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年上への礼儀とは

「レオさん久し振りです。まさか、こんな形で一緒の世界でプレイ出来るとは思ってもみませんでしたよ」


そう言って近付いて来るのは

ドラゴンスレイヤー770のラゴスさん。


「さっきの龍族からはドラゴンスレイヤーってだけで無視されてしまいました」


確かに龍族からしたらドラゴンスレイヤーってまるで自分達が殺られるようで嫌だろうな。


「別に龍族をどうこうしようって訳でもないのに」


プンスカと文句を言うラゴスさんは短いグリーン色の髪に赤い目をしている。


もしかして、これってゲーム上のアバターなのだろうか?


「もしかして、レオさんはアバターの色って自分と同じ色にしています?」


思わず隣に立つレオに小声で聞いていた。

だって、あの時と同じだったから。

アバターになっていたなんて気付かなかった。


「やっぱり、あの時僕の事を見ていた人?」


……どうしよう。

私がアラフィフだって事バレた?


思わず冷や汗が……タラリ。


「ククク……大丈夫。僕、年上好みだから」


いやいや……。

どう見ても大学生の貴方様とアラフィフ喪女の行き遅れでは釣り合いませんよ。


「それに、今はみんな15歳の同い年だから気にしないで」


レオはそう言いながら近付いて来たラゴスさん達と夜営をどうするか話合っていた。


「支援系統の職業の方っていますか?」


レオの声掛けに何人かの人が手を挙げる。



「あの木の側に夜営したいので、念のため結界を張って頂きたいのです。それと、夜営と言っても何もないので野宿のようなものですが」

レオはそう言うと苦笑いした。


「誰もテントがあるだなんて思ってませんよ」


ラゴスさんの後ろからエルフ風の男性が話掛けて来た。

腰まである銀髪を三つ編みにしてアクアマリンのような瞳をした男性。


「えっと、レオさん。彼女を紹介して頂いても良いでしょうか?」


とても物腰静かで優男を絵に描いたような(ひと)だな……と、この時は思った。


「あぁ。そうだね。と言いたいけど、僕も名前と職業しかまだ分からないんだ」


レオの言葉に私は一歩前に出る。


「ユイと言います。ポータブルゲームをしていたのですが、職業レベルが付く前の村娘の状態だったのでレベルはないです」

一応そう言うとペコリと頭を下げた。


「その容姿はフェアリーウェブの初代主人公だよね」


ラゴスさんの後ろから猫耳に三つ編みの女の子が現れた。


「はい。それです」


「へ~。あれって相当古いよね。十年できかない位古いと思うけど」

猫耳さんは嫌味っぽく言う。


「はい。大分古いですね。良くご存知ですね」


私は淡々と同意してやった。

すると、猫耳さんは何故かムカムカとしている。


「ちょっとあんた、私を馬鹿にしているつもり?こう見えても38なんですけど」


おおお。

何とお若い。


「年上に対しての礼儀ってものが分かっていないんじゃない?レベルだってないのに」


猫耳さんのその言葉にチラリと名前とレベルをチェックする。


『名前:エミリー

魔獣使い650』


名前はエミリーさんで魔獣使いか……。


でも、今までの冒険者達の言動からすると、使役していた魔獣は世界が違うからいないみたいなのでいない。


何せ武器も何もなく、身一つでこの世界に来ているのだ。


それに……この世界の魔獣が使役出来るか?と言うと、分からないのだから。



転職出来るなら早く転職した方が良いと思った。

けど、それは言わないでおこう。


そして、私が年上だと言う事も言わないでおこう。

お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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