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王国滅亡の報復へ…  作者: 佐伯千尋
第2章 宝石十二の王・逆賊討伐軍入隊編
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2-013 真空世界

いつも読んでくださりありがとうございます!

今日も二話連続投稿になりそうです!

 火山の中は噴火していることでさえ気づかぬぐらいの熱戦であった。


---火山内部---


「最初から全力で行かせてもらうぞ。風の歯車(ウィンド・ロウェル)・生成……(シックル)


 生成されたのは風の鎌。とても大きい鎌であり、長さは2メートルぐらいある。


「この鎌で、お前の首を刈ってやるぞ」


「ほぉ……面白い……! やれるものならやってみろ! 炎の歯車(フレイム・ロウェル)・憑依……紅蓮の炎を我が剣に纏え!」


 いつもの如く、曉月の剣が炎を纏う。だが何故だろうか。

 今まで倒してきた敵は憑依型を使えば、みんな勝ち目はないと確信して、逃げたり怯えながら戦ったり降参する者もいた。

 しかし、エメラルドはとてもニンマリと笑っている。


「曉月、憑依型を使ったら驚くとでも思ったか? そんな訳ないだろう。あんな雑魚どもと一緒にしないでくれ。俺は何度も憑依型のやつと戦ってきているんだ。その度に勝って勝って勝って、奥の手を使って負けた時のあの絶望した顔のまま首を刈るのが楽しみなんだよぉ! ケヘヘッ。ケヘッ」


 とても狂っているエメラルド。曉月はとても真剣な眼差しでエメラルドを見つめる。


(もうエメラルドは末期症状だ。殺人という欲求に駆られて行動しているのだろう。早く解放してあげなければ……)


炎の歯車(フレイム・ロウェル)・壱式……大回転火炎斬り!」


「その程度の攻撃で、よく大将などに登り詰める事ができたなぁ、曉月ぃぃ! 賄賂でも渡して昇級したのではないのかぁ? あ〜ぁん?」


 エメラルドの煽りにすぐ苛つく曉月。苛ついている事が誰から見ても丸わかりであった。

 エメラルドはすぐさま行動に出る。


「君なんて、炎が無ければただの雑魚だ。憑依型と言っても、燃やす条件がきちんと整っているから憑依が出来ているだけだろぅ?? なら1つ消してあげようではないか……風の歯車(ウィンド・ロウェル)真空世界(リヤン・ヴェルト)!」


 曉月とエメラルドの周りの空気は無くなっていった。音が出ないが2人は動いている。

 周りから見ると無音映画を見ているような感覚。曉月の憑依は解除され、ただ剣を振っているようにしか見えなかった。


「はっはっはっ! 見たか曉月、お前の憑依なんて無能だぜ!」


 もちろんエメラルドの声は真空世界であるため一切曉月には聞こえていない。

 曉月の目線から見ると、エメラルドがただ口を動かしているだけにしか見えなかった。


(あいつ……1人で何を言っているんだろうか……けど、まずい事が起きてしまった。私が攻撃しようとするとエメラルドは真空世界(リヤン・ヴェルト)を使って、私の憑依を解除してくる。ただの剣では到底太刀打ちできるわけがない……どうするべきか……)


「何もしてこないのかよ……だったらこっちから攻撃をさせてもらおうじゃないか。真空世界(リヤン・ヴェルト)……解除! 風の歯車(ウィンド・ロウェル)鎌の風刃(シックル・ブレード)


 エメラルドは鎌を適当に振り回す。たくさんの歪な形をした刃が曉月の方へと飛んでいく。

 辛うじてその刃を自らの刀で弾いたりして回避するが防戦一方である。


 エメラルドの鎌の風刃(シックル・ブレード)の猛攻により、曉月はずっと自分を守ることで精一杯な状況である。先ほどからずっとその繰り返しであり、曉月の体力はほとんど底を尽きていた。

