2-009 見えない暗殺者
二話連続投稿です!
読んでくださりありがとうございます!!
「紹介しよう。この子は橙山真波ちゃん、14歳である。この村唯一の女村人であり、この村のアイドルでもあるのだ〜!!」
「この村って……総人口8人じゃないですか……」
思わず突っ込んでしまった植松。
すると鬼のような目で橙山は植松を睨み、ハンマーで頭の後頭部を叩く。
植松は、頭にタンコブができてその場に倒れ込み気絶した。
(ひゃぁぁぁぁ!? 怖すぎる怖すぎるよぉぉ!!)
拓也は女の恐ろしさを改めて知った。気絶していた植松はすぐに立ち上がった。
「いってぇ〜なぁ! 俺じゃなきゃ死んでたぞ!」
(あなたでも普通死んでますよ! 植松さん!)
あまりにも早い復活に驚く拓也。
いや、拓也以外にも植松以外全員があまりにも早い復活に驚いていた。高緑が話題を戻す。
「それで真波ちゃん? 最近何か変わったことはあったかい?」
「あー、ありました、ありました! 週1回政府がこの村に支給物を送ってくれるんですが……その支給物が最近、すぐに無くなるんですよね……少し前までは、逆に余るぐらいだったのに、この1ヶ月間は3日程度ですぐなくなってしまって大変なんですよ……」
「その荷物は、いつもどこに置いてるんだい?」
「えっと……あちらの倉庫に置いてるんですけど……鍵は開けっ放しなので、いつでも誰でも入れるようになってます!」
「つまり、いつ取られてもおかしくはないね……いる可能性は十分に高い……!! 真波ちゃん、島の中央付近って行っても良いかい?」
「全然良いですよ!! 安全の保証は一切できませんけど……」
「よし、僕はここで待機しているんで皆さんはここから先に進んでくださいな!」
「そうだな……ありがとう、高緑! では、さっそく10人全員バラバラで移動しようではないか! みんなに無線を支給するから、何かあったらすぐに連絡を頼む!」
「待ってくれ、曉月!」
曉月の提案を止めたのは凜音だった。
「せめて……拓也王子と雅、私と遥は一緒に行動させてもらえないか……? 私と雅は戦いには慣れているが、残りの2人は歯車を習得してまだ1日も経っていない!」
「いいぞ、それなら仕方がない! 1人でも隊員は減らしたくないからな! では、改めてアジト探しに出発するぞ!!」
全員がバラバラに行動する。
---エーデルシュタイン島・とある場所---
誰かが別の無線を手にし連絡する。連絡を受けたのは女であった。
とても高く聞き取りにくい声で反応する。
「……はい、もしもし」
「私だ。大黒天はいるか……?」
「はい、いますので少々お待ちを!」
しばらくして、声の高く聞き取りにくかった女の子から、とてもずっしりとした重みのある声の男へと変わった。
「大黒天ダ……! 貴様ハ誰……ダ??」
「ふふふ、名前を名乗りたくはない……だが、君たちと同類と言うべきかな……?」
「ソノ言葉ヲ信ジヨウ……用件ハ一体ナンダ……?」
「エーデルシュタイン島に来い、そこでお前に殺してほしい人がいる。言わば、暗殺命令だ」
「ソイツノ名前ヲ、教エヨ……!」
「不二宮凜音、いや……水城凜音だ」
「ナント……ソノ一族ノ生キ残リカ……」
「あぁ……まだ他にもいるが……他の奴らはそんなに強くない。だから、いつでも殺せるから大丈夫だが。水城凜音……あいつは強いうえに、私の正体を知っている。だからバレると色々と厄介なことになってしまうからね……」
「ナルホド……貴様ノ依頼承ッタ……スグニソコヘ向カウトスル……」
「できるだけ早く来るように……では!」
こうして誰かと大黒天という謎の人物との会話が終わった。
---エーデルシュタイン島・西エリア---
西エリア近辺にいるのは、曉月と凜音、そして拓也の3人であった。
「凜音……私たちは"宝石十二の王"を5人倒してきたが……あと何人倒せば相手を全滅にさせることができるんだい?」
「噂で聞いたことがあるのですが……"宝石十二の王"は確か12人でそれぞれのコードネームが誕生石に由来していると、誰かが言ってたような気がします……」
「うむ、その通りだ!!」
2人は偶然にも曉月に遭遇する。
「後私たちが討伐できていない"宝石十二の王"はガーネット、アメジスト、パール、ルビー、エメラルド、サファイア、ダイヤモンドの7人である。そのうちの最後に言った4人は特に強いと言われている。もしかしたら、大将でも倒すのに苦労するかもしれん……だが、そんなものは関係ない! 私が必ず、悪を根絶やしにして見せる!!」
すると、木と木の間から矢が飛んできた。間一髪避けることができた曉月。
矢は木に刺さったが木の表面がだんだん溶けていっている。
「これは……毒だ! しかもかなり強い……気を付けろ。まだ狙って来る可能性はあるからな!」
「曉月さん、危ない!」
今度は曉月の背後から矢が迫ってきていた。それも避ける曉月。身体能力はかなり高めである。
「一体、どこから矢を打ってきているのだ……」
「分かりませんが……いったん、動きませんか? 止まっている方が危ない気がします……」
「そうだな、火山の方へとダッシュしよう!」
(まずい、アジトの方へと向かわれてしまう。追いかけないと……!)
矢で狙撃していた人も曉月たちについて行く。
(そこか……)
曉月は向かっていた方向と逆の方に走って行く。慌てて、拓也と雅もそちら側へと走って行く。
(は……はめられた。僕をおびき寄せるための作戦だったのか、急いで隠れないと……)
「くそっ……後少しだったのに、見失ってしまった」
曉月は矢を打った人を見失ってしまった。
拓也と雅は、曉月が走って行った理由を知らずに、追いかけてきたため、理由を聞くことにした。
「実はだな……矢を打ってきた人をおびき寄せるためにわざと走ったんだ……
(しめた、話している時は大将と言えど、隙が生まれるはずだ! 今なら……え……?)
矢を構えていると、目の前には火の玉が飛んできていた。
慌てて顔を守るために、体を盾にすると右半身な直撃し大きなダメージを喰らった。
「痛っ!!! 痛すぎるうぅぅー!!」
「君か……さっきから私に矢を打ってきていたのは……」
「ふっ……そうだよ。だったらなんなんだ、あちちち……」
(かなりダサい……)
「俺の名前は"宝石十二の王"のアメジスト!」
「ほーん……毒の矢を使うあたり、歯車を使えないな……?」
「う……うるせぇ! それがどうしたって言うんだ。そんなものがなくても、俺は今までちゃんとたくさんの逆賊討伐軍を倒してきたんだぞ!」
「それが自慢なのか……? 随分とダサい自慢だなぁ……!」
「とりあえず、毒でお前をじわじわと弱らせてやる!」
「黄桜王子! 君の出番だ、アメジストを自分の手で倒して来るんだ!」
「はい!……えっ?」
拓也は今、言われたことに驚きを隠せなかった。




