3-005 藤城聡一朗の意地
鶴の鳴き声をWEBで聞いても、どう書けば良いのか分かんないよーー!!
ーーーネージュ山・7合目付近ーーー
「行くのだ、我が最愛の家臣"羅刹"よ!
時間の歯車・加速時間!」
福禄寿は持っている杖を、福禄寿の鶴"羅刹"の方へと振りかざす。すると、羅刹がとてつもない速さで2人に襲いかかる。急いで草津が大地の歯車で壁を出そうとしても間に合わず、2人は鶴に直撃した。
臓器が破裂しそうな勢いであった。瀕死に近いダメージを開戦から僅か3分程で受けてしまう。
藤城の方は戦い慣れしているため、まだダメージが少なかったが、草津はもうすでに吐血していた。ボロボロになった姿を見て嘲笑する福禄寿。
「惨めじゃのう……儂の時間の歯車の前では手も足も出んじゃろう」
「うるせぇ、まだ戦いはまだ始まったばかりだよ」
少し強がる草津。戦おうとする闘志が燃えている。だが、それは藤城によって消された。
「少し休んでおくんだ草津。君の大地の歯車は終盤で必ず必要になると俺は読んでいる。ここで君が瀕死まで追い込まれて使えなくなるのは厳しい……だから、ここは俺に任せろ!」
「わかりました。力が必要な時はいつでも言ってください」
そう言うと草津は藤城の後ろへと撤退し体を休め始めた。力を蓄えているように福禄寿には見えたのか、羅刹で攻撃を仕掛けようとする。
しかし、それは藤城によって止められた。
「炎の歯車・炎の箱!」
草津を炎の箱によって閉じ込めた。これによって、鶴は迂闊に近づけなくなった。生身で突撃してしまうと、自分が燃えてしまう可能性が十分にあるからだ。
「さて……俺とお前らの1対2だ! おっと……人数で有利かもしれないが、俺は一切負ける予定はない!」
「その威勢……どこまで続くかのう……! 最後まで続くといいなぁ!! 行くのじゃ、羅刹!」
羅刹は再び、同じことを繰り返そうとしていた。藤城は焦る。
もし、先程の一撃と同等のダメージを受けた場合、間違いなく草津と同じ事になるだろう。それだけは避けたかった。
(考るんだ……どうすれば避けれる……)
「もう1度行くのだ、羅刹!! 時間の歯車・加速時間!」
再び福禄寿は杖を羅刹の方へと振りかざす。そして、羅刹が藤城の方へと襲いかかってくる。藤城は急いで自分に炎の歯車を憑依した。
「炎の歯車・憑依……紅の炎よ、我が体に力を!」
炎を体に纏った藤城は、草津がいる炎の箱の所へと飛び込んだ。
草津の容態は、少し回復していた。藤城は草津の方へと駆け寄り、耳元で囁く。
「草津、頼みがある。………」
「それは可能だ。けどそれを行うタイミングは藤城が合図をしてくれないと、分からない」
「わかった。俺が指を鳴らしたらそれを行ってくれ。怪我しているが……すまんな、草津」
「何言ってるんだ……これが仕事だr……」
すると突然、羅刹は火の箱の中へと突撃してきた。草津を庇う藤城。
羅刹の嘴は藤城の腎臓付近に突き刺さった、羅刹はそのまま嘴を開け閉めする。痛みが強すぎて思わず声に出てしまう。
「うぐっっ……うわぁぁぁ!!」
そして藤城はその場に倒れてしまった。羅刹は自らの嘴を藤城の腎臓付近から抜き、福禄寿の所へと戻っていった。
福禄寿は藤城たちの方を向きニヤニヤしている。先ほど藤城が羅刹にやられた所からは、血が溢れ出ている。止まることを知らない勢いだ。
「まずは1人……撃破したのう……。次はお前だ、安心せぇ……。すぐに楽にしてやるからのぅ……行くのじゃ羅刹! 時間の歯車・加速時間!」
(こいつ……2種類しか使えないのかよ……でも、厄介すぎる! 藤城が倒れている分、俺がなんとかするしかない……)
藤城もただ、倒れているわけではなかった。倒れてる間、ずっと福禄寿の方を見ていたらあることに気が付いたのだ。
(見つけたぞ……時間の歯車の絡繰が! だが、俺は立てるのか……? 出来る限りで頑張ってみよう……)
僅かな力を振り絞って立ち上がった藤城。福禄寿はあまりにも驚きで腰を抜かす。味方の草津でさえ驚いた。常人なら死んでいてもおかしくない量の出血である。
「なぜ、立ち上がることが出来ているのじゃ…! その量なら、死んでいてもおかしくはないんじゃぞ!」
「さぁ……何でだろうなぁ……。はぁ…はぁ…まぁでも、ここでお前を倒しておかないと……一生後悔しそうだからかな……」
「まぁ……構わぬ。 息の根を止めるまでじゃ…… 行くのじゃ羅刹! 時間の歯……」
すると藤城が指をパチンと鳴らし、草津に合図を送る。草津は歯車を使った。
●
「草津、頼みがある。山の一部を歯車で動かすことは可能か……?」
●
「大地の歯車・押し出し!」
(これで良いんだよな、藤城……。後は、頼んだぞ!)
