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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第3章 雪山決戦・本部襲撃編
45/62

3-020 さらば、片咲真帆

第3章最終回です。

この物語はまだ続きますが、

第4章を書き溜めたいので少しの間

完結済みにさせていただき、

更新されないと思います!!


---第3支部---


 七福神の襲撃から修復作業は行われておらず、外観は陥落した城のようであった。


(ここまで僕たちは追い詰められていたのか……ネージュ山で待ち構えていたのが2人だったら、間違いなくこの支部は崩壊していただろうな……)


 早速、内部へと入っていく。流石に戦死した人たちの死体処理はされてはいたが、壁や床に飛び散っている血は残っていたため、戦った痕跡はまだ残っているようであった。

 拓也は中央の階段を登って行こうと試みたが、途中で崩壊しており、大将室がある3階までは登ることができなかった。2階に一旦引き返す拓也。

 東エリアにある階段を使って登って行く。


(……やっぱりたくさんの人たちが悲しむようなことはもう起きて欲しくないな)


 そして拓也は大将室の前まで着いた。

「コン、コン」

 一定の間隔で3回ノックする。すると片咲からの返事が来た。


「どうぞ〜」


 ゆっくりと重い扉を開ける。そこには色々と資料を整理していた片咲と、新第3支部の大将となる高緑の姿が見えた。


「よし、揃ったことだしそろそろ何を理由で呼んだかを教えるよ」


「早くしてくださいよぉ〜? 俺、これでも忙しいんですからね?」


「わかったわかった、だけどひとつお願いね。これは誰にも言ってはいけないよ……良い? あのね、逆賊討伐軍の大将の中に今回の襲撃を命令した人がいるわ……」


 あまりの驚きように声が出ない高緑と拓也。


「それは本当なのですか?」


「えぇ……これは本当よ……七福神のリーダーである毘沙門天が私たち大将にしか知らない情報を知ってたからね……」


(じゃあ……俺たちとかつて共闘をした曉月大将や大和大将も十分に可能性はあると言うことか……)


「いったい何を知っていたのですか? 別に俺も明日から大将だし教えてくれても良いですよね?」


「えぇ……今からそれを説明するわ」


 拓也は自分が大将ではないので部屋から出ようとするが片咲によって引き止められた。


「どこに行こうとしているのかしら? あなたにも聞いてもらうために、ここに呼んでいるのだから」


 拓也は足を止め引き返した。続けて片咲が話す。


「七福神が知っていた内容は、禁忌の歯車(ロウェル)である死の歯車(デス・ロウェル)の資料のこと」


(死の歯車(デス・ロウェル)……また知らない歯車(ロウェル)だ……)


「敵側に凄い情報通の人がいたら、そりゃバレる可能性もあるんじゃないんですか? その情報を知ってるだけで違う大将を疑うのは良くありませんよ?」


「いいえ、絶対に大将の中にいるわ……もし仮に、死の歯車(デス・ロウェル)の事を知っていたとしても、資料がどこにあるかまでは絶対に知らないわ。だってね、資料を第3支部に移動させたの3週間前の話よ? そんなすぐに情報が入ってくるの、いくら敵側にすごい情報収集能力が凄い人でも無理な話だと思うの」


「確かに……それならば犯人は大将の可能性は高いですね……」


「そう、だから高緑くん、そして黄桜くん。くれぐれも情報漏洩なんてことは絶対にしないでね」


「「分かりました!!」」


 息ぴったりの2人である。


「では……私はそろそろ地元へ帰ろうとしようかな、じゃあ君たちの検討を祈るよ……」


 片咲は愛用の槍を持って、姿を消していった。高緑は大声で叫んだ。


「あの人、資料整理手伝わずに帰って行きやがったぁぁぁ!! ちくしょょょょぉぉぉ!!」


(この人は本当にテンションが高いなぁ……あ、そういえば片咲大将に話したいことが……)


「では、高緑大将、頑張ってくださいね!」


「ま……待ってくれぇぇぇ……君だけでも手伝って行ってくれないかぁぁ??」


 拓也は笑顔で言葉を返す。


「お断りします」


 そして拓也は全速力で大将室を抜け出し、片咲を追いかける。片咲はあと少しで入り口の扉を開けるところであった。


「片咲大将!!」


 片咲は呼ばれ、拓也の方を振り向く。


「どうしたの? 見送りにでも来てくれたのかな?」


「ひとつ……聞きたいことがあります……しょうもないことかもしれませんが良いですか?」


「構わないよ?」


「名前、わざと間違えてたのですか?」


 あまりの質問のくだらなさに思わず大笑いをする片咲。目からは涙が出でいた。


「黄桜くん。私はね、同じ支部の部下と強い人(・・・)以外は名前は覚えないのよ?」


「えっ……つまりどういうことですか?」


「それは自分で考えることっ、大丈夫。それほど深く考えなくても全然良いからね」


「そうですか……ありがとうございました」


「君は最後の最後まで面白いねぇ……最後にあなたと一緒に任務をできて楽しかったよ。ありがとうねぇ」


「足手まといで申し訳ございませんでした……」


「うんうん、そんなことないよ。これからも頑張ってね。……そうだ、黄桜くん。君に私からの最後の任務を与えていいかな?」


「はい、全然構いませんよ?」


(しんどくありませんように……)


「もし暇だったら第1支部にあるビヤンネートルという街に来て、たまにでも良いから思い出話を聞かせてくれない?」


(……全然しんどくなかった)


「そんなことで良いのであれば……週一でも全然構いませんよ」


「それじゃあよろしくね黄桜拓也くん」


 片咲は拓也に向かって敬礼を行った。敬礼し返す拓也。


「ではお元気で……いつか会いましょう。片咲真帆元大将」


 そして片咲は第3支部に背を向け、去って行く。片咲の姿が見えなくなるまで、拓也はずっと敬礼をしていた。

 すると後方から文句の声が聞こえてきた。高緑であった。


「おい待て! お前には片咲さんの分まで仕事をしてもらうからなぁ!」


(やべっ……逃げないと)


 拓也は急いで高緑の視界か消えようと、本部まで走って逃げていった。


「逃げるんじゃねぇ〜!!」


 後を全速力で追いかける高緑。

 第3支部は高緑の活躍により1週間経過せずに修復が完了したのであった。


---道中---


 片咲は自分の故郷であるビヤンネートルへと向かって行る途中、色々なことを考えていた。


(故郷に行ったら……久々にお母さんに会うし何かご馳走をしてあげよう! それとそれと思い出話もたくさんして……それから……弁財……真子のお墓も建てないとね……)


「することがいっぱいだなぁ……」


 思わず本音が口から漏れてしまう片咲。辺りを見回して誰も聞いていないかを確認する。

 誰も聞いていなかったことに安堵し、ホッとため息をついた。


(これから絶対大変だなぁ……だけれどもみんななら大丈夫だよね……)


「……頑張れみんな。未来は絶対明るいよっ!」


(届けこの思い。大好きな仲間達に伝われ!)


「じゃあ、行くとするか……故郷へ!!」

では次は第4章で……

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