3-010 色々なプレゼント
高緑は2階への階段を登って行き、雅は西側の廊下、哀禅は東側の廊下を走って行く。
3人はそれぞれ分散し、幹部を探しに行った。
---哀禅サイド---
哀禅菫礼、齢19にして、筑紫秋総帥直属の軍隊の少将である。身長は14歳の橙山とほとんど変わらず、なぜか常に赤縁の伊達メガネをつけている。黒色の軍服を着ている。
彼女はとても優しい性格である。そのためか逆賊と戦っている一般兵の戦いに全て助太刀をしている。
逆賊は哀禅には到底敵わず、次々と斬られて行く。彼女に助けられた一般兵は彼女の後ろを走って行く。
助太刀をしている時であった。1人だけ風格の違うものがいた。
風格の違うものは、着物をきちんと着ておらず胸やお腹がとても出ていた。大きな袋を持っている。
哀禅はすぐさまその男が幹部ということに気づき、後ろから奇襲をかけようとした。
だが、その男も察しが良く哀禅が奇襲をかけようとしていたことに気付く。
「君は運を持っているかなぁ……?」
男は袋を地面に置いて袋の中から橙色の包装紙に包まれたプレゼントのようなものを取り出し、哀禅の方へと投げた。
「まずい……みんな避けて!」
哀禅が後ろにいた一般兵に声をかけるも急に避けることはできない。
その橙色のプレゼントは、地面に触れた瞬間、たくさんの閃光を放ちながら爆発した。たくさんの一般兵が爆発により犠牲となった。
「死んだ者は……運がなかったねぇ……君はどうして避けることができたのだ?」
「そんなの知らない……あなたは亡くなった遺族の気持ちを考えたことはないの……!!」
「さぁ、考えたことはない。だから逆賊なのだ。悪いが人が生きようが死のうがどうでも良い」
「あなた非情ね……それでも人間?」
「もちろん人間だ。布袋と言う名前がきちんとある」
「まぁ……いいわ。逆賊なんだから、いつでも死ぬ覚悟はできているかしら?」
哀禅はもう布袋と戦う気が満々である。剣を先程より強く握りしめ、腰を深く下げた。次の瞬間、地面を蹴り布袋がいる場所へと進んでいく。
「もちろん、逆も考えているよな? 自分がいつ死んでも良いという覚悟を」
布袋はまた袋からプレゼントを取り出そうとしている。今度は緑色のプレゼントを取り出し、布袋は哀禅目掛けて投げた。
その緑色のプレゼントは哀禅の目の前で開き、そこから風の斬撃が飛び出してきた。
「光の歯車・光速移動」
哀禅は難なく斬撃を躱す。だが、躱した影響により爆発を逃れた何人かの一般兵の体が一瞬にして両断される。
哀禅はその光景を見てしまい思わず涙を流す。
(ごめんなさい……私が避けたばかりに……)
「戦いの途中によそ見とは……余裕がかなりあるんだな」
布袋の方向を再び見ると、目の前に黄色のプレゼントがあった。避ける間もなくプレゼントは開く。中身は2本の雷でできた大きな槍であった。
プレゼントの開いた場所が少し下の方であったおかげで、心臓などの急所に当たることはなかったが大きな槍は藍染の太腿を貫通した。
太腿の筋肉がうまく働かず、立つことができない哀禅はその場で四つん這いの姿勢となった。
布袋は哀禅の今の姿を見て呆れる。
「そのような実力でよく挑んできたな。その姿勢は褒めてやる。だが、勢いだけでは戦いは勝てないのだ。さて、袋から出てくるのは何かな……?」
袋から出てきたプレゼントは水色であった。そのプレゼントを持ち、哀禅の手前にゆっくりと置く。
数秒経過した後、そのプレゼントは勝手に開き冷気を出した。
動けない哀禅は冷気によってどんどん体が氷漬けにされて行く。1分経たずして哀禅は氷漬けにされてしまった。
「さて……潰すとするか。短い間だったがさらばだ」
ゆっくりと近づいて行く布袋。そして哀禅の目の前まで着くと、足を後ろに引いて蹴る準備をしていた。
「終わりだ」
その時、氷漬けにされた哀禅の影から2人の一般兵が襲いかかってきた。布袋は片足を浮かせていたため思うように体が動かずその場に倒れてしまう。その2人の後ろからたくさんの一般兵が現れ、哀禅をとある場所に運んで行った。
布袋は急いで立ち、拳で襲いかかってきた一般兵2人の顔を粉砕する。そして精一杯の走りで哀禅の体を追いかけて行く。
「まずいまずい、追いかけてきたぞ」
「急げ、俺たちはこの人に助けられたんだ。何があっても守るんだ」
哀禅の体を運んでいるのは、ついさっき哀禅が助太刀したお陰で助けられた一般兵であった。
「俺が戦う……お前たち、無事に大浴場まで運ぶんだぞ」
そう言うと黒髭が生えた中年の一般兵の1人が運ぶのをやめ、その場に留まった。
(せめて……数秒……時間稼ぎができれば)
「時間の歯車・減速時間」
黒髭の一般兵は布袋に向けて、減速時間を放った。体型が太いため避けても横に出ている脂肪の影響により、当たってしまう。
「雑魚の時間の歯車だと、あんまり強くないな」
福禄寿より力がないため3秒が経過した後、布袋はいつもの速さに戻り、時間の歯車を放った一般兵の首を掴み壁へと勢いよく投げた。
もちろん一般兵は即死である。
「まだ追いつけるな……待ちやがれ」
布袋は一般兵が曲がり角を左に曲がって行くところを目撃した。後をつけて行く。
布袋が曲がった先にあったのは大きな扉が1つ。その扉の上にはきれいな文字で大浴場と書かれていた。
(なるほど……お湯で氷を溶かす作戦だな。すぐ中に入って全員、始末してやる)
布袋は風呂の中へと入って行く。脱衣所など無視してすぐに浴場内へと入っていった。
浴場は湯気で視界があまり良くない。
「さて……ここで俺の運が試されるな……何色のプレゼントが出るかな」
布袋の持っている袋から出てきたのは黄緑色のプレゼントであった。
黄緑色のプレゼントが開くと、とても強い風が吹き始め、浴場内の湯気が全て消えて行った。
布袋の目の前には、氷漬けから解放された哀禅と数人の一般兵がいた。
「先ほどはどうも、第二戦を始めましょ。布袋さん」
「おもしろい、今度はきちんと始末してやる」
ーーー第3支部へと続く道---
哀禅が布袋と戦っている間、拓也たちは第3支部へと向かっていた。
「この鶴、遅くないか……?」
「クエクエ、クエー!! (人数を考えろって、3人だぞ3にーん!!)」
「木沢くん、この鶴、今絶対あなたに怒ってるよ」
「あ、はい……そうですか……」
拓也と片咲が話している間、赤星はずっと1人で考えていた。
(残りの七福神の中に、母さんを殺したあいつはいるのだろうか……早く復讐がしたい。絶対に見つけたら殺してやる……)