すると山の地形の一部が飛び出し、藤城の体を福禄寿のいる方へと押し出した。
「炎の歯車・憑依……俺の剣よ大いなる炎の力を受けとれ!! 炎の歯車・壱式……大回転火炎斬り!!」
藤城は草津の押し出しにより速さが増している、自分自身に歯車をかけていなかった福禄寿は急いで自分にかけようとするが、間に合わなかった。
そして藤城は福禄寿の杖を持っている方の腕を切った。右腕が杖と共に吹き飛ぶ。藤城は福禄寿の杖を手に入れた。
「待ってくれぃ……それを返してくれぃ……!!」
「嫌だね、これ返したら負けてしまうからな……。お前……本当は歯車使えないんだろ? 全部この杖で、時間の歯車を使っていたんだ」
「そ……それは……」
「否定ができないってことは……図星ってことで良いかな……? では、お別れの時間だ……!」
(出血量的に……この一撃が最後の一振りになる可能性が高いな……持ってくれよ! 俺の体!!)
藤城は福禄寿の杖を自分に翳す。
「時間の歯車・加速時間!」
逃げようとする福禄寿。その時に、草津が矢を放った。放った矢は足に当たる。何も問題ないと思い逃げようとする福禄寿。だが、体が動かない。
実は、草津の放った矢には大量の痺れの材料が使われていて、その場から足を動かすことが出来なかった。
「く……くそっ……!!」
顔を動かすことも困難である状況の福禄寿。杖を翳して、1秒も経たずして藤城は福禄寿の目の前までついた。
「炎の歯車・壱式……火炎十字架斬!」
炎の剣が福禄寿の胴体に十字架の刻印を刻む。その刻印から炎が大量に放出して福禄寿の体を包み込む。
「やじゃぁぁぁ!! 死にたくなぁい!」
福禄寿はそのまま炎に体を包み込まれ、燃えていった。その炎が消えるまで1分も経たなかった。
燃えてる間、静かに黙祷を捧げる藤城と草津。羅刹も主人が死ぬ所を助けようともせず、最後まで見届けた。
そして、静かに終戦を告げた。藤城は出血が止まらず、その場に倒れ込む。草津はまだ傷が浅かったため動けるが、もう戦える体ではなかった。
(とりあえず、鶴を逃して……ってあれ?)
羅刹は翼を広げて、待っている。
「まさか、俺たちをフォルジュロンまで連れて行ってくれるのか?」
動物の言葉など草津は当然わからないが、羅刹は大きく叫んだ。
「クェー!クエックエー!《昨日の敵は今日の友だぜ……相棒!》」
「何を言っているが分からないが、ありがとう!」
奇跡的に話が噛み合った2人、フォルジュロンまで藤城と草津は乗せて行ってもらうことになった。
草津が乗ろうとした時、後ろを光の速さで進んで行く人がいたような気がした。草津は急いで後ろを振り向くと誰もいなかった。
(気のせいか……?)
羅刹は藤城と草津を連れて、フォルジュロンまで飛び立った。




