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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第3章 雪山決戦・本部襲撃編
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3-015 超新星

2019年、ラスト投稿です!!

皆さま、良いお年をお過ごし下さい!!

光の歯車(ライト・ロウェル)・光速移動」


 拓也が光速移動を使い真っ先に向かったところは大黒天のところではなく、雅が倒れているところであった。

 拓也は雅を壁のところまで連れて行った。瀕死の雅を壁にもたれさせる拓也。

 雅は意識はあるものの話せる状態ではなかった。


「雅さんは、今は無理だ。だから僕が戦うしかない。けど、自らの愛刀に憑依もできない僕が本当に勝てるのか……?」


 拓也は今度は大黒天の方へと向かっていく。大黒天はすでに戦う準備は出来ているようだ。


「アノ時ヨリ、強クナッタカオ手並ミ拝見ダナ!」


 大黒天は槌に憑依させていた炎の歯車(フレイム・ロウェル)を解除して、普通の槌で拓也と戦う。

 拓也も剣の腕前は上達しているが、大黒天は遊んでいるようだった。必死になっているため拓也は大黒天に遊ばれていることを分かっていなかった。


「少シハ強クナッテイルナ……ダガ、コレニハ勝テルカナ……」


 大黒天は自分の槌をその場に置いた。


炎の歯車(フレイム・ロウェル)・生成……槌」


 大黒天はわざわざ炎の槌を生成した。拓也は動揺を隠せなかった。


(なぜわざわざ、作り直したんだ? 作る意味は絶対にないはず……まさか!! 僕のことを弄ぶために!!)


 そこで初めて拓也は大黒天に舐められていることに気がついた。そして拓也の心に火がつく。

 そして、2人の戦いは激化し始めたのだ。


(ん……ここは……?)


 意識朦朧である雅。雅の目の前に広がっている光景は僅かながらに見え始めている。

 雅から見た光景。それは、拓也と大黒天が戦っている最中であった。


(あれは、拓也王子! まさか、応戦に来ていたなんて)


 必死に動こうとするも左手と両足の先を少し動かすだけで限界が来ている状態であった。もちろん右手は一切動かせない上に、体は立つことも困難である。


(左手が動かせれば……あの技(・・・)は撃てる……だがそのためには、体よ動いてくれ!!)


 雅は最後の力を振り絞り立ち上がった。大黒天は右目が見えていないため、雅が立ち上がったことを視界に捉えていなかった。

 そして雅が立ち上がった頃、拓也はいつも以上の戦いに限界を迎えていた。もちろん大黒天は余裕の表情。一切疲れは見えなかった。


(もうだめだ……)


「モウココデ終ワロウデハナイカ……」


 大黒天が武器を取ろうと振り向くと、大黒天は驚いて槌を取れなかった。


「イツカラ……ココニイタ……」


 目の前に立っていたのは雅である。本当に前が見えているのか不思議な状態であった。

 大黒天はすぐさま標的を拓也から雅に変え、止めをさそうと、槌を持った。

 だがそれを拓也が阻止する。体は限界を迎えているが雅を守る一心、その気持ちだけで動いていた。


「小賢シイ奴メ……」


 大黒天は槌を持ち雅に振りかぶろうとしたところをいきなり拓也に標的を変え奇襲を仕掛けた。間一髪避けることができた拓也。また不発に終わった大黒天は大きな舌打ちを鳴らした。

 その隙に雅が高く跳ぶ。そして残りの力を全て振り絞った声で拓也に指示を出した。


「その剣を……私に!!」


 大黒天は右目を失明していたため、雅が飛んでいることに気づかなかった。

 拓也は愛刀を全力で雅に投げる。大黒天は両手で槌を振っている途中であるため、拓哉の剣を取れなかった。

 愛刀をきちんと掴む雅。


光の歯車(ライト・ロウェル)・憑依……我が主の剣に私の全ての力を!!」


 拓也から受け取った剣が雅の憑依によってこの部屋の全て包みこむ大きな閃光が放たれた。

 慌てて目を閉じる大黒天。


「眩い閃光とともに其方の命よ、激しく散れ!! 光の歯車(ライト・ロウェル)・参式……超新星(スーパーノヴァ)!!」


 目が眩んでいる間に雅は目に見えぬ速さで大黒天を斬っていく。

 大黒天も負けじと槌を振り回すが周囲が見えていないため、攻撃は壁や地面にしか当たっていなかった。そして、大黒天が痛みに耐えきれず跪いた時、背中に深い一撃を突き刺した。

 大黒天の背中に突き刺さった剣は徐々に明るくなっていく。どうやら剣は光のエネルギーを蓄えているところであった。

 その隙に雅は拓也の手を引いて、その場から立ち去ろうとする。光が憑依している剣は、蓄積量をオーバーし大きな閃光を出し、爆発をした。


「ヌグググゥゥゥ……ウォォォォォ!!」


 そばにいた拓也と雅が聞いたのは大黒天の断末魔であった。爆発後の煙が消えた後、残っていたものは拓也の愛刀だけであった。

 拓也は自らの愛刀を取りに行こうとする。だがしかし、雅は全てを出し切ったのか、その場に倒れてしまった。

 慌てて拓也は雅のところへと戻っていく。雅の瞳は虚な状態であった。


「雅さん! 大黒天を倒しましたよ、僕たち2人で!」


「……拓也さん……2人では……ありませんよ……」


「……え?」


「……これは3人(・・)で掴んだ……勝利です……」


(本当に貴方のお陰ですよ……凜音隊長……)


 拓也は雅の言った意図を理解し、笑顔で答えた。


「えぇ……本当にその通りです……」


 拓也の返事に応えることなく雅は目蓋を閉じていた。

 すると、激しい爆発があったためか、近くにいた哀禅と朝霧が扉を蹴破って入ってきた。入ってくるなり哀禅と朝霧は雅のところへと駆け寄った。


「雅さん、大丈夫ですか?? あ〜、これは無茶をしてしまったパターンですね。澪、あなたの歯車(ロウェル)でなんとかならないかしら?」


「どうだろうか……ここまで致命傷だと少し危ういなぁ……」


(なんだいったい、この人たちは誰なんだ?)


「あ、そこにいる少年は雅の話によく出てくる少年ではないか! すまんな怪しいものではないんだ!」


(そう言われると、怪しく見えてしまう……)


「とりあえず、雅は私たちが責任を持って治療をする。だから心配するな少年! では」


 と哀禅が雅をおぶり、その2人は早急に姿を消して行った。と思ったが、朝霧が拓也のところまで戻ってきてお願いをした。


「扉を壊したこと、片咲大将には黙っていてね……」


 そう言って、再び朝霧は姿を晦ましたのであった。1人その場になかった拓也。

 そしてひとつ疑問に思ったのであった。


(……扉を蹴破った意味なくね??)


 そのことをずっと考えていたため、拓也は終始あの2人の言葉を聞いていなかった。


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