2-020 逆賊討伐軍大将会議
第二章最終話です!
ーーーハーフェン・港ーーー
港に着くと逆賊討伐軍の本部のものが待ち構えていた。代表して曉月と大和が聞きに行った。
「曉月大将、大和大将。大将会議を行いますので集合お願いします。後その際に、黄桜拓也、不二宮凜音、高緑至一郎、橙山真波、茜沢雅の5名も同伴でお願いします。」
曉月が本部の人へ下唇を噛み締めながら訂正を伝えた。
「水城凜音は……殉職した……」
「了解しました。ならば、不二宮凜音の代わりに水城遥を同伴させてください。会議は明日開催します」
曉月は皆の元へと戻り、言われたことを伝達する。村の住人だった者は、高緑造船所で一時的に住むこととなった。
駿河と松平は2人で第8支部へと戻って行く。
ーーー逆賊討伐軍第7地区本部ーーー
1日が経過した。拓也は目覚めた。目覚めた場所が第7支部の自室だなと言うことがすぐに分かった。雅はずっと窓の方を見ている。
拓也は最後の光景がどうなったかを雅に聞いた。
「凜音……凜音はどうなったんだ!!」
「凜音隊長は……私たちを守るために……」
拓也の目には涙が溢れてきた。自分が小さい時からたくさんのことを指導してくれた凜音が亡くなったのだ。自分がもっと強ければ...もっと戦うことができるほどの力があれば...拓也は自身が無力で情けないと感じた。
するとその場に曉月が入ってくる。
「早速だが、本部へと向かう。2人とも準備ができたら外へと出てきてくれ」
拓也は涙を布団で拭い、急いで準備を行い雅とともに外に出た。外には馬車が用意されていた。中には橙山と高緑が待っていた。
「早く乗るんだぜ! 坊ちゃんと嬢ちゃん」
「高緑さん〜? 申し訳ないんですけど〜。私、男ですよ〜?」
「げっ!! 申し訳ねぇ、そんなつもりは一切なかったんだ」
「いえいえ〜、悪意があって言っていたら速攻あなたの首を切り落としに行ってましたよ〜」
(なんなんだよっ。俺の周りの人は本当にまともな奴がいないのか?)
「とりあえず出発するぞ!」
馬車は逆賊討伐軍の本部へと向かって行く。
ーーー逆賊討伐軍本部ーーー
第1地区から第8地区の全てを行き来することができるこの世界の中心に存在する逆賊討伐軍本部。他の地区の本部とは大きさの規模が異なる。
この本部では、総帥が君臨しており、それ以外にも通信士などのサポートをする人たちや総帥直下の軍が存在する。総帥直下の軍のメンバーは精鋭ばかりだ。
拓也たち5人は馬車を降りると、3の数字が書かれてある鷹のエンブレムがついた黄色の軍服を着ている女の人が待っていた。
「まーさーむーねー!!! 元気にしてた? 凜音も逆賊討伐軍に戻ってきたんだよね! 早く会いたいな〜!」
「落ち着け真帆。それに凜音はこちらの方を守るために殉職したんだ」
すると、真帆は拓也たちの方を凝視した。こちらへと走ってやってくる。
「君たちは、一体誰?」
「僕は黄桜拓也。逆賊討伐軍第7支部一般兵だ」
「俺は、高緑至一郎だ。造船業勤務だ」
「水城……遥です……」
「橙山真波と申します! よろしくお願いします!」
「うん、みんな強そうだね。よろしくね!」
とみんなと握手を交わしてその女の人は本部へと入っていった。
彼女が本部に入って姿が見えなくなった後に、雅が馬車から降りてきた。
「何か、面白いことでもやっていたんですか〜?」
と雅が聞いた時、曉月が5人に入るように言った。
そして、曉月たち一行は本部の中へと入って行く。
ーーー逆賊討伐軍本部・会議室ーーー
入った瞬間に案内人が待っており、会議室を速攻案内させられた。どうやらなかなかにギリギリだったやうだ。
会議室の中に入ると既に第8支部までの大将と総帥が待っていた。緑色の軍服を着ている男はなかなかに苛ついていた。
「遅いぞ、曉月! 10分前行動をきちんと守れ!」
「京極さん、すいません……」
(大将の中でも上下関係があるのか……厳しいなぁこの世界は。)
すると総帥が手を2回鳴らし、会議の始めを合図した。
大将全員が所定の位置に座り、拓也たちも曉月の後ろに席が準備されていたためそこへ移動した。
「では会議を始めて行こう。私のことを知らない人が今回は会議に参加しているから挨拶をしておこう。私の名前は筑紫秋煉眞と申します。よろしくお願いしますね。そして私は言いたいことがある。天明、成瀬、片咲、京極、仙木、夏目、曉月、大和。大将全員が再び集まれることができて、私はとても嬉しいよ。それに"虹の家族"のメンバーが私を含めて、5人が見つかった。これはとても誇らしいことだ」
大将8人は、総帥の話を聞いた後に拍手をして喜んだが、拓也たち5人は訳が分からなかった。
(何の話だ……"虹の家族"って有名なものなのか?)
「今回、君たち5人に来てもらった理由を話そう。まず茜沢雅。あなたは本日より総帥直下の軍の中佐に任命する。理由は強いから、それに尽きる」
「それはありがたいですね〜。喜んであなたに身を捧げます〜」
「そして、残りの4名。君たちは30年前の伝説の戦士達"虹の家族"の子孫にあたる4人なんだよ。ちなみに私もそうだ。大型逆賊の"天之四霊"のオーラを打ち砕くには、君たちの誰かが攻撃をしなければならない。だから君たちは、特殊部隊として働いてもらう。良いな?」
「分かりました。けど、僕は全然強くないですよ」
拓也が言った後、高緑、橙山、遥は激しく頷く。
「それについては全然問題はないよ。私の軍があなた達を全力でサポートするからね。でも問題はそこではない。後2人を探してきて欲しい」
「後2人の名前は一体何ですか...?」
「下の名前は分からないが、赤星家と伽藍家だ。そもそも虹の7色がつく苗字は私たちの7つしかないのだから」
拓也は驚いた。自分がとても大事な人だということを。そして同時に緊張感が芽生えてきた。なぜならば自分がもし死んだら、黄桜家は滅亡してしまい、6つの世帯になってしまうからだ。
こうして、大将会議は終わった。拓也達の荷物は既に部屋の方へと送っているようだ。今度は1人1つの個室であるらしい。拓也は高緑と雅と部屋の方へと向かって行く。
拓也は雅にどうしても言いたかったことを言った。
「雅さん。もう僕は王子ではありません。なので普通に拓也と呼んでください」
「ん〜。慣れませんがわかりました〜。そうさせていただきますね〜。よろしくお願いしますね拓也」
すると、後ろから総帥が追いかけて来ていた。
「黄桜くんと言ったね。君に渡したいものがあったんだよ」
そう言って筑紫秋は剣を取り出した。
「君の一族が代々引き継いでいる名刀"小竜景光"だ。曉月がパランポレン王国の捜索をしているときに宝庫で見つけたらしい。是非使ってくれ」
筑紫秋は拓也に"小竜景光"を手渡した。拓也が今まで使っていた稽古用の刀とは全然違う。とても光り輝いている。
(この刀で……全ての逆賊を殺してやる。特に白虎……お前だけは必ず俺が倒してやる!)
そう胸に誓い、拓也は堂々と部屋へと向かって行った。
読んでいただきありがとうございました。
これで第二章は終了です。
第三章は近々(1週間以内)には更新しますので、
その時はまたよろしくお願いします!




