4-004 新たな刺客
---マッキナ屋敷・とある一室---
玄武が誰かに話しかけていた。
「さて、私の美しい幹部たち、そろそろ出番ですよ。盛大に暴れて来てくださいね」
幹部たちがみんなで自分の標的たちについて話し始めた。
「俺のところはどうやら扉の仕掛けをいち早く気づいていたな……骨のありそうなやつだ」
「多分私のところが1番な強敵かもしれない……大将の仙木と直属軍の西坂、榊原の3人。全員強いじゃない……」
とある幹部の1人が自分の相手に残念がっているところに玄武が白虎に言われたことをを伝える。
「そういえば、これは白虎が言っていたのですが……仙木と夏目は大将の中では最弱らしいですよ。1番気をつけないといけないのは、直属軍第4傑の榊葉栞と同じく第9傑の西坂幸太郎の2人のようです」
「ありがたきお言葉」
「僕のところは第3支部の2人と第5支部の1人のところか……相手にとって不足はないね。けど、僕1人で全員倒せそうです」
「そういう油断は禁物ですよクローバー、そう思って挑んだら負けますからね?」
「忠告ありがとよダイヤ。けどなぁ、人の心配をするよりも自分の心配を先にする方が良いと思うぞ? まさか自分の妹がここに来ているなんて思わなかったよな?」
「妹がいたのはびっくりしたわ。けど私のところにいなかったから少し残念ね。でも、私の相手もなかなかに手強そうだからね……気をつけないと」
「みんな準備は良いかな? さてそれぞれ私が書いてあったマークの扉へと向かって選抜を始めてくれ」
4人の幹部はそれぞれ自分のマークの扉へと入っていった。
「さて、これで何人残るだろうか? 楽しみだねぇ」
そういうと玄武は自らのトランプを混ぜ始め、その中から1枚引いたのだ。
(スペードの8……残るのは8人かな……)
生き残りサバイバル 残り時間 45分
---マッキナ屋敷・ダイヤ扉---
ダイヤの扉の先でもスペード同様にたくさんの扉が一定間隔で配置されていた。
「正解の扉を開けるまでに何か起こるかもなぁ。朝霧、いつもみたいによろしく!」
「はぁ……雄作って本当に生命力だけは対象レベルだよねぇ。分かったわ、回復の歯車・全自動回復補助」
閑田の周りに癒しのオーラが纏い始めると同時に片っ端から扉を一つずつ開け始めた。
(え……何なのこの人……)
神田の行動に戸惑う尾名古。尾名古の顔を察知して慌てて説明する朝霧。
「雄作はね、無駄に生命力が高いからこういう力仕事の時は彼に任せると何とかなるよ」
「は……はぁ……」
朝霧に説明されるもイマイチ納得ができていないようだ。
と2人が話している間に閑田は次々と扉を開いて進んでいき姿が見えなくなってしまった。
「尾名古くん、急いで雄作の後を追いかけるよ」
2人が尾名古の後を追いかけていると途中で閑田の声が聞こえてきた。
「うごっ!」
(まずいわ……全自動回復補助を使ってもう5分、そろそろ効果が切れてしまう。もうっ、雄作は先々行き過ぎだよ……)
急いで閑田のところまで向かった朝霧と尾名古。近づくにつれて少しずつ床に血痕が増え始めていた。
(あぁ……効果もう切れてるね……早く行かないと本当に雄作が死んでしまうわ……)
そして足元にあった何かとぶつかり転倒してしまう朝霧。
「いっててぇぇ……」
朝霧は自分の白い軍服を見ると、床に流れていた鮮血により真っ赤に染まっていた。
(……え?)
転倒した原因のものを見に行くと、それは腰に槍が3つ刺さってその場に倒れていた閑田であった。
「はぁ……はぁ……朝霧……早く頼む」
「回復の歯車・全回復」
すると途中で誰かが邪魔を入れて来たのであった。
「光の歯車・反射壁」
すると朝霧の全回復はその壁に反射してそのまま朝霧自身にかかったのだ。
「あなたみたいに、真っ直ぐ突き進んでくれる人……私は嫌いじゃないよ?」
「貴……貴様は……誰だ?」
「死にかけている人に名乗るほどの名前ではありません。ですが、命ある限り戦うことをやめない貴方は少し恐ろしい存在なので抵抗できないようにしておきますね」
すると女は閑田の両腕を持っている刀で切断する。
「これであなたは何もできないね。お疲れ様」
朝霧はなんとか閑田を助けようと反射壁を壊そうとするも、攻撃型の歯車ではないため簡単に壊すことができない。
後ろを振り向き、尾名古に助けを求めようとするも尾名古の姿はなく代わりに地面にいくつかの穴が掘られていた。
(クソッ、もう頭が回らねぇ……血を流しすぎてしまった……ここで終わりか……)
閑田は自分が助からないと思っていたその時、あたりの地面が揺れる。
「一体なんなの? もうっ、その間にあなたを始末してあげるわ」
女が閑田にとどめを刺そうとした時、地面から尾名古が飛び出し閑田を守ったのであった。
「次から次へと邪魔が本当に入るね。と言っても原因は全てあなた1人かな?」
「多分そうかもしれない……俺はあんまりわからん」
尾名古が閑田の前に立ち守っている。そして瀕死の閑田へと励ましを送る。
「閑田さん……まだあなたは終わっていない! だから立ち上がってください」
(言葉を発したいが……発することができない……)
すると女は閑田の事を守る尾名古のことを馬鹿に始めたのだ。
「あなた、そこの瀕死の人を助けるためにわざわざ死にに来たのかしら? 面白い人ね、気に入ったわ」
「人を助け、悪を滅するのが逆賊討伐軍だ! 第5支部中将の尾名古竹夏をなめるんじゃねえぞ!」
「中将だからなんなのよ? 階級が自分より下の人でも十分あなたより強い人は何人も存在するわ。手柄を上げて上位の階級にいるだけで調子乗るのも大概にして欲しいわ」
「逆賊討伐軍を馬鹿にしよって貴様は何様だ!」
「そうね……私の名前は榊葉棗。元逆賊討伐軍総帥直属軍の第2傑。そして現在第4傑の榊葉栞の3つ上の姉でもあるわ……今は玄武様の幹部"ダイヤ"だけどね。元々あなたたちの先輩よ? 敬語を使いなさい?」
「今は逆賊討伐軍じゃないだろ? なら私の手で倒してやる」
すると尾名古は地中へと潜り姿を眩ませた。
「穴を掘るってなかなか意外な戦い方をする人ね……でもあなたがいなければ、あの男は誰が守るのかしら?」
一歩ずつゆっくりと閑田へと近づいていく。するとダイヤの足元から尾名古が飛び出して来た。
事前真下から来る事を予知していたのか穴が開くタイミングと同時にジャンプして尾名古の攻撃を回避したのであった。
「クソッ!」
思わず舌打ちをする尾名古。だがダイヤはニコリと笑っている。
「次もし穴に入ったら、あなたは二度と出られないよ?」
「うるせぇ、貴様には関係ない!」
ダイヤの忠告を無視して穴へと入っていく尾名古。するとダイヤは甲高い声で笑い始めた。
「本当に私の思い通りに動いてくれる! 馬鹿正直な子だねっ……サヨナラ、尾名古竹夏くん!」




