地の歯車(アース・ロウェル)・硬化地盤変動!!」


 反射壁(リフレクション・ウォール)をすり抜けて大地がどんどんと玄武を敷き詰めようとしている。


「私を圧死する作戦か? なかなかに入念に練られているのは分かるが……無駄には変わらない……」


(与えられたチャンスは一度きり……けど大丈夫!! 西坂さんと共に行った訓練は一度たりとも怠ることはなかった……自分を信じて……)


「水城さん……行くぞ! 分析の歯車(アナライズ・ロウェル)体温視覚化共有(サーモグラフィー・シェア)! これで玄武の場所が分かる場所だ!」


「ありがとう夏目さん……氷の歯車(アイス・ロウェル)・憑依……大いなる氷結の力よ私の杖に宿れ……」


 そして杖を床に刺し、手を添えてそっと瞳を閉じる。


氷の歯車(アイス・ロウェル)・弐式……地獄の氷河(インフェルノ・グレイシャー)!!」


(遥って、そこまで強くなっていたのか……モップで戦い、歯車(ロウェル)を使うこともできなかった彼女を僅か1ヶ月でここまで成長させた西坂さんって一体何者なんだ……)


「ま……まずい……身動きが取れない状態では、確実に当たってしまう……!!」


「もう……良いか……? 硬化地盤変動……分裂!」


 草津が作った敷き詰めてくる大地は突如爆発し、その場で粉々になった。


「あぁぁぁ……目に土が入って周りが見えない……」


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


「ぐぬぬぬぬっっっ、うぉぉぉぉ!!」


 榊葉の作った反射壁(リフレクション・ウォール)の中で、氷点下の氷河が玄武を襲う。


「私の……私の結界がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 反射壁(リフレクション・ウォール)の中から結界が割れる音がした。

 その音を聞くと同時に成功を確信した夏目、遥からは安堵のため息が出た。

 だが、榊葉はだけは玄武の次の攻撃を警戒し、刀を抜いて戦闘態勢に入っていた。


「もう……解除するよ……」


 榊葉が解除するよりも前に四重の反射壁(リフレクション・ウォール)は大きな音と共に粉々に砕け散ったのだ。


「なんだ……一体何が起こっている……?」


 反射壁(リフレクション・ウォール)の崩壊と共に、あたりには砂埃が舞う。おそらく草津の硬化地盤変動の分裂の影響であろう。

 砂埃から突如伸びてきた大きな手によって動かない草津が掴まれる。

 時同じくして、その場にいた6人にも大きな手が忍び寄る。


「っ、なんだこれ!」


 草津以外の6人は手を切断することによって、掴まれることを回避したが動かなかった草津はまんまと掴まられそのまま握り潰されてしまう。

 砂埃は消え始め、徐々に玉座が見え始める。と同時に明らかに人間の雰囲気ではない者がそこにはいた。


「私にここまでたくさんの薬を使わせるなんて思っていませんでした……まさか結界まで破られるとは……ここからは私の全ての薬を投薬して戦わせていただきます。ちなみに現在使用投薬は7つ……新たに握力倍加と増殖手腕、そして腕触手化を使わせて頂きました。やれやれ、ここまで追い詰められたのは久しぶりですよ……」


 玄武が話している時、拓也はあることをずっと思っていた。


(椎名のやつ……7つ投薬したと言っていたが、6個しか内容を明かしていない……あと一つは何なのか? それほどまでに奥の手の何かなのか? それに、この状況が久しぶりと言うことは前にも薬の過剰投薬をしていたということだ……きっと多大なる負荷が椎名にも来ているはずだからすぐに効果はなくしたいはずだ、どうやって効果を切らせたんだ……?)


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