2-008 オーラを纏う
30分ぐらい後にもう1話更新します!
是非見てください!
「曉月? この船は一体どこに向かってるんだ?」
凜音はこの船がどこ向かっているのかを知らない。曉月は首を横に振る。
実は曉月もどこに向かっているのかは知らないのだ。
高緑のみが向かっている場所を知っている。凜音の質問に高緑が操縦しながら答えた。
「エーデルシュタイン島に向かっている。この船で1時間程度だ。一応有人島ではあるが、村が一つだけあるだけで、ほとんど無人島みたいなものだ。だからアジトがあってもおかしくない」
その情報を聞いた後に、曉月が提案をした。
「嵩玖! お前の部下の紹介をした方が良いのではないのか?」
「それもそうだな!! 松平、駿河、自己紹介をよろしく頼む!」
すると黒髪の小さな男が立った。身長は150cm程度であり、見た目はとても弱そうである。
「僕の名前は松平君近! 少将です。見た目は弱そうに見えますがよろしくお願いします!」
今度はもう片方が立った。
その男は、先ほどの松平とは真反対であり、長身でありとても強そうに見える。
「俺の名前は駿河丈慈だ。同じく少将。逆賊の全滅を心がけている。よろしく頼む!」
曉月側の7人は拍手をする。
そして、その後7人の自己紹介が始まった。曉月から順番に自己紹介を行っていく。
しばらくすると、後ろから高緑の船よりも速い船がやってきた。
その船を見ているとなんだか見たことのある顔の人が操縦していた。拓也は操縦していた人に見覚えがあった。
「あの人は…….あの時の……!」
操縦していたのは大空を追いかけていた3人組の1人である。よく見ると操縦席の後ろで手と足を縄で身動きが取れてない人がいた。
大空である。口をガムテープで塞がれているため喋ることもできない。故に、助けを呼べないのである。
「曉月さん、あの船に知り合いがいるんです! 助けることはできませんか?」
「いくらなんでも、無理があるぞ。船を燃やそうとしても全焼を免れないから人質を解放する前に全焼してしまう!」
すると隣の船の操縦士は鼻で笑った。
「貴様らが何かを企んでいたとしてもそれは全部無駄だぜ!! アクアマリンさんに、全員殺されてしまうからな!」
すると、高緑の船の周りに大きな波が現れた。
その波の中から青髪の長身が姿を見せた。
「へっ、お前たちはここで死ぬんだぜ! このアクアマリン様の手によってな!」
そう言うと、アクアマリンは水中へと潜っていく。
すると、船にいきなり衝撃が与えられ、大きく揺れた。大和はアクアマリンの思惑に気づく。
「あの野郎、船を沈める気だぞ! 早くあいつを倒さないと、全滅だ!!」
「高緑さん! この船って電気ショッカー付いていますか?」
「勿論あるぞ、船の後ろの方にあるはずだ!」
「では借りますね!」
松平は急いで船の後ろの方へと走っていく。電気ショッカーを手にし準備をする。
「雷の歯車・憑依……雷の力を我が身に宿れ!」
すると雷のオーラを松平自身が纏う。拓也はふとあることを思った。
(この感じ……白虎みたいだ! 常に闇のオーラを纏っているみたいに、松平さんも自分で雷を纏っている。歯車って最終的に自分自身も纏うことができるのかな?)
「では、松平君近……行きます……!!」
松平は電気ショッカーを巻きつけて海の中へと飛び込んだ。
飛び込んだ瞬間にアクアマリンが船底で暴れているのが見てた。
(声は出せないから、ゆっくりと近づいて行くしかないか……)
とこっそり近づいて行くと、アクアマリンが気付いて船から離れた。そして喋る。
(フハハハハ、貴様は、水の中では喋れないのか! 俺の水の歯車の犠牲者第1号は貴様だ! 安心しろ。苦しまないように、一瞬で殺してやる!)
マグロの速さでやってくるアクアマリン。逃げるという行為をしない松平。
(近づいた瞬間、俺の勝ちは確定だな……あいつはバカで間違いない。水の中という自分の優勢な場所だから、負けないと思っているのだろう。そういう油断が死を招くのだ……!!)
「死にやがれぇぇぇぇぇ!!」
(今だ……)
「雷の歯車・放電……!」
「どこにそのような……力がぁぁぁぁぁぁあ!!」
突如、この近辺の海が大きな光を発した。拓也たちが慌てて船から水中を見ると、松平が浮上してきた。
「アクアマリン、討伐しました!」
「ご苦労、松平。それにしても、よく海の中で簡単に討伐できたな!」
「いえ……アクアマリンはバカなお陰で勝てました。海の中は自分にとっての領域、負けるわけがないと思ったのでしょう。私が電気ショッカーで蓄電していたとも知らずにね……」
「とりあえず、中型逆賊相手に良くやった。エーデルシュタイン島まではまだ時間はあるからゆっくり休んでくれ!」
「ありがとよ、松平少将。君のおかげで船がまた出せるにようになった! 船のほうには影響は一切なかったからこのまま順調に進めるよ!」
高緑のお礼にお辞儀をする松平。そして船は進んでいく。
---エーデルシュタイン島---
アクアマリン討伐から30分。エーデルシュタイン島に着いた11人。
島はとても大きいと言う訳ではない。ただ、先程いたハーフェンの2.3倍はあるように見える。
中央には火山があり、自分たちが住んでいるよりも一昔前のような雰囲気が漂っている。船を港に止めると目の前には小さな村がある。
高緑曰く、エーデルシュタイン島にはこの村しかないらしい。
しかし、村と言っても一軒家が5軒並んでいるだけで、八百屋や銀行、生きて行く上で必要な必要とする施設は一切見当たらない。
すると、一つの家からおじいさんが現れた。早速、色々と聞きに行く曉月。
「おじいさん、少し良いですか?」
「あーーーー。どうしたんじゃ???」
「この村にここ最近で何か変わったことはありませんか?」
「うーーーーん。何か……あったような気がするし……何もなかった気がするし……」
すると、さっきの家から今度は成人にもなっていないであろう、小さな女の子が慌てて飛び出してきた。
「お爺ちゃん! 急に外に出てどうするの?」
「ちょうど、良かった。君に質問がしたい!」
「え、なんですか急に? 怪しい人ですね……もしかして、私のこと狙っているんですか? 気持ち悪いですよ?」
「もしかして俺って、そんなに変な目で見てたのか?」
すごく落ち込む曉月。あまりの言われように弁論する気にもならず、その場で四つん這いとなった。
すると高緑がその女の子に話しかける。
「もしかして……真波ちゃん……?」
「あぁーー!! 高緑さん、お久しぶりです! 元気でしたか? こちらに来るのは3ヶ月ぶりですね!」
さっきの曉月との会話では想像もできない豹変っぷりである。
(女って……こえぇ〜)
そう思う拓也であった。
 




