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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第3章 雪山決戦・本部襲撃編
28/62

3-003 ノゾキダメ…ゼッタイ……

覗きは犯罪です。絶対にしないでね。

 拓也と片咲は2人を探している。一方、その2人は温泉にいた。


「聞き込み調査も大事だが……ゆっくりすることもやっぱり大切だなぁ……」


 と藤城はゆっくり温泉に浸かっている。草津は体を洗っていた。

 すると、そこに片咲が乱入してくる。


「おらぁぁぁぁぁ! 聡一朗、藍。お前たち何やっているんだ!」


「片咲大将、ここ男湯なんですけど……そんなに俺たちのからd……」


「うるせぇぇぇぇ!! 早く出ろぉぉぉぉぉぉぉ!」


「オレノカラダニジュヨウナクテゴメンナサイ……」


 2人は渋々、温泉から出てきた。そして片咲が今回の任務について話す。


「今回のネージュ山の頂上でなぜ雪が降らないかを説明する。弁財天の仕業だ」


 拓也は弁財天と言われてあまりピンとは来なかったようだが、藤城と草津はその名前を聞いた瞬間とても驚いていた。


「べ、べ、弁財天ってあの大型逆賊の??」


「そう、あの弁財天。彼女が何かをしているのは間違いないわ。だから、頂上へと向かって彼女を討伐する」


「ですが、その時に他の七福神の誰かがいたらどうするんですか……?」


「ちょっと待ってください!」


 ここで拓也が一旦、話を中断させた。3人は拓也の方を一斉に振り向く。

 そして拓也がずっと言いたかったことを話す。


「"七福神"っていったいどのような集団なのですか?」


 片咲は拓也の今の言動に戸惑ったが、よくよく考えると知らなくて当然かと思い説明を始めた。


「この世界では……逆賊と言うものが存在する。逆賊は危険度によって3つのレベルに分けることができる。小型逆賊、中型逆賊、そして……大型逆賊。七福神はその大型逆賊に分類される」


(絶対に最初の説明いらなかったよね、ね? 最後だけで良かったよね、ね?)


「七福神は7人で形成されているわ。まず、不二宮凜音を殉職に追い込んだ大黒天……


(凜音を殺したのは大黒天という男……絶対に僕が凜音の敵を取ってみせる)


後は布袋(ほてい)福禄寿(ふくろくじゅ)恵比寿(えびす)寿老人(じゅろうにん)毘沙門天(びしゃもんてん)、そして今回の雪が降らない原因の元凶である弁財天。以上よ」


 拓也は終始呆れていた。

 片咲がしたのは七福神の説明であり、七福神がどのような集団なのかは一切分からなかった。

 そこで藤城がすかさず、片咲の説明に付け足しをし始めた。


「七福神が行ってきたことは沢山あります。まずは、強盗30件、被害額は推定2000億円です。街破壊を5件。地図から消えていきました。殺人は7人で1000人は軽く超えています。逆賊討伐軍もたくさんの人が犠牲となりました」


「藤城さん、ありがとうございます」


「ちょっと〜私も説明したのに御礼はないわけ〜?」


「あははっ……片咲大将もアリガトゴザマス……」


「いえいえ、全然!」


(藤城さん……あなたはよく頑張ってますよ……)


 拓也は大将代理を務める時もある藤城のことを心の中でとても褒め称えた。

 片咲は疲れたのか提案をする。


「そうだ、温泉に入りましょう。みんな疲れてますよね?」


(ほとんど、あなたに振り回されているんですけどね……)


 藤城と草津は大いに驚いた。つい何分か前まで温泉に浸かっていて、片咲に怒られた身である。それなのにも関わらず、今度は入ろうと勧誘されたのだ。

 2人はどっと疲れたため、結局もう一度入ることにした。


ーーーフォルジュロン・温泉ーーー


 片咲以外の3人は温泉に肩まで浸かっている。男湯には3人以外は誰もいなかった。拓也は藤城と草津に聞きたいことがあったので聞くことにした。


「片咲大将といて、疲れないんですか……?」


 すると藤城と草津は大きく笑った。その拓也の質問には藤城が答えてくれた。


「そりゃ、みんな疲れるよ。大将は何を言っているかよく分からないことがとても多い。戦闘面以外では、一般兵レベルだ。けど、あの人はいざという時は本当に頼りになるんだよ。だから、大将をできているんだ」


 すると、草津が拓也の肩を組んできた。


「それは、お・い・と・い・て……黄桜くん。覗きは興味あるかい?」


「え……えっ? 覗きですか?」


 当然ながら、拓也は覗きという行為をしたことを一度もない。拓也は王国護衛騎士団専用の大浴場を使ったことがなく、王室専用の風呂しか使ったことがないからだ。王室の風呂を使うのは、先代国王の伸哉と拓也の2人だけである。

 拓也も18の少年である。その行為に興味があってもおかしくはない年齢である。


「片咲大将の、ナイスバディ見たくないのか……?」


 草津は拓也に圧をかける。すると、女湯の方から扉が開く音が聞こえてきた。片咲である。


「うわぁぁ〜、私1人しかいないじゃない。もしかして貸切状態? やったねぇ〜」


 片咲が入ってきたと同時に、藤城がのぼせたのか脱衣室へと入っていく。


「2人になったところで、作戦を決行するぞ、黄桜少年。いいか、俺があの壁まで行くから君も後からついてくるように」


 草津は男湯と女湯を隔てる壁の辺りまで無音で移動をした。


(この人……何回も覗き行為してるんじゃ……)


 と思いつつ草津に合図をされたので、仕方なく移動をする拓也。草津のいるところまで難なく移動をする。

 すると、草津は歯車(ロウェル)を使い始めた。


大地の歯車(アース・ロウェル)・生成……階段(エスカリエ)!」


 無音で壁の近くの地面が盛り上がって、階段が出てきた。草津はそれを登っていく。


(これであの片咲大将の胸とか……見れる……グヘヘッ……)


 しかし、片咲の方が一枚上手であった。


「藍。君はバカなのかい……? 君が何回も覗きをしようとして、その度に失敗をしていることを」


 階段を登っている途中で声が聞こえて、周りを見渡す草津。上を見ると、片咲が階段の1番上に座っていた。しかも、片咲は軍服をきちんと着ていた。


「あなたの対策はきちんとしてるに決まっているじゃない。それにまさか木沢くんまで藍に加勢するなんてね……それはちょっと意外だったかなぁ……」


「いや……それはその……」


「2人とも問答無用でお仕置きだよ……

雷の歯車(サンダー・ロウェル)天罰の落雷(ネメシス・ボルテックス)!」


 轟音と共に2人は雷の餌食となった。その場で倒れ込み気絶する2人。音を聞きつけて藤城が急いで男湯の中へと入ってくる。全てを察したようだ。


「俺が脱衣室へと連れていくよ」


「ごめんねぇ……次からはみんなが大浴場に入る時、藍は縄で壁に縛っておきましょうっ」


(ノゾキダメ……ゼッタイ……)


 そう、心の中で戒めにする拓也であった。


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