1-001 平穏は突然と消えていく……
拙い文章で申し訳ございませんが、
最後まで読んでくれるとありがたいです。
パランポレン王国――。この王国は近辺の区域では1番大きな王国である。ここは、光の歯車で作られた大きな結界があるため、逆賊達は一切入ることのできない平和な王国であった……
ーーーパランポレン王国、2階・玉座ーーー
「拓也……! お前はパランポレン王国の次期国王になる男だ。今のうちに政治のことや近辺の王国の国王の名前などをきちんと勉強するんだ。それに拓也、お前の歯車は逆賊を1人で十分に倒せるほどの実力は全然ありやしない! きちんと、凜音に歯車の質を磨き上げてもらうんだぞ!」
そう言ってくるのは、現パランポレン王国の国王である黄桜伸哉である。パランポレン王国の結界を張っているのも現国王の伸哉である。
そして今、伸哉にたくさん言われた者が、次期国王である黄桜拓也である。
「了解しました、父上。必ず立派な国王になることを誓います! では凜音のところに向かって、歯車の稽古をしてきます」
そう言うと拓也は階段を降りていく。拓也が見えなくなった後、父は激しく咳き込み、吐血した。
(私は持病のせいで寿命がもうあまりない……私が死んだら結界はなくなってしまい、外にいる逆賊達が間違いなく食料や金銀などの財宝を目当てに襲ってくるだろう……せめて、拓也が国民を守ることのできるぐらいまで成長できるまでは……死ぬわけにはいかない……!)
ーーーパランポレン王国、1階・兵士訓練場ーーー
「凜音、今日も稽古お願いします!」
拓也は深々とお辞儀した。
お辞儀の相手は、女ながらにして王国護衛騎士団の隊長であり、王国最強の兵士の不二宮凜音だ。
「よく、毎日きちんと稽古に励んでいるな。私は感動しているぞ! 最近の入隊してくる者は、怠け者が多くて困っているんだ……。拓也王子みたいに熱心な方が増えるとありがたい」
凜音は男勝りな口調である。見た目は可愛い女の子なのだが、そのギャップはとても激しいものだ。
「では、今日は歯車について、きちんと説明しようではないか。まず、歯車には3つの型がある。生成型と憑依型と呪型の3つだ。生成型は歯車で武器を生成するものであり、憑依型は持っている武器を歯車で強化するものだ。呪型はまぁ、武器とかを使わない戦い方だな。火の玉とか、風を引き起こしたりなどそういうのは、呪型に含まれるぞ。私たちの騎士団は基本的に幹部以外は生成型と呪型で戦う。みんな出来ることなら武器を持って戦わせたいが……資源があまり手に入らないからなぁ……こればかりは仕方がないことだが」
「絶対、僕の代になったら資源をたくさん手に入れられるような王国にしてみせます!」
「それは、頼もしいですねぇ……ぜひ、兵士の皆様にも武器の提供をお願いしますね……!」
そして、拓也は凜音と共に稽古に励み始めた。
その時だった……
「闇の歯車・暗黒三日月斬り!」
突如、結界が割れたのであった。誰もが驚いたはずだ。
現在、確認されている歯車の7つでは、絶対に割ることのできない結界であるはずのものであったのにも関わらず、それが容易に粉砕されたのであった。割れた数秒後に外で待機していた沢山の逆賊が、王国内へと入ってきた。
逃げる城下町の市民を逆賊が襲っていく。
「金ならある!命だけは……うわぁぁぁぁ!」
「子供だけは……子供だけはどうか! ぎゃぁぁぁぁ!」
城下町に住んでいた市民は安全だと思い込んで、武器を所持していなかったため、逆賊にとっては色々とし放題である。性別や年齢は一切関係なく。女でも、生後間もない赤ん坊でさえ、逆賊は殺していく。
ある逆賊は少しずつ痛めつけて嬲り殺し、ある逆賊は首を思い切り斬り……それだけではない、襲ってきた逆賊は城下町の一軒一軒に火をつけていき燃やしていった。
