喧嘩している場合じゃない
「年の事は今はもう関係ないだろう。皆同じ15歳なのだから」
レオの言葉にラゴスさんも同意する。
「でも、レベルが」
エミリーは更に食い付いて来る。
結構なガッツだなと思った。
「レベルだって、ユイがやっていたゲームがフェアリーウェブなら関係ないだろう?あれって確かそういうレベルの表示じゃなったはずだからさ」
ラゴスさんまで私の保護をしてくれる。
それに対して益々顔を赤らめたエミリーをあのエルフ風優男が宥める。
って、それよりも私ラゴスさん位しか自己紹介されてないよね。
何となく私だけが吊し上げになっている現実に納得いかないんですけど。
内心プンスカ思っているとレオが「そうか」とボソリと相槌を打つ。
「自己紹介も無しに他人を罵るのはマナー違反だね。年上としての意見の前に人としてのマナーは守ろうか」
レオはエミリーに向かってにこやかにそう言った。
勿論エミリーは益々顔を赤らめる。
「年下の分際で」
苦々しくそう言うけど、誰もエミリーに同意しない。
だって、見た目が皆同じ15歳なんだよ。
何の説得力もないよね。
そして、そんな事を口論している最中に先行してしまった一団に異変が起きる。
それは、行った一団の半数が『眷属』と表示が変わったからだ。
「ちょっとヤバいかも。レオ」
私はレオを見るとレオが難しい顔になる。
その間にも眷属は増えて行く。
「多分もう助けられない。それよりも僕達は早くここを去らなければいけないだろう」
レオが未だに感覚共有を使っているのは知っていた。
本当なら年上の私が色々判断して若い人達を導くべきなのだろうが、正直部下を持った事もなければリーダー気質でさえない。
何故だかこの世界に来てからレオに頼りっぱなしのような気さえする。
「気にするな」
レオはそう言うと私の頭をクシャクシャと撫でる。
もう子供扱いだよね。
そんな私達にラゴスさんが声を掛けて来た。
「何があった?」
とても真剣な顔は先程までのおちゃらけた雰囲気は一切なかった。
「この先に吸血鬼が居る。あそこに向かった人達は皆眷属にされてしまった」
流石にゲーマーな皆様はその一言で全てを察した。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。