 そして先ほどから攻撃ばかり行なっているエメラルドの方にも鎌の風刃(シックル・ブレード)の出し過ぎか、疲れが少し顔に出てくるようになった。


風の歯車(ウィンド・ロウェル)真空世界(リヤン・ヴェルト)……貴様の炎は私の前では無力!勝負あったようだな……!」


(まずい……このままだと負けてしまう……何か対策はないのか……)


 少し焦っている曉月。相手は中型逆賊。大将という大きな階級を持っている者が討伐までにこれほどまでの時間をかけてまで倒せていないということは今まではなかった。


(大将らしからぬ討伐時間……まだ倒せていないのは前代未聞……! 早く何とかしなければ……)


 すると内部の所々からマグマが噴出してきている。内部にいる人達全員が疑問に思った。誰一人、外で噴火が起きたことを知らないため当然の反応である。

 少しすると雅が内部へと入ってきた。


「皆さ〜ん……この火山は先程噴火したので危ないので、逃げてくださ〜い」


 すると曉月はとあることを閃いた。そして自分の剣をじっと見つめる。

 その剣は先程の風刃のせいでかなり刃こぼれが酷かった。


(私の剣……"鬼丸"よ。扱い方が悪く、こんなにもボロボロになるまで酷使して申し訳ない……そしてこれが最後の戦いになるかもしれない……私と共に戦ってくれてありがとう)


 曉月は、自らが持っている剣を、マグマの中へと突っ込んだ。

 刀の刃の部分の部分がどんどん赤くなっていく。そしてすくさまその剣をマグマから引き抜いた。


「さぁ、冷めないうちに決着をつけようではないか……エメラルド」


 エメラルドは曉月の今の一連の行為に嘲笑した。


「結局は無意味なことしかしてないことを良い加減、気づいたらどうなんだ?そんなことをしても、俺の

"真空世界(リヤン・ヴェルト)"には敵うことはないんだからな。まぁ足掻くだけ足掻いて私に殺された方が楽なんじゃないか? ケヘヘッ」


「確かに君の真空世界(リヤン・ヴェルト)は強いと思うぞ。炎の歯車(フレイム・ロウェル)を使う者にとっては、1番厄介とも言える相手だろう。だが、それはあくまで炎の話だ。マグマになれば話は違う……!それに、君の真空世界(リヤン・ヴェルト)には弱点がある!」


(そろそろ頃合いかな……"鬼丸"これが私との最後の共闘になるが許してくれ……)


 曉月は刀の柄の部分を強く握り、エメラルドの方へと向かっていく。

 マグマは熱すぎるため鬼丸の刃の部分が赤くなっていると同時に少しずつであるが、元の材料であった玉鋼へと姿を戻して行っている。


「弱点なんてあるわけがないだろう? ケヘヘッ。刀が玉鋼になる前に俺を殺せるかなぁ? 真空世界(リヤン・ヴェルト)……解除!風の歯車(ウィンド・ロウェル)鎌の旋風(シックル・ヴァルベルウィント)


 鎌を横に凄まじい速さで振り回す。エメラルドを軸に旋風が作られ、エメラルドの姿は旋風により見えなくなった。

 そしてまた曉月の事を煽り始める。


「その刀……あと1分も使えないだろうなぁ。刀も失い、自らの命も失う……これほどまでに実力がない大将は世界で探してもきみだけだろうなぁ……!」


 先ほどエメラルドが煽った時は苛立っていたが、今回は寧ろ言われて喜んでいるようにも見えた。


「エメラルド! 君の方から煽ってくれるなんて、俺は嬉しいぞ!」


「何を言っているんだ? ケヘヘッ。お前Mだろ? しかもドM。それなら、もっと煽ってやるよぉ。ケヘヘッ」


 すると、突然旋風に大きな穴ができた。目の前には曉月が"鬼丸"で今にも刺そうとしている。

 エメラルドは油断していたため、攻撃する準備ができていなかった。


「さよなら、エメラルド」


 曉月の剣"鬼丸"はエメラルドの腹を貫通した。


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