城下町は逆賊によって壊滅した。
「凜音、急いで父上がいるところへと急ぎましょう!」
拓也と凜音は急いで玉座へと向かう。
---パランポレン王国、2階・玉座---
玉座の方へ向かうと、伸哉と逆賊が戦っていた。父は光の歯車を駆使してたくさんの逆賊を倒す。もちろん周りには護衛隊の兵士が応戦しており、そちらは一進一退の戦いである。
伸哉が大声で凜音に伝えた。
「この王国は、間違いなく潰れてしまう。そしたら全滅は免れない! だから凜音、お前は拓也を連れて外に逃げるんだ! いつか再建できる日が来るまで、必ず王子を守り通せ。頼んだぞ!」
凜音は頷き、拓也を連れて王国を出ようとする。
しかし、拓也は動かない。それどころか戦う準備をしているのだ。
「拓也王子、あなたは逃げろと言う国王の指示を聞いていなかったのですか? あなたはまだ戦えるレベルまで達していないんです。大人しく退いてください!」
「嫌だ! 絶対に逃げない! 俺も戦う!」
凜音の言うことを拓也は全然聞いてくれない。伸哉も焦っている。拓也が戦いに参戦すると間違いなく足を引っ張るからだ。
「早くしろ、凜音! お前の歯車を使っても構わない……黄桜家の一族を途絶えさせることはあってはならないのだ!」
凜音は王子に対して歯車を使うことは、実はしたくなかった。しかし、
(このまま王子が死ぬ事の方がまずい……仕方ない……使うしかないか……)
「氷の歯車・凝固!」
すると、拓也は指一つさえ動かせない状態になった。
(なんだなんだ、呼吸も瞬きも簡単にできるのに体が固まってしまった……!何故だ……何故だ!)
動けない拓也を連れて行く凜音。
「国王、必ず生きて会いましょう……」
凜音は動けない拓也を背負って、玉座から去ろうとした。
その時である。明らかに他の逆賊とは違うオーラを放っている者が扉からやってきた。
「すいませんねぇ……いきなり襲ってしまって……!私は現在、大型逆賊として指名手配されております……"天之四霊"の幹部……白虎です!」
「一体なんの真似だ? 私に恨みがあるなら、私を殺しに来るべきだろ。一般人を巻き込んで……貴様は許さん!光の歯車・生成……剣!凜音、反対側の扉から逃げるんだ」
伸哉の手に光の剣が現れた。光の剣の美しさに拍手を送る白虎であるが、顔は余裕そうだ。
その隙に反対側の扉から逃げる凜音と拓也。白虎はそれを追いかけるが、伸哉が白虎を食い止める。
「拓也の逃亡を邪魔するな。私が相手をしようではないか……!」
「おやおや……とても素晴らしい剣だと思います。
ですがねぇ……光が闇に勝てるとでも思うのですか……?」
すると白虎は、自らの剣を抜き出した。
「闇の歯車・憑依……闇の力よ、私の剣に宿れ!」
先ほど抜き出した剣に闇のオーラが漂い始めた。おそらくだが、結界を壊したのはこの剣だと言うことを伸哉すぐに勘づいたようだ。
たが、伸哉は焦っている。
(なぜだ……闇の歯車なんて聞いたことがないぞ。でも、あの一族の私ならいけるはずだ……!)
と思っていると、白虎の方から攻撃を仕掛けていた。剣を構える伸哉。
しかし、次に見た景色は反転した白虎の姿であった。
なにが起きたのか全く見当のつかない伸哉。少ししてから、今の状態を理解する。彼は、光の剣ごと真っ二つに斬られていたのであった。真っ二つに斬られたところからは想像を絶するほどの血が溢れている。
(こんなにもあっさりと私は負けてしまうのか……まぁ……しかし、黄桜の名を途絶えることを何とか阻止できて良かった……拓也……これから長くて険しい旅が……続くが……諦めずに……最………後……まで……)
黄桜伸哉は生き絶えてしまった。白虎は少し顔が険しくなっている。
(ちっ……あの王子を殺し損ねてしまった……すぐに見つけて必ず黄桜一族は潰してみせる……!)