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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第3章 雪山決戦・本部襲撃編
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3-002 聞き込み調査??

 充という街の青年のお陰で"フォルジュロン"に無事着くことができた。

 この街は鍛治業が盛んであるため、主に炎の歯車(フレイム・ロウェル)を扱う人が多い。そのためか、雪が年中降っているこの山で、この街の辺りのみ雪が降らない。

 武器ごとに専門の店がきちんと存在しており、時間はかかるが低コストで自分の武器の強化ができるため逆賊討伐軍には人気な街の1つでもある。

 また温泉業も活発であり、わざわざ時間をかけてまで登山してくる観光客も多い。

 そして充を含む5人はフォルジュロンの入り口を通過して行く。


「僕の鍛冶屋にぜひ、来てくださいよ。安くしますよ」


「ありがたいんですけど、私には行きつけのお店があるんですよね〜。助けてもらったのに申し訳ないね〜」


「いえいえ、お気になさらず。それより行きつけの場所まで僕が送りましょうか?」


「それはぜひお願いします〜。私、色々と覚えることは苦手なので……」


 片咲は自分の行きつけの店を充に伝えると早速、案内を始めた。

 片咲の行きつけの店は入り口から歩いて約5分ほどでついた。その店の入り口前では筋肉ムキムキであり、背中に赤い鳥の刺青が彫られてある。左右の目が異なるオッドアイの推定年齢30歳ほどの男が仁王立ちをして待っていた。

 片咲がその男に挨拶をする。


「お久しぶりですね〜宮辻棟梁。元気にしていましたか?」


「真帆ちゃんじゃないか。2年ぶりだね。今日は妹の真子(・・)ちゃんと一緒に来ていないのかい?」


(片咲大将、妹いるのか……初耳だな。それもそうかきちんと話したことないしな……)


 真子(・・)と言う言葉が宮辻棟梁から出た瞬間、片咲の顔がいきなり変わった。久しぶりの再会でニコニコしていたのが一転、とても暗い表情へと変わった。


「ごめんごめん、ちょっと気に触ること言ってしまったね、忘れてくれ。それより、今日は武器の強化かい?」


「はい、お願いしますね」


 片咲は宮辻に自身の槍を渡す。片咲の槍はたくさんの戦いによりすでにボロボロであった。

 宮辻はかなり驚いていた。


「こんなにもボロボロになっていたのか、すぐに強化をするよ。大丈夫、6時間で済ませてみせる」


「流石、宮辻棟梁。この街で1番早く強化を済ませてくれる。本当にいつも助かってますよ」


「はっは、そいつはありがたい。そこの残りの3人。君たちのも私の部下がやっておくから預けなさい」


 藤城、草津、拓也はそれぞれ自分の相棒である武器を預けた。宮辻はとても重そうに武器を持ち、専門の部下たちに渡しに行った。


「では、書き込み調査を始める。私と木沢くん。聡一朗と藍の2人ずつでそれぞれ移動。充くんはどうしようかな?私たちと一緒に行動しましょうか」


(あの人、絶対わざと俺の名前間違えてるだろ……なんで充の方はすぐに覚えるんだよっ!)


「お誘いありがたいのですが、すこし用事があるのでこれにて失礼します。また、機会があったときはそのときにお願いします。では」


 充はそう言うと、入口とは反対側の方面へと走って去っていった。おそらく、あちら側に家があるのだろう。拓也はどこか寂しそうに充の後ろ姿をじっと見つめていた。

 拓也の背後から片咲が声をかける。


「じゃあ、行くぞ。木沢くん」


(この人、もうダメだわ……)


 片咲と拓也、藤城と草津はそれぞれ2方向へと分かれ聞き込み調査を始めていった。


ーーー逆賊討伐軍本部・総帥室ーーー


 総帥室には筑紫秋と3人の兵士がいた。その中に見覚えのある兵士が2人いた。高緑と雅である。

 筑紫秋が早速、用件を言い始めた。


「高緑くん、茜沢くん、哀禅(あいぜん)さん。君たちに特別任務を与える。まぁ、第4支部の護衛に行くだけなんだけどね。片咲大将、それに藤城中将などの第4支部の最高戦力の2人がいない今、もしたくさんの逆賊たちに襲われたときの対処がおそらく間に合わず、たくさんの犠牲者が出てしまうだろう。それは避けたいのだ。だから頼むよ。では解散」


 3人は総帥室を退室していく。そして廊下を歩きながら話し合っていた。


「それにしても、俺は早く造船業に戻りたいんだけどなぁ〜。いつになったらこの束縛的なこの状況が変わるんだ。総帥め……許さねぇぜ、全くよぉ!」


 すると本部内に、臨時の放送が始まった。総帥の声が響き渡る。


「高緑至一郎くん。今すぐ総帥室に戻ってきなさい。君の言動は全て聞こえているよ」


「じゃあ、先に第4支部に向かっておいてくれ。俺は少々時間がかかるようだ……畜生〜ぅ!!」


 高緑は全速力が総帥室の方へ走っていった。その光景を笑いながら哀禅と雅は眺めていた。


「面白い方ですね、あの方は」


「自分の言いたいことを我慢せずに全部、言ってしまうんですよ〜、高緑さんは〜」


 雅とともにいる20代程の女性は総帥直下の軍の少将である哀禅(あいぜん)菫礼(すみれ)である。身長はとても低く、14歳の橙山と同じぐらいである。なぜか常に伊達眼鏡をかけている。見た目は全然強そうには見えないが、片咲や凜音かは実力は劣るも戦闘能力はかなり高い。

 雅が軍に配備されたときに一番最初に仲良くなってくれた。ただ、高緑と同様で女だと思ったらしい。


「第4支部はすぐそこですので、高緑さんを待ちましょうか」


「そうですね〜、すぐ終わると思いますので〜」


 すると高緑はふらふらと千鳥足になりながら戻ってきた。体がボロボロになっていた。


「最高だぜ……筑紫秋総帥は……」


 高緑は雅と哀禅の目の前で意識を失い倒れてしまった。高緑を2人かがりで抱え第4支部の本部へと3人は向かって行った。


ーーーフォルジュロンーーー


「さっそく、聞き込み調査を開始するよっ。聞く内容は、雪山の頂上に現在登っている人を聞き出すこと。木沢くん、わかった?」


「わかりました」


(もう名前は木沢で良いや……突っ込むの疲れた……)


 さっそく片咲は聞き込み始めようとしたら、1人の街の人が片咲に話しかけてきた。


「あら、あなたぁ……元気にしてた? 山の頂上の景色は良かったかい?」


「あのですね……私、この山の頂上に最後に登ったのはもう5年前ですよ……?」


「あれ、おかしいわねぇ……その右頬の傷は間違いないと思ったんだけどなぁ……」


(まさか……)


「もしかして……その女の人、琵琶(・・)を持っていませんでしたか……?」


「あー、そうそう! よく分かったわねぇ」


(間違いない……雪山の頂上に雪が降らない原因は……)


「見つけたぞぉ……弁財天!」


(1人で解決まで導いていたけど……僕、何ひとつ理解できてないし、置いてけぼりにされてるし……誰か助けてくれぇー!!)


「木沢くん、いきなりすぎてあなた全く話についていけてないけど……聡一朗と藍を探しにいくよ」


 拓也は片咲に言われるがまま、そのままついていくことにした。